必ず手に・・・〈ジェイド〉
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店を出て直ぐに二人を呼び止めたかったが、周りの人・・・人魚に迷惑を掛けないように人通りが少ない所までは我慢した。そして人通りが少なくなると、直ぐに口を開ける。
『ちょっと、貴方達!』
○○が声を掛けると二人は振り返り、そして眉間に皺を寄せた。
「ああ?誰だ?お前」
「おい。コイツ魔法が使えない例の・・・」
「あぁ・・・」
二人はニヤニヤと笑って人を馬鹿にした視線を向けて来るが、自分の事はどうでもいい。それより、言わなければならない事がある。
『さっき店でジェイド先輩の悪口を言ってましたよね。あれ、本人に謝って下さい!』
何故肌の色が違うだけで、気持ち悪いと言われなければならないのだ?それは、ただの差別だ。
「チッ。聞いていたのか。チクられると面倒だな」
「口封じすればいいだろ」
「あぁ・・・。そうだな」
そう言って二人はマジカルペンを○○に向けた。
『っ!』
向けられたペンが光り、二人分の風魔法が○○へと飛んで来る。
真正面からの攻撃。怖くて体が動かない。
「○○さん!」
ギュッと目を瞑ると同時に焦った声で呼ばれ、抱き締められて猛スピードで移動させられる。
「お怪我は・・・っ、ありませんか・・・っ?」
まだ息が整わないジェイド。○○が急に居なくなって、急いで探して来てくれた事が充分過ぎる程伝わる。
「ヤベッ。逃げるぞ!」
「っ!貴方達、待ちなさい!」
『ジェイド先輩・・・っ!』
視界の端で見えていた二人が逃げて行くのを捕まえようとすると、○○に呼び止められる。
『その腕・・・っ』
○○は目を見開く。○○を守ってくれたジェイドの腕に、幾つもの切り傷が出来てしまっていた。血は流れないような浅い切り傷のようだが・・・。
「あぁ、この傷ですか?直ぐ治る程度のものですから、心配しないで下さい」
と本人はニコニコと笑っているが、彼の命を危険に晒したのは事実。自分の所為で危ない目に遭わせてしまって、○○の目から涙が流れた。
「ど、どうしたのですか?やはり、どこか怪我を?それとも、怖い思いをしたからですか?」
オロオロするジェイドに、○○はフルフルと首を横に振る。
『ジェイド先輩、巻き込んでしまってごめんなさい。それに、傷を負わせてしまって・・・』
「それで泣いているのですか?フフ。別に構いませんよ。それより、今度どこかへ行く時は、ちゃんと声を掛けて下さいね」
『すみません。頭に血が上っちゃって・・・』
確かに声を掛けなかった自分が悪い。ちょっと席を外す位言っておけば良かったと心の中で猛省。
「頭に血が・・・?彼らに何か言われたのですか?」
○○の一言でジェイドの雰囲気が一気に変わった。ジェイドは笑顔なのに、目が笑っていない。怒りの感情で一杯だ。○○に向けたものではないものの、背筋が凍り付く思いだ。
『えっと・・・』
しかし、ジェイドに本当の事を言うのか?貴方の肌の色が気持ち悪いと言っていましたって?そんなの言える訳がない。
(ジェイド先輩の心まで傷付けたくない)
「・・・わかりました。言いたくないのならいいですよ」
何も言おうとしない○○に、ジェイドは小さく溜息を吐いてこれ以上言及はしないと苦笑した。
(○○さんを怒らせるような事を言った彼等。○○さんが言いにくい事なら、調べればいいだけ)
捕まえたらどんな風に始末してやろうかと思考を巡らせていると、腕の中の○○がモゾリと動き出した。
『あの、ジェイド先輩。そろそろ・・・』
「これは失礼しました」
そういえばずっと抱き締めたままだったと○○を放してあげるも、ジェイド的にはまだ抱き締めていたかったと心の中で思う。
「っ!」
そして今度はジェイドが目を見開く番だった。