必ず手に・・・〈ジェイド〉
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『ジェイド先輩、すみません!お待たせしました!』
約束の日、○○は後日伝えられた時間の10分前に鏡の間に来たが、ジェイドは○○よりも早く来ていた。急いで駆け寄る○○にジェイドは可愛らしいと思いながらニコニコと微笑んだ。
「そんなに走らなくても大丈夫ですよ。僕が早く来過ぎてしまっただけですから。それでは、魔法薬を」
○○に渡した魔法薬。以前にも飲んだ事のある、水の中でも呼吸が出来る薬だ。珊瑚の海に行くのなら、人間の○○には必須アイテム。
『んっ!』
受け取った魔法薬を、○○は一気に飲み干した。すると段々息苦しくなってきて・・・。
「闇の鏡よ。僕達を珊瑚の海へ」
ジェイドは辛そうにしている○○の手を取り、「僕がついています。大丈夫ですからね」と優しい口調で言うと、二人で鏡の中に入って行った。
『・・・』
「○○さん、着きましたよ」
目を開け止めていた呼吸をする。もう息苦しくない。
綺麗な海の中に人魚姿のジェイド。手は未だに繋いだまま。
「あぁ、手ですか?僕が引っ張って差し上げます。その方が早く泳げますでしょう?それとも・・・貴女に合わせてゆっくり泳ぎますか?帰りはその分遅くなってしまいますが、僕の方はそれでも一向に構いません」
スルリと頬を撫でられて微笑まれる。しかもグッと距離を縮められて互いの体が近い。
『は、早く薬を貰いに行きましょう!』
顔を真っ赤にしてジェイドの手をグイグイと引っ張る○○に、ジェイドはクスクスと笑った。
「そうですね。早くを薬を貰いに・・・。フフ、では行きましょうか」
○○の負担にならない様にスイスイ泳ぐジェイドに連れて来られたのは、市場の様な場所。色んな店が並び、人魚達が沢山泳いでいる。
ジェイドは他の人魚にぶつからない様に、泳ぐスピードをゆっくりにした。
『・・・』
○○は手を繋いで隣を泳ぐジェイドの横顔を見るめる。今はこうして一緒に出掛ける位には仲は良くなっただろう。しかし、以前はグリム達の契約をめぐって色々大変な目に遭った。○○達の妨害をして来た彼と、今エスコートしてくれる彼の態度の違いに思いを巡らせながら、ジェイドの端正な顔に魅入っていた。すると、ジェイドが困った表情をして○○の方を振り向く。
「・・・そんなに見つめられると、困ってしまうのですが・・・。何か気になる事が?」
『いえ、端正な顔だなって思ってただけです!』
大丈夫ですよというニュアンスで伝えたかったのに、言葉に出たのはそんな素直な気持ち。
『あっ・・・。その・・・』
「・・・そうですか。それはありがとうございます」
恥ずかしくなって俯いた○○の耳に届いたのは、ジェイドの素っ気ない声音。失敗しちゃったと落ち込んだ気持ちを持ち上げる様に顔を上げると、まだ○○を見つめていたジェイドを目が合った。直ぐに視線を外され再び泳ぎ出したジェイドだが、ジェイドの頬もほんのり赤くなっていた・・・ような気がした。