初めてのパーティで
初めてのパーティで出会ったはるかとみちる。
ーーー
はるかは賑わっているパーティ会場をこっそり抜け出し人気のない中庭へ降り立った。
はるかはその場に腰を下ろし、明るい部屋と賑やかな音楽を背に風を感じる。
元々、パーティなど人が賑わうような場が好きではないはるかはしかし社交界デビューとして父親に会場へ連れてこられていた。
ベストと蝶ネクタイを付けたはるかは少年のように見えるがれっきとした少女だった。しかしそれは父親に無理やり着せられたのではなくはるか自身が望んで身に付けたものだった。
幼いながらも整った顔立ち、年齢の割に落ち着いた物腰、それらが同じく連れてこられた小さな令嬢たちやマダムたちに大層気にいられ、はるかはより緊張の糸を張り巡らせていたのだ。
ようやく1人で落ち着ける、そう思ったはるかだが背後に人の気配を感じた。
ああ、めんどうだな、と思いながらちらりと後ろを見てはるかは固まった。
「ごきげんよう」
そう挨拶をしたのは同じ年頃の少女。しかしその顔立ちはとても整っており、少女が取る仕草は今まで見てきた中で1番と言っていいほど綺麗で流麗だった。
「あ、こんばんは」
「お隣、いいかしら?」
はるかは本当は1人になりたかった。だからここに来たのに気付けば首を縦に振っていた。
隣に腰掛けた少女は体育座りをして空を見上げたり風を感じたりしている。はるかは少女と同じようにしながらそんな少女を横目で見つめていた。
「なぁに?」
「えっ? あ、いや、別に……」
ふと、少女と視線が交わりはるかは慌てふためく。顔を少し赤らめて下を向くと右手の小指にちょん、と何かが触れた気がした。
そっと右手を見るとはるかの手のすぐ横に少女の左手があり、その小指同士は今にもくっつきそうだった。
「わたし、海王みちるというの」
少し舌足らずな言葉で告げられた名前にはるかは一瞬ぽかんとする。そして暗に自分の名前を聞かれていることに気付いた。
「あ、ぼくは、天王はるか」
「そう、よろしくね。天王さん」
そう言って微笑むみちるにはるかは胸の奥がざわつくのを感じた。
触れ合いそうな手をそのままにはるかは顔をみちるから背けて呟いた。
「……はるかで、いいよ。みちる」
言い終えてちらりとみちるを見るとみちるも頬を赤く染めてはるかを見ていた。そしてふんわりと嬉しそうに笑った。
「ええ、はるか」
ーーー
はるかは賑わっているパーティ会場をこっそり抜け出し人気のない中庭へ降り立った。
はるかはその場に腰を下ろし、明るい部屋と賑やかな音楽を背に風を感じる。
元々、パーティなど人が賑わうような場が好きではないはるかはしかし社交界デビューとして父親に会場へ連れてこられていた。
ベストと蝶ネクタイを付けたはるかは少年のように見えるがれっきとした少女だった。しかしそれは父親に無理やり着せられたのではなくはるか自身が望んで身に付けたものだった。
幼いながらも整った顔立ち、年齢の割に落ち着いた物腰、それらが同じく連れてこられた小さな令嬢たちやマダムたちに大層気にいられ、はるかはより緊張の糸を張り巡らせていたのだ。
ようやく1人で落ち着ける、そう思ったはるかだが背後に人の気配を感じた。
ああ、めんどうだな、と思いながらちらりと後ろを見てはるかは固まった。
「ごきげんよう」
そう挨拶をしたのは同じ年頃の少女。しかしその顔立ちはとても整っており、少女が取る仕草は今まで見てきた中で1番と言っていいほど綺麗で流麗だった。
「あ、こんばんは」
「お隣、いいかしら?」
はるかは本当は1人になりたかった。だからここに来たのに気付けば首を縦に振っていた。
隣に腰掛けた少女は体育座りをして空を見上げたり風を感じたりしている。はるかは少女と同じようにしながらそんな少女を横目で見つめていた。
「なぁに?」
「えっ? あ、いや、別に……」
ふと、少女と視線が交わりはるかは慌てふためく。顔を少し赤らめて下を向くと右手の小指にちょん、と何かが触れた気がした。
そっと右手を見るとはるかの手のすぐ横に少女の左手があり、その小指同士は今にもくっつきそうだった。
「わたし、海王みちるというの」
少し舌足らずな言葉で告げられた名前にはるかは一瞬ぽかんとする。そして暗に自分の名前を聞かれていることに気付いた。
「あ、ぼくは、天王はるか」
「そう、よろしくね。天王さん」
そう言って微笑むみちるにはるかは胸の奥がざわつくのを感じた。
触れ合いそうな手をそのままにはるかは顔をみちるから背けて呟いた。
「……はるかで、いいよ。みちる」
言い終えてちらりとみちるを見るとみちるも頬を赤く染めてはるかを見ていた。そしてふんわりと嬉しそうに笑った。
「ええ、はるか」