交際0日婚
戦士として覚醒してから戦いの連続だった。ひと時、使命から解放され好きな人と2人で穏やかな時間を過ごすことができたけれど、それもすぐに終わってしまった。
地球を、プリンセスを守るために戦う。それが私たちの使命であるからどうしたって永遠に戦いのない穏やかな時間を求められないことは分かっている。それでも、使命のことを考えず2人で気ままに旅をした夢のようなあの時は私にとって幸福以外の何ものでもなかった。
私たちが戦士である限り戦いを避けること、使命から逃れることは出来ない。そもそもあの人が使命を投げ出すなんてことをするわけがない。それに私は使命に忠実で、プリンセスを大切に思っていて、驚くほど真っ直ぐで純粋なはるかが好きだから。
暗い孤独の惑星で独り戦い、ウラヌスに会うことを許されずただひたすらに思っていただけの前とは違う。今は一緒に戦える。手の届く、すぐに触れられる距離にはるかがいる。たとえ使命の中で傷付き苦しい思いをしたとしてもはるかがいてくれればそれだけで私は良かった。
そしてついこの間、今までで最も強大な敵との戦いを終えた。色々、精神的にも身体的にもたくさん傷付き傷付けてしまったけれど今はまたみんな1つ屋根の下で戦いのない穏やかな時間を過ごしている。
使命から解放された平和な時間。それがまた手に入った。それも、今度はきっと前より長くこの時間が続くと思う。ずっと欲していた、けれど手に入らないと思っていたものが目の前にある。気兼ねなくヴァイオリニストになるという夢を追える。好きな人と、はるかと何でもない日を送れる。それが嬉しくてたまらなかった。
けれどそう思っているのは私だけかもしれない。はるかの気持ちは? はるかは自由を愛する人だから、1つの場所に留まるような人じゃないから、狭い世界で窮屈な思いをして欲しくないから。ただでさえ私は彼女を使命という重く決して外すことの出来ない枷に縛り付けてしまったのだからこれ以上あの人の自由を奪うようなことはしたくない。
はるかには自由になって欲しい。でもはるかのそばにいられなくなる、それを考えただけで背筋が凍りそうなほど怖かった。はるかの隣に立つ前の自分を思い出せない。はるかがいなくなってしまったら私は生きていけるのだろうか。
「みちる?」
「……えっ、」
ぐるぐると1人で考え、思考が悪い方向へ動き始めたところで声を掛けられる。振り返ると眉を顰めて心配そうな顔をしたせつなが立っていた。ぼんやりと手の中のカップを見つめていた私を怪訝に思ったのだろう。
取り繕うように笑みを浮かべたけれどせつなは眉間の皺をさらに深くしてソファに座る私の横へ腰掛けた。もうそんなものは通用しないことくらい、私も分かっているはずなのにね。
「どうかしましたか?」
「……何でもないわ、っていうのは、通用しないわよね」
せつなは私の言葉に微笑むとそりゃあ、もちろんと頷いた。私もそんなせつなに微笑むと再び手の中のカップに視線を落として実はね、とずっと考えていたことを話し始めた。
「ええっ?」
「そ、そんなに驚く? でも、こう考えてしまうのは仕方ないじゃない? もちろん、はるかだけじゃないわ。せつなやほたるだって、これから自由に自分たちの道を進んでいいのよ?」
「いえ……いえ、そうではなくてですね」
せつなは額に拳を当てながらうーんと唸っている。そして険しい表情を浮かべて私に向き直ると口を開いた。
「なぜ、そこまで深刻に考え込むんです? あなたたちは恋人同士ですよね?」
せつなと見合った状態で沈黙。せつなの言葉を頭の中で反芻。問いかけられてからたっぷり間を置いて私はようやく言葉の意味を理解し顔を真っ赤にさせながらち、違うわ! と否定した。私の否定の言葉にせつなは目を見開きええっ⁉ と大きな声を上げる。
「嘘でしょう⁉」
「う、嘘なんかついてどうするのよ……!」
「じゃ、じゃあ、キスなんかもしていないということですか⁉」
「し、してないわよ‼」
ただでさえ真っ赤になっているだろう顔をさらに赤くさせて私はせつなの言葉を強く否定した。キ、キスなんてしてるわけないじゃない! 付き合ってすらいないのに!
