愛が欲しい〈ジェイド〉
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―フロイド視点―
「あ。小エビちゃん。来てくれたの?」
慌てて保健室に駆け込んで来た小エビちゃんに、名前を呼ばれてジェイドと同時に起き上る。
でも、小エビちゃんが一番に向かったのはオレじゃなく、ジェイドの方だった。
負った傷も同じ位。なのに、何で小エビちゃんは嫌いと言って冷たい態度をとったジェイドの元に行くの?
ううん。本当は知ってた。ジェイドにどんな態度されたって、小エビちゃんは・・・。
(あ~ぁ。小エビちゃんに抱き着かれて、ジェイド固まってら)
頬を赤らめ、どうしていいかわからなそうにフリーズしている片割れ。
(あれ・・・)
二人をぼんやり眺めていたら、急に視界がボヤけてきた。
「小エビちゃーん」
目元をゴシゴシ擦り、もう一度君を呼ぶ。
『っ!フロイド先輩も大丈夫ですか?お二人共酷い怪我・・・。一体どんな喧嘩をしたんですか・・・』
ジェイドからパッと離れてようやくオレの元に来てくれた。でも・・・。
ジェイドの時とは違って、オレには抱き着いてくれないんだね・・・。
ちぇ。どんなにオレが頑張っても、ジェイドには敵わねーのかぁ・・・。
「小エビちゃん、ちょっと・・・」
手招きしてこちらに顔を寄せてくれる小エビちゃんを、グイッと引き寄せて顔をもっと近付けさせる。
『わっ!?』
「フロイド!?」
小エビちゃんの耳元に唇を近付ける。きっと、ジェイドから見たらキスしているように見えるかも。だって、すげー威嚇してるし。
「小エビちゃん。もう一度、ジェイドと良く話し合って?そんで、もう一度ジェイドに小エビちゃんの想いを伝えてあげてくんねーかな」
『え・・・?』
小声で話した後、直ぐ引き寄せていた手を離し、苦笑いを浮かべる。
「よっと」
そして居たくもないベットから抜け出すと、小エビちゃんは慌ててオレを引き止めた。
『どこに行くつもりですか!?大人しくベットに横になってて下さい!』
「えー。魔法薬でもう血は止まったし、ある程度の傷は治ってるよ。だから、大丈夫!」
オレの為に大人しくしてろと怒ってくれる優しい小エビちゃん。
可愛いなぁと思いながらぽんぽんと頭を撫でてから、「じゃーねー」と手を振って保健室を出た。
「・・・」
オレとジェイドが私闘で魔法を使ってからあっという間に騒ぎになった。周りに集まって来た奴らでは本気のオレらを止める事は出来ない。そして駆け付けて来たアズールに拘束されて保健室行き。飲めと渡された魔法薬で止血は出来たけど・・・。辺りまで滅茶苦茶にしちゃってたから、ベッドで反省しろと傷まで治す魔法薬ではなかった。だから、本当は・・・。
「ってぇ・・・」
本当は、ベッドから体を起こすのが精一杯なんだよね。もう体中が痛い。フラフラと人通りのない廊下まで歩いて来ると、壁に背を預けてズルズルとしゃがみ込んだ。
「・・・ジェイドと小エビちゃん、ちゃんと番になれたかなぁ・・・?」
そうだと嬉しいなと窓から見える空を見上げると、また視界がボヤけてきた。
だってさ・・・。すげー胸が痛ぇんだもん。痛くて痛くて、泣けてくる。
その時、ふと小エビちゃんが話していた泡になって消えちゃう人魚の話を思い出した。初めて聞いた時は、オレには理解出来なかったけど・・・。今ならオレもわかる。その人魚も、愛する人の幸せを願ったんだ。
「ジェイドと小エビちゃんが、幸せになれますよーに・・・・・・」
流れ星が見えない代わりに、目から涙を流して願いを込めてみた。