パーティはもういらない
幾度もパーティで出会うはるかとみちる。
ーーー
はるかは今宵もパーティに参加していた。父親の付き添いがほとんどだったがレーサーとして活躍しだしてからは1人で赴くこともあった。
そしてはるかが現れるパーティには必ずといっていいほどみちるもいた。
パーティで会う度に2人は交流を深めていった。しかしそれまでだった。
連絡先を交換したことはないし、プライベートで会おうという約束もしたことはなかった。
パーティで会った時に会話をする知人といったところだ。
そして今日のパーティにもみちるは父親の付き添いで参加していた。はるかはみちるを見つけると真っ直ぐに挨拶をしに行き、しばらく会場を風のようにのらりくらりと歩き回るとそっと抜け出した。
はるかは目を閉じて風を感じていると背後に人の気配を感じる。
「はるか」
「みちる」
振り返れば初めて出会った時よりずいぶんと大人びて綺麗になったみちるが立っている。みちるは微笑みながらはるかの隣に腰掛けると少しの距離を保ちながら風を感じ始めた。
「いつもいつも抜け出して、いいのかしら?」
「君だって抜け出してるじゃないか」
2人でくすくすと笑いながら他愛もない会話を続ける。
はるかはこの時間が好きだった。自然を感じながらみちるとゆったりとした会話をするこの時間が。
もっとこの時間が欲しい、と思ったはるかはいつもより早鐘を打つ鼓動を深呼吸で抑え口を開いた。
「あの、さ」
「ん?」
首を傾げてはるかを見上げるみちるにはるかはかわいい、と心の中で呟く。さらに激しく脈打つ鼓動を感じながらはるかは言葉を続けた。
「みちる、海が好きなんだろ? ……僕、綺麗な場所知ってるからさ、今度連れてってやるよ」
頬を赤く染めながらはるかは何とか言い切り、1度深呼吸をしてからみちるを盗み見た。
するとみちるは大きな目をさらに大きく見開き顔を真っ赤にさせていた。
「ほん、とう……?」
「うん。僕の車で、海までドライブしよう」
みちるは嬉しそうに笑うとうん! と大きく頷いた。
いつもは大人びていて綺麗なみちるが今は年頃の少女の顔を覗かせていることにはるかは何だか嬉しくなった。
はるかはそっと、今まで何度もこうして会話をしていた中で保たれていた2人の距離を詰めると優しくみちるの左手を包んだ。
みちるははるかの手の温もりに幸せを感じながらはるかの肩に頭を預ける。
「はるか! 私、今すっごく幸せだわ」
「ははっ、奇遇だな。僕も今最高に幸せだよ」
ーーー
はるかは今宵もパーティに参加していた。父親の付き添いがほとんどだったがレーサーとして活躍しだしてからは1人で赴くこともあった。
そしてはるかが現れるパーティには必ずといっていいほどみちるもいた。
パーティで会う度に2人は交流を深めていった。しかしそれまでだった。
連絡先を交換したことはないし、プライベートで会おうという約束もしたことはなかった。
パーティで会った時に会話をする知人といったところだ。
そして今日のパーティにもみちるは父親の付き添いで参加していた。はるかはみちるを見つけると真っ直ぐに挨拶をしに行き、しばらく会場を風のようにのらりくらりと歩き回るとそっと抜け出した。
はるかは目を閉じて風を感じていると背後に人の気配を感じる。
「はるか」
「みちる」
振り返れば初めて出会った時よりずいぶんと大人びて綺麗になったみちるが立っている。みちるは微笑みながらはるかの隣に腰掛けると少しの距離を保ちながら風を感じ始めた。
「いつもいつも抜け出して、いいのかしら?」
「君だって抜け出してるじゃないか」
2人でくすくすと笑いながら他愛もない会話を続ける。
はるかはこの時間が好きだった。自然を感じながらみちるとゆったりとした会話をするこの時間が。
もっとこの時間が欲しい、と思ったはるかはいつもより早鐘を打つ鼓動を深呼吸で抑え口を開いた。
「あの、さ」
「ん?」
首を傾げてはるかを見上げるみちるにはるかはかわいい、と心の中で呟く。さらに激しく脈打つ鼓動を感じながらはるかは言葉を続けた。
「みちる、海が好きなんだろ? ……僕、綺麗な場所知ってるからさ、今度連れてってやるよ」
頬を赤く染めながらはるかは何とか言い切り、1度深呼吸をしてからみちるを盗み見た。
するとみちるは大きな目をさらに大きく見開き顔を真っ赤にさせていた。
「ほん、とう……?」
「うん。僕の車で、海までドライブしよう」
みちるは嬉しそうに笑うとうん! と大きく頷いた。
いつもは大人びていて綺麗なみちるが今は年頃の少女の顔を覗かせていることにはるかは何だか嬉しくなった。
はるかはそっと、今まで何度もこうして会話をしていた中で保たれていた2人の距離を詰めると優しくみちるの左手を包んだ。
みちるははるかの手の温もりに幸せを感じながらはるかの肩に頭を預ける。
「はるか! 私、今すっごく幸せだわ」
「ははっ、奇遇だな。僕も今最高に幸せだよ」