「そんっ、そんなピュアな関係だったんですか⁉ あなたたち!」
ええ……、と心底困惑している様子のせつなに私も困惑する。そんな、ピュアな関係だって言われてもはるかとは戦士としてのパートナーというだけだし……。
「みちるははるかのことが好きなんですよね?」
「え、ええ……」
「でも恋人同士ではないんですね?」
「そう、よ。はるかが好きって告白したのだって、1回だけだわ」
改めて聞かれると恥ずかしい。そもそもせつなにはるかが好きだって知られていたことに驚いた。
「あれだけ2人の空気を作っているのに付き合っていなかったんですか」
「2人の、空気?」
「ああ、無自覚だったんですね……」
せつなは1つ溜息を吐くとまあでも聞いてしまえばいいじゃないですか、諸々全て、はるかの気持ち、と言った。
「それは、そうなのだけれど。ええ、でも……」
「怖いのですか?」
こくりと頷く。ずっと、曖昧にするより直接聞いた方が良い。それは分かっているけれどはるかの口から直接、拒絶の言葉を聞くのが怖い。なんて身勝手な女なのかしらと自分自身に絶望をする。
自身に嫌悪感を抱いているとぽん、と優しく肩に手を置かれる。俯かせていた視線を上げるとせつなは優しい微笑みを浮かべていた。
「大丈夫ですよ。きっと。私を含め周囲の人間はあなたたちが付き合っていると思うほどなんですから」
「そう、なの?」
「ええ、だって2人とも明らかに距離が近いじゃないですか。はるかとの距離感ややり取り、私とはしないでしょう?」
言われて、たしかに、と思うけれどそれはせつながはるかのような態度を取らないからそうなだけでは? と首を傾げる。でも私がはるかに対して取っている態度をせつなに出来るかと言われるとそうではないし、それを受け入れてくれているということははるかも少なからず私に対して好意を抱いてくれているということ?
いえ、自惚れてはいけないわ。はるかはとても優しい人だもの。私を傷付けまいとしていただけの可能性の方が高いわ。
「ええ、きっと、絶対そうに違いないわ……」
「みちる……」
「大丈夫よせつな。ちゃんと、ちゃんとはるかに聞くから」
拒絶されても大丈夫なように心の準備を整えたらちゃんと聞くから。ちゃんと、笑って送り出せるようにするから。
「……分かりました。けれどみちる、1つだけ言っておきます」
「なあに?」
「私はここを離れるつもりはありませんよ。仕事や好きなことは、ここを離れなくても出来ます。もちろんみちるが離れるというのならそれは悲しいですが私は見送りますよ」
柔らかく見つめるせつなに、思わず目が潤む。私はせつなにありがとう、と笑った。
***
ただいまー、と玄関の扉を開けながら中へ入ればリビングの方から小さな足音が近付いてくる。その足音に自然と頬が緩む。靴を脱いで振り返ればみちるがおかえりなさい、と微笑んでいた。
「ただいまみちる」
「おつかれさま。もう少しでご飯できるから、部屋で宿題とお仕事をしているほたるとせつなを呼んできてくださる?」
僕はオーケー、と答えてまずは洗面所へ向かった。そしてそのまま真っ直ぐほたるの部屋へ向かう。
「ほたるー?」
「はーい」
ノックをしてほたるが顔を出すのを待つ。顔を覗かせたほたるはおかえりなさい! とにっこりと微笑んだ。僕もただいまと返してもうご飯ができるよ、と伝えると元気に返事をして降りて行った。僕は小さなその背中を見送って今度はせつなの部屋へと向かう。
「せつなー?」
ほたるの時と同じように声をかけながらノックをする。すると、ガタッ! パタパタ! と大きな音が聞こえた。その勢いのまま扉が開かれ僕は部屋の中へと引きずり込まれた。
「うわっ! な、なんだよせつな!」
「おかえりなさい」
驚いて声を上げる僕とは対称的に落ち着き払った声でせつなはそう言った。突然のらしくないせつなの行動にもう色々混乱して僕はあ、うん、ただいま、と呟いた。
「はるか、直球で聞きます」
「え、あ、はい」
なんだかよく分からない凄みに負けて仁王立ちするせつなの正面で僕は正座をする。なんだろう、怒られるようなことをした覚えはないんだけど。
「みちるとは恋人同士ではないのですか?」
せつなと見合った状態で沈黙。せつなの言葉を頭の中で反芻。問いかけられてからたっぷりと間を置いて僕はようやく言葉の意味を理解し顔を真っ赤にさせながらち、違う! と否定した。せつなは僕の言葉に大きく溜息を吐いた。
「では、もう1つ。はるかはみちるが好きですか? 友人やパートナー、家族としてではなく」
「な、なんなんだよ、急に……」
「いいから答えなさい。これは由々しき問題なのですよ」
ギンッと鋭く睨みながら返答を催促するせつなに僕は耳まで真っ赤にしながら好きだよ、と答える。
「それ、みちるに伝えたことは?」
「ないよ、言えるわけないだろ……」
みちるは、僕なんかにはもったいない人だ。あんなに優しくて可憐で美しくて、強い女性を僕は知らない。僕を広い世界へ、色のついた美しい世界へ連れ出してくれたみちるにはとても感謝しているしいつしか僕は彼女を好きになっていた。
いや、多分初めて会ったときにはもう好きだったんだ。でもそれに気付くのが怖くて蓋をして、戦士となってからはそんな浮ついた気持ちを知られて軽蔑されたくなくて無意識に抑え込んでたんだ。
それでも抑えきれないことがたまにあって意に反した行動をしてしまうことがあったけど無限学園に潜入する際、恋人として振る舞っていたことから特にみちるに勘付かれることは無くて密かに胸を撫で下ろしたくらいだ。
それくらい、彼女を好いているから。愛しているから、みちるには幸せになって欲しい。僕と一緒ではみちるは幸せになれないから。だからこの気持ちを打ち明けるなんて出来やしないんだ。
「それ、本気で言ってますか?」
「……当たり前だろ」
問い詰められて吐露して、なのに呆れた顔をするせつなにちょっとムッとして。僕は口を尖らせる。はあ、と心底呆れましたというような溜息に僕の眉間には深い皺が寄った。
「あなた、みちるが他の男性に取られて平気なのですか? みちるの隣に、どこの馬の骨とも知らない男がいていいのですか? それをじっと見て、あなたは祝福できるんですか?」
「っ!」
言葉を詰まらせる。想像して、怒りに頭が沸騰しそうになる。多分、そんな場面を見たら相手の男を殺すくらいの勢いで殴るだろうし、みちるに対して理不尽に怒りをぶつけるだろう。そうして、みちるの幸せを願っているのに真逆の行動をしようとする自分に気付いてしまって、なんて最低な奴なんだろうと自己嫌悪する。
「伝えてしまいなさい。自分の気持ちを」
「でも、」
「意気地なし」
「うっ、グサッとくること、言うね……」
そりゃあこんな状態の奴、傍から見ていたら僕だって意気地なしと罵っているさ。
「何をそんなに躊躇うのです? みちるに拒絶されるのが怖いからですか?」
「……そんなんじゃない。僕が、みちるを幸せにできるかどうかっていう、僕自身の問題さ」
自惚れ、と言われるのは分かっているけれど、みちるは僕のことが好きだ。僕が戦士としての使命を受け入れると誓った、みちるに大怪我をさせてしまったあの日。彼女に言われた告白は一言一句覚えてる。
だから多分、拒絶されることはないと思うんだけど。まあ、あれきり告白めいた言葉は言われていないしそんな素振りも見せていないから心変わりしているかもしれないけど。でも普段のみちるの僕に対する態度を見ているとまだ多少は好いてくれているとは思うんだ。
「そうですか。ではもう一度言いましょう。はるかの意気地なし」
「な、何度も言うなよ! さすがに怒るぞ!」
再び言われた言葉に僕は立ち上がり怒鳴る。なんなんだよ、一体。急に部屋に引きずり込まれて根掘り葉掘り問い詰められて罵られて、一体僕が何をしたっていうんだ!
正面から睨み付けていると真顔だったせつなはふっ、と目元を緩めて僕の頭に手を置いた。
「幸せにできるかどうか、ではなく。幸せにしてやる、という気概くらい見せなさい。……大丈夫、ここまでみちるを思っているはるかなら、絶対に幸せに出来ますから」
優しく、頭を撫でるその手に、その言葉にじわりと涙が滲んだ。せつなのその言動がタリスマンが現れると予感したあの日、僕の手を取って大丈夫だと包み込んでくれたみちると重なった。ありがとう、と呟いて顔を上げる。僕はみちるに気持ちを伝えるという覚悟を決めた。それを感じ取ったのか、せつなは僕の肩をぽんと軽く叩いた。
「では、今日伝えてしまいなさい」
「……えっ、今日⁉」
「思い立ったが吉日。何も今すぐとは言いません。ご飯を食べてお風呂に入って、寝る前にでも言えばいいでしょう」
「ええ……」
さ、そろそろみちるたちが不審に思うでしょうから行きますよ、と背中を押されながら僕は部屋を出た。
***
普段なら夕ご飯を食べてお風呂に入って、あとは寝る時間までリラックスをして各々好きなことをする時間。けれど私はどこか緊張したまま自室のベッドに腰掛けていた。どうしてか、それは私と入れ替わりでお風呂に入ろうとしたはるかが大事な話があるから寝ないでいてくれ、なんて言うからだった。
緊張で顔を強張らせたはるかにそんなことを言われて、そして昼にせつなに話したことを思い出して、もしやそのことに関してなのだろうかと考え込む。神妙な面持ちで切り出した当の本人は引き留める間もなくさっさとお風呂に行ってしまうしで1人でただはるかを待つことしか出来ない。
まだ、心の準備が出来ていないのに……。深呼吸をして一度落ち着こうと息を吸ったとき、コンコンとノックの音が響いた。
「みちる、起きてる?」
扉の向こうから聞こえた遠慮がちな声ははるかのものだった。どきどきと高鳴る心臓を押さえながら返事をして扉を開く。そして体を少しずらして通り道を作るとはるかはそっと部屋の中へ入ってきた。
部屋の中で立ち尽くすはるかと見つめ合う。お互い、口を開くことはなく沈黙だけが部屋を支配していた。私は一度目を伏せて、そしてはるかに視線を戻しながら口を開いた。
「大事な話、って。なあに?」
できるだけ、普段通りに。いつもの声音で、トーンで問いかける。はるかも数秒前の私と同じように一度目を伏せると座ってもいいかい? と聞いてきた。私は頷いてベッドに腰掛ける。はるかも隣にそっと腰掛けた。
はるかは視線を膝の上で組んだ拳に落としたままゆっくりと話し始めた。
「僕は、ずっと孤独だった。風になりたくて、1人で何もかもを振り払うように我武者羅に走ってた。僕の見た目に、才能に、寄ってくる人は多かったけど、でも僕はいつも独りだった」
突然の話に意図が分からず、私は視線を隣に座るはるかへ向けて黙って聞いていた。
「でも、君に出会ってから僕の世界は変わったんだ。君が孤独だった僕を見つけて、包み込んでくれた」
そう言いながら、はるかは視線を上げて私を見た。私はただ、はるかの言葉が信じられなくて言葉を失っていた。
「もう僕はみちるなしじゃ生きられない。みちると出会う前の僕にはもう戻れないんだ。……でも、ずっと言えなくて。君を幸せにできる自信がなくて、だけどせつなに言われたよ」
「せつな?」
思いもよらないタイミングで現れた名前に声が裏返る。それに頬を赤くするけれどはるかは気付いていない様子だった。
「君の隣に僕じゃない人が立っているのを我慢できるのかって。君の幸せのために身を引こうとしたけどそれを想像して、頭に血が昇った。僕以外の人が君の隣に立つのを、僕は許せない」
だから、と続けようとするはるかの言葉を遮って、私は口を開いた。
「私の幸せって、勝手に、勝手に決めないで! 私の幸せは、はるかの隣にいることよ! ずっと、あなたの隣に立ちたかったっ! でも、あなたを使命という重い、決して外すことの出来ない枷に縛り付けてしまったから、こんな気持ちを打ち明けてさらにはるかを縛るようなことをしたくなかったの……それに何より、はるかに拒絶されるのが怖かった……!」
溢れてくる涙をそのままに私はずっと抱いていた思いをはるかにぶつける。はるかは目を見開いて驚いた様子だった。でも、止まらなくなってしまった私はさらに言葉を続けた。
「でも、私も、もうはるかのいない世界では生きられないわ……。はるかの隣に立つ前の自分を思い出せない。はるかが隣にいない。それを考えただけで、背筋が凍るほど怖かった……」
自分勝手で身勝手で、ごめんなさい、でも私ははるかと離れたくない。それを泣きながら、必死に伝える。はるかに気を使わせてしまうから本当は涙なんて流したくないのに、勝手に溢れて止まらない。
乱暴に目を擦って涙を止めようとしているとはるかに両手を取られてしまった。そしてそのまま優しく抱き締められる。大好きで安心するはるかの温もりに、匂いに包まれて、ああやっぱりこの場所を手放すなんてしたくない。できないと思った。
「ねえみちる? 僕たち、随分と臆病だったみたいだ。もっと早くに、ちょっとずつでも伝えていればよかったのにね」
ええ、本当に、そう思うわ。だって今、こんなにも胸が暖かい。
そっと、はるかが私の肩を押して距離を取る。お互い見つめ合って、そしてはるかがゆっくりと顔を近付けてくる。間近になるはるかの整った顔に頬が熱くなる。距離が完全にゼロになる直前、私は瞳を閉じた。
数度、角度を変えて唇を触れ合わせる。耳が熱い。きっと真っ赤だわ。
はるかが離れた気配を感じて目を開けると、いつもは澄まして涼しい顔をしているはるかが耳の先まで真っ赤にしていた。私だって同じくらい赤くなってるだろうに、そんなはるかが可愛くて思わず笑ってしまった。
「笑うなよ……みちるだって真っ赤だぞ」
「ふふ、ごめんなさい」
くすくすと笑いの止まらない私を見てはるかも可笑しそうに笑う。ひとしきり2人で笑って落ち着いた頃、はるかが囁いた。
「キス、したから、結婚しなきゃだな」
「あら、決まりで結婚をするの?」
ようやく、いつもの調子を取り戻してきた私は揶揄うように問いかける。はるかも、いつもの余裕を取り戻してきたのかまさか、と呟いて再び私をその腕の中に収めた。
「決まりなんかじゃないさ。みちるが好きだから、愛してるから、ずっと一緒にいたいんだ」
嘘偽りのない真っ直ぐな言葉に胸を打たれる。本当に、とても純粋で真っ直ぐな人ね。
「私も、はるかが好きで、愛しているわ。ずっとあなたの隣にいさせて」
はるかは返事の代わりに、キスをした。
地球を、プリンセスを守るために戦う。それが私たちの使命であるからどうしたって永遠に戦いのない穏やかな時間を求められないことは分かっている。それでも、使命のことを考えず2人で気ままに旅をした夢のようなあの時は私にとって幸福以外の何ものでもなかった。
私たちが戦士である限り戦いを避けること、使命から逃れることは出来ない。そもそもあの人が使命を投げ出すなんてことをするわけがない。それに私は使命に忠実で、プリンセスを大切に思っていて、驚くほど真っ直ぐで純粋なはるかが好きだから。
暗い孤独の惑星で独り戦い、ウラヌスに会うことを許されずただひたすらに思っていただけの前とは違う。今は一緒に戦える。手の届く、すぐに触れられる距離にはるかがいる。たとえ使命の中で傷付き苦しい思いをしたとしてもはるかがいてくれればそれだけで私は良かった。
そしてついこの間、今までで最も強大な敵との戦いを終えた。色々、精神的にも身体的にもたくさん傷付き傷付けてしまったけれど今はまたみんな1つ屋根の下で戦いのない穏やかな時間を過ごしている。
使命から解放された平和な時間。それがまた手に入った。それも、今度はきっと前より長くこの時間が続くと思う。ずっと欲していた、けれど手に入らないと思っていたものが目の前にある。気兼ねなくヴァイオリニストになるという夢を追える。好きな人と、はるかと何でもない日を送れる。それが嬉しくてたまらなかった。
けれどそう思っているのは私だけかもしれない。はるかの気持ちは? はるかは自由を愛する人だから、1つの場所に留まるような人じゃないから、狭い世界で窮屈な思いをして欲しくないから。ただでさえ私は彼女を使命という重く決して外すことの出来ない枷に縛り付けてしまったのだからこれ以上あの人の自由を奪うようなことはしたくない。
はるかには自由になって欲しい。でもはるかのそばにいられなくなる、それを考えただけで背筋が凍りそうなほど怖かった。はるかの隣に立つ前の自分を思い出せない。はるかがいなくなってしまったら私は生きていけるのだろうか。
「みちる?」
「……えっ、」
ぐるぐると1人で考え、思考が悪い方向へ動き始めたところで声を掛けられる。振り返ると眉を顰めて心配そうな顔をしたせつなが立っていた。ぼんやりと手の中のカップを見つめていた私を怪訝に思ったのだろう。
取り繕うように笑みを浮かべたけれどせつなは眉間の皺をさらに深くしてソファに座る私の横へ腰掛けた。もうそんなものは通用しないことくらい、私も分かっているはずなのにね。
「どうかしましたか?」
「……何でもないわ、っていうのは、通用しないわよね」
せつなは私の言葉に微笑むとそりゃあ、もちろんと頷いた。私もそんなせつなに微笑むと再び手の中のカップに視線を落として実はね、とずっと考えていたことを話し始めた。
「ええっ?」
「そ、そんなに驚く? でも、こう考えてしまうのは仕方ないじゃない? もちろん、はるかだけじゃないわ。せつなやほたるだって、これから自由に自分たちの道を進んでいいのよ?」
「いえ……いえ、そうではなくてですね」
せつなは額に拳を当てながらうーんと唸っている。そして険しい表情を浮かべて私に向き直ると口を開いた。
「なぜ、そこまで深刻に考え込むんです? あなたたちは恋人同士ですよね?」
せつなと見合った状態で沈黙。せつなの言葉を頭の中で反芻。問いかけられてからたっぷり間を置いて私はようやく言葉の意味を理解し顔を真っ赤にさせながらち、違うわ! と否定した。私の否定の言葉にせつなは目を見開きええっ⁉ と大きな声を上げる。
「嘘でしょう⁉」
「う、嘘なんかついてどうするのよ……!」
「じゃ、じゃあ、キスなんかもしていないということですか⁉」
「し、してないわよ‼」
ただでさえ真っ赤になっているだろう顔をさらに赤くさせて私はせつなの言葉を強く否定した。キ、キスなんてしてるわけないじゃない! 付き合ってすらいないのに!
「そんっ、そんなピュアな関係だったんですか⁉ あなたたち!」
ええ……、と心底困惑している様子のせつなに私も困惑する。そんな、ピュアな関係だって言われてもはるかとは戦士としてのパートナーというだけだし……。
「みちるははるかのことが好きなんですよね?」
「え、ええ……」
「でも恋人同士ではないんですね?」
「そう、よ。はるかが好きって告白したのだって、1回だけだわ」
改めて聞かれると恥ずかしい。そもそもせつなにはるかが好きだって知られていたことに驚いた。
「あれだけ2人の空気を作っているのに付き合っていなかったんですか」
「2人の、空気?」
「ああ、無自覚だったんですね……」
せつなは1つ溜息を吐くとまあでも聞いてしまえばいいじゃないですか、諸々全て、はるかの気持ち、と言った。
「それは、そうなのだけれど。ええ、でも……」
「怖いのですか?」
こくりと頷く。ずっと、曖昧にするより直接聞いた方が良い。それは分かっているけれどはるかの口から直接、拒絶の言葉を聞くのが怖い。なんて身勝手な女なのかしらと自分自身に絶望をする。
自身に嫌悪感を抱いているとぽん、と優しく肩に手を置かれる。俯かせていた視線を上げるとせつなは優しい微笑みを浮かべていた。
「大丈夫ですよ。きっと。私を含め周囲の人間はあなたたちが付き合っていると思うほどなんですから」
「そう、なの?」
「ええ、だって2人とも明らかに距離が近いじゃないですか。はるかとの距離感ややり取り、私とはしないでしょう?」
言われて、たしかに、と思うけれどそれはせつながはるかのような態度を取らないからそうなだけでは? と首を傾げる。でも私がはるかに対して取っている態度をせつなに出来るかと言われるとそうではないし、それを受け入れてくれているということははるかも少なからず私に対して好意を抱いてくれているということ?
いえ、自惚れてはいけないわ。はるかはとても優しい人だもの。私を傷付けまいとしていただけの可能性の方が高いわ。
「ええ、きっと、絶対そうに違いないわ……」
「みちる……」
「大丈夫よせつな。ちゃんと、ちゃんとはるかに聞くから」
拒絶されても大丈夫なように心の準備を整えたらちゃんと聞くから。ちゃんと、笑って送り出せるようにするから。
「……分かりました。けれどみちる、1つだけ言っておきます」
「なあに?」
「私はここを離れるつもりはありませんよ。仕事や好きなことは、ここを離れなくても出来ます。もちろんみちるが離れるというのならそれは悲しいですが私は見送りますよ」
柔らかく見つめるせつなに、思わず目が潤む。私はせつなにありがとう、と笑った。
***
ただいまー、と玄関の扉を開けながら中へ入ればリビングの方から小さな足音が近付いてくる。その足音に自然と頬が緩む。靴を脱いで振り返ればみちるがおかえりなさい、と微笑んでいた。
「ただいまみちる」
「おつかれさま。もう少しでご飯できるから、部屋で宿題とお仕事をしているほたるとせつなを呼んできてくださる?」
僕はオーケー、と答えてまずは洗面所へ向かった。そしてそのまま真っ直ぐほたるの部屋へ向かう。
「ほたるー?」
「はーい」
ノックをしてほたるが顔を出すのを待つ。顔を覗かせたほたるはおかえりなさい! とにっこりと微笑んだ。僕もただいまと返してもうご飯ができるよ、と伝えると元気に返事をして降りて行った。僕は小さなその背中を見送って今度はせつなの部屋へと向かう。
「せつなー?」
ほたるの時と同じように声をかけながらノックをする。すると、ガタッ! パタパタ! と大きな音が聞こえた。その勢いのまま扉が開かれ僕は部屋の中へと引きずり込まれた。
「うわっ! な、なんだよせつな!」
「おかえりなさい」
驚いて声を上げる僕とは対称的に落ち着き払った声でせつなはそう言った。突然のらしくないせつなの行動にもう色々混乱して僕はあ、うん、ただいま、と呟いた。
「はるか、直球で聞きます」
「え、あ、はい」
なんだかよく分からない凄みに負けて仁王立ちするせつなの正面で僕は正座をする。なんだろう、怒られるようなことをした覚えはないんだけど。
「みちるとは恋人同士ではないのですか?」
せつなと見合った状態で沈黙。せつなの言葉を頭の中で反芻。問いかけられてからたっぷりと間を置いて僕はようやく言葉の意味を理解し顔を真っ赤にさせながらち、違う! と否定した。せつなは僕の言葉に大きく溜息を吐いた。
「では、もう1つ。はるかはみちるが好きですか? 友人やパートナー、家族としてではなく」
「な、なんなんだよ、急に……」
「いいから答えなさい。これは由々しき問題なのですよ」
ギンッと鋭く睨みながら返答を催促するせつなに僕は耳まで真っ赤にしながら好きだよ、と答える。
「それ、みちるに伝えたことは?」
「ないよ、言えるわけないだろ……」
みちるは、僕なんかにはもったいない人だ。あんなに優しくて可憐で美しくて、強い女性を僕は知らない。僕を広い世界へ、色のついた美しい世界へ連れ出してくれたみちるにはとても感謝しているしいつしか僕は彼女を好きになっていた。
いや、多分初めて会ったときにはもう好きだったんだ。でもそれに気付くのが怖くて蓋をして、戦士となってからはそんな浮ついた気持ちを知られて軽蔑されたくなくて無意識に抑え込んでたんだ。
それでも抑えきれないことがたまにあって意に反した行動をしてしまうことがあったけど無限学園に潜入する際、恋人として振る舞っていたことから特にみちるに勘付かれることは無くて密かに胸を撫で下ろしたくらいだ。
それくらい、彼女を好いているから。愛しているから、みちるには幸せになって欲しい。僕と一緒ではみちるは幸せになれないから。だからこの気持ちを打ち明けるなんて出来やしないんだ。
「それ、本気で言ってますか?」
「……当たり前だろ」
問い詰められて吐露して、なのに呆れた顔をするせつなにちょっとムッとして。僕は口を尖らせる。はあ、と心底呆れましたというような溜息に僕の眉間には深い皺が寄った。
「あなた、みちるが他の男性に取られて平気なのですか? みちるの隣に、どこの馬の骨とも知らない男がいていいのですか? それをじっと見て、あなたは祝福できるんですか?」
「っ!」
言葉を詰まらせる。想像して、怒りに頭が沸騰しそうになる。多分、そんな場面を見たら相手の男を殺すくらいの勢いで殴るだろうし、みちるに対して理不尽に怒りをぶつけるだろう。そうして、みちるの幸せを願っているのに真逆の行動をしようとする自分に気付いてしまって、なんて最低な奴なんだろうと自己嫌悪する。
「伝えてしまいなさい。自分の気持ちを」
「でも、」
「意気地なし」
「うっ、グサッとくること、言うね……」
そりゃあこんな状態の奴、傍から見ていたら僕だって意気地なしと罵っているさ。
「何をそんなに躊躇うのです? みちるに拒絶されるのが怖いからですか?」
「……そんなんじゃない。僕が、みちるを幸せにできるかどうかっていう、僕自身の問題さ」
自惚れ、と言われるのは分かっているけれど、みちるは僕のことが好きだ。僕が戦士としての使命を受け入れると誓った、みちるに大怪我をさせてしまったあの日。彼女に言われた告白は一言一句覚えてる。
だから多分、拒絶されることはないと思うんだけど。まあ、あれきり告白めいた言葉は言われていないしそんな素振りも見せていないから心変わりしているかもしれないけど。でも普段のみちるの僕に対する態度を見ているとまだ多少は好いてくれているとは思うんだ。
「そうですか。ではもう一度言いましょう。はるかの意気地なし」
「な、何度も言うなよ! さすがに怒るぞ!」
再び言われた言葉に僕は立ち上がり怒鳴る。なんなんだよ、一体。急に部屋に引きずり込まれて根掘り葉掘り問い詰められて罵られて、