愛が欲しい〈ジェイド〉
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アズールから状況を聞いたジェイドは急いで学生服から寮服へと着替えてホールへと駆けて行った。
(何だか嫌な予感がします・・・)
それがただの杞憂であるようにと心の中で願う。
ホールに着くとアズールが言っていた通り、給仕している寮生は皆慌ただしく動き回っていた。
(○○さんは・・・)
店内を見回すと直ぐに見つける事が出来た。
「何て格好を・・・っ」
見つけた○○のメイド服を見て、ジェイドは眉間に皺を寄せた。
○○の元へと早歩きで近付いて行くと、客に頼まれたようで通路に落ちた財布を中腰になって拾い上げ、客に笑顔で渡して仕事へと戻って行く。普段なら何の問題も無いのだが、今は大問題だ。
財布を落とした連れの一人が、○○のスカートの中を盗撮していたのだ。
「おい、撮れたか?」
「あぁ、バッチリだぜ。ほら」
「僕も見たいです」
「「えっ」」
スマホ画面を見せる男の元へと来たジェイドは、ニコリと笑って覗き込む。そして画面を見たジェイドの瞳からスーッと光が消えていった。
「困りますねぇ、お客様。うちの大事な従業員にこんな事をされては」
スッと男の手からスマホを奪い取ると、バキッとスマホを壊していた。本当は証拠として残しておくべきかもしれない。しかし、頭よりも先に体が動いてしまっていたのだ。
「口止めは貴方のスマホにします。今後は、一切○○さんには近付かないように」
「はい!」
「それでは、お会計はこちらへ」
ニコリと営業スマイルを見せるジェイドだが、怒っている感情は隠す気が無いようで、客二名は青い顔をしてジェイドの後に続いて会計へと向かった。
「あぁ、そこの貴方。こちらのお客さんの会計をお願いします」
「はいっ」
近くに居た従業員に声を掛けて二人を渡すと、踵を返して○○が歩いて行った方へと向かった。
『いらっしゃいませ。メニューをどうぞ』
メニュー表と水をテーブルに置いてお辞儀。後は一旦下がるだけ。しかし、下がろうとした瞬間客がコップを持って○○のスカートにビシャッと水を掛けた。
「うわっ、ごめんねぇ。手がツルッと滑っちゃった!今拭いてあげるから!」
『いえっ、私は大丈夫ですので!』
そうは言うが誰が見たって今のは絶対わざとだ。しかし、従業員自ら面倒事を起こす訳にもいかない。○○は笑って気にしないでと伝えるも、男の客はポケットからハンカチを取り出してニヤニヤと笑いながら○○の手首を掴む。そしてスカートを軽く拭いて「足も濡れちゃったねー」と今度はスカートから太腿へ。
(この客凄く嫌なんだけど!)
そう思っているとハンカチ越しではなく、直に男の指が○○の太腿をなぞり上げてきた。
『~~~~~っ!!!!』
気持ち悪い!もう叩いてもいいだろうか!
「いっ!!」
キュッと目を閉じると同時に男の手の感触がなくなり、その代わりに男の痛がる声が聞こえた。
「申し訳ありません、お客様。こちらのメイドは、お触り禁止となっております」
目を開けるとジェイドがニコニコと笑いながら客の手を捻り上げていた。
『ジェイド先輩・・・!』
ジェイドは○○には聞こえないように客の耳元で何かを言うと、顔を青白くした客は大きく頷いてダッシュで帰って行った。
(ジェイド先輩、助けてくれた・・・!)
早くお礼を言わねばと口を開きかけたところ、こちらを振り向いたジェイドにギロリと睨まれる。
『ひ・・・っ』
こんなに怒った表情を向けられたのは初めて。面倒事を起こしたから怒っているのだろうか。
あまりの怖さに、思わず声が出てしまった。
「こちらへ」
そう言ってジェイドは○○の手を掴んでスタスタと早歩きでホールを出た。
ジェイドに連れられて来られたのは、ジェイドの部屋。中に入るとそのままドアに追いやられ、○○の顔にジェイドが両手を突く。いわゆる、壁ドンをされた。
好きな人にされてみたかった事だが、今は怖い気持ちで一杯。
『あ、あの・・・?』
「何でそんな格好をしているんですか?」
『その・・・女性として意識して欲しくて・・・っ』
「ほぅ・・・」
言った!本人に話すのは恥ずかしいが、それでも正直に言った。
「沢山の男達に、自分は女だと意識させたかったと。どんなにスケベな目で見られても問題ないという事ですか」
『違います!私が意識して欲しいのは、ジェイド先輩だけです!』
「・・・・・・・・僕・・・ですか・・・?」
目を丸くしているジェイドにコクリと顔を真っ赤にして頷くと、ジェイドはそっと○○から離れた。
「僕に・・・。僕の為に、そのメイド服を・・・」
そう独り言のように呟いたジェイドの頬は、○○程ではないが頬が赤くなっていた。
これはもしや・・・?
『ジェイド先輩・・・。私の事、女として意識してくれてます・・・?』
「~~っはい。意識しましたから。ですから、もう二度とその服は着ないように。アズールには僕から言っておきます。いいですね?」
ジェイドは口を片手で覆い、そっぽを向いて若干早口。もしかしなくても、これは照れているのだろう。
『はい!』
当初の目的、ジェイドを自分の事を異性として意識して貰う事は大成功したようだ。
○○は満足した笑みで頷いたが、ジェイドには大きな溜息を吐かれてしまった
数日後。あれからジェイドとの関係性は進展があった。
悪い方へと・・・。