パパ
家族のことが書かれた記事を読みながらうたた寝したはるかパパ。
ーーー
重たい身体を動かしてベットサイドのテーブルに置かれた時計を見る。ぼんやりとした視界に徐々に文字盤と黒い針が鮮明になっていく。
「いちじ……」
その時計は1時を指していた。窓の外を見れば青い空が広がっている。つまり13時。昼過ぎだ。
いくら昨日遠征から帰ってきたといっても寝すぎじゃないか? と他人事のように考えながらノロノロとベッドから這い出た。
「おはよー……」
リビングに顔を出すが人の気配は感じない。今日はみんな休みじゃなかったっけ? と思っているとダイニングのテーブルに紙が置いてあるのを見つけた。
『おはようはるか。これを見てる時にはこんにちはかしら? 遠征でお疲れなのね。ゆっくり休んでいて。私たちはお買い物に行ってきます。すぐに帰ってくるから、良い子で待っていて?』
みちるの字で書かれた置き手紙は脳内でみちるの声で再生された。
子ども扱いしている内容に苦笑いしながらとりあえず支度だけはしておこうとリビングを出る。
支度を終えた僕はみちるたちが帰ってくるまでぼーっとするのもなぁ、と思いながらソファに沈み込んでいた。
「あ、あれ読むか」
後で読もうと買っていたものがあることを思い出した僕はソファから立ち上がり部屋へと取りに戻った。
***
お買い物を終えて帰ってきた頃には3時を回っていた。
昨日遠征から帰ってきたばかりのはるかは相当疲れていたようで昨日もすぐに泥のように眠ってしまった。
そんなはるかを朝から叩き起して外に連れ出すのは少し憚られたので後で拗ねて文句を言われるかもしれないことを覚悟してそのまま寝かせて家を出た。
予想ではお昼すぎくらいに起きるだろうと思っていたからそのくらいに帰るつもりだったけれど普段運転してくれるはるかがいないだけでかなり移動に時間がかかってしまいはるかに対するありがたさと申し訳なさを痛感した。
先にほたるが中へ入り次いでせつなとともに家の中に入る。
大荷物を持ってリビングへ入るとほたるがソファの横で屈みこんで何かを覗いていた。
「ほたる?」
「はるかパパ寝てるー」
ほたるの言葉にそっと近付くと身支度をしたはるかが大の字で寝転がってくーくーと気持ちの良い寝息を立てていた。
せつなは手にしていた荷物を下ろすと少し離れた位置で仁王立ちして溜息を吐いた。
「全く、寝るなら寝なさいって言ってるのに……」
せつなが苦言を呈するけれどそれはせつなの優しさだとみんな分かっている。遠征で疲れた身体をしっかり休めて欲しいのよね。
そのせつなの気持ちも分かるけれど、私にははるかの気持ちも分かるからくすりと笑って口を開く。
「ふふ、今日は大目に見てあげましょう」
「え? ……あら」
せつなはブランケットを片手にそっと近付いてはるかとその周りの様子を見ると目を丸くした。
はるかの右手には私のことが書かれた雑誌が、左脇にはほたるのことが書かれた新聞にせつなのことが書かれた雑誌がちょうど開いたまま転がっている。
はるかは自分のことが書かれたものは読まないし買わない。というより、自分の興味のあるものしか読まない。
つまり、はるかがこれを読んでいたと思われる形跡があって読んでいたのだとしたら、そういう事なのだろう。
なんだか、不器用なパパって感じね。
「さ、お疲れのパパに好きな物作ってあげましょう」
「さんせーい!」
「……仕方ないですね」
せつなはそっと雑誌類を片付けてはるかにブランケットを掛けた。
さ、3人でいつも私たちのことを見てくれているパパのために美味しいものを作りましょう。
ーーー
重たい身体を動かしてベットサイドのテーブルに置かれた時計を見る。ぼんやりとした視界に徐々に文字盤と黒い針が鮮明になっていく。
「いちじ……」
その時計は1時を指していた。窓の外を見れば青い空が広がっている。つまり13時。昼過ぎだ。
いくら昨日遠征から帰ってきたといっても寝すぎじゃないか? と他人事のように考えながらノロノロとベッドから這い出た。
「おはよー……」
リビングに顔を出すが人の気配は感じない。今日はみんな休みじゃなかったっけ? と思っているとダイニングのテーブルに紙が置いてあるのを見つけた。
『おはようはるか。これを見てる時にはこんにちはかしら? 遠征でお疲れなのね。ゆっくり休んでいて。私たちはお買い物に行ってきます。すぐに帰ってくるから、良い子で待っていて?』
みちるの字で書かれた置き手紙は脳内でみちるの声で再生された。
子ども扱いしている内容に苦笑いしながらとりあえず支度だけはしておこうとリビングを出る。
支度を終えた僕はみちるたちが帰ってくるまでぼーっとするのもなぁ、と思いながらソファに沈み込んでいた。
「あ、あれ読むか」
後で読もうと買っていたものがあることを思い出した僕はソファから立ち上がり部屋へと取りに戻った。
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お買い物を終えて帰ってきた頃には3時を回っていた。
昨日遠征から帰ってきたばかりのはるかは相当疲れていたようで昨日もすぐに泥のように眠ってしまった。
そんなはるかを朝から叩き起して外に連れ出すのは少し憚られたので後で拗ねて文句を言われるかもしれないことを覚悟してそのまま寝かせて家を出た。
予想ではお昼すぎくらいに起きるだろうと思っていたからそのくらいに帰るつもりだったけれど普段運転してくれるはるかがいないだけでかなり移動に時間がかかってしまいはるかに対するありがたさと申し訳なさを痛感した。
先にほたるが中へ入り次いでせつなとともに家の中に入る。
大荷物を持ってリビングへ入るとほたるがソファの横で屈みこんで何かを覗いていた。
「ほたる?」
「はるかパパ寝てるー」
ほたるの言葉にそっと近付くと身支度をしたはるかが大の字で寝転がってくーくーと気持ちの良い寝息を立てていた。
せつなは手にしていた荷物を下ろすと少し離れた位置で仁王立ちして溜息を吐いた。
「全く、寝るなら寝なさいって言ってるのに……」
せつなが苦言を呈するけれどそれはせつなの優しさだとみんな分かっている。遠征で疲れた身体をしっかり休めて欲しいのよね。
そのせつなの気持ちも分かるけれど、私にははるかの気持ちも分かるからくすりと笑って口を開く。
「ふふ、今日は大目に見てあげましょう」
「え? ……あら」
せつなはブランケットを片手にそっと近付いてはるかとその周りの様子を見ると目を丸くした。
はるかの右手には私のことが書かれた雑誌が、左脇にはほたるのことが書かれた新聞にせつなのことが書かれた雑誌がちょうど開いたまま転がっている。
はるかは自分のことが書かれたものは読まないし買わない。というより、自分の興味のあるものしか読まない。
つまり、はるかがこれを読んでいたと思われる形跡があって読んでいたのだとしたら、そういう事なのだろう。
なんだか、不器用なパパって感じね。
「さ、お疲れのパパに好きな物作ってあげましょう」
「さんせーい!」
「……仕方ないですね」
せつなはそっと雑誌類を片付けてはるかにブランケットを掛けた。
さ、3人でいつも私たちのことを見てくれているパパのために美味しいものを作りましょう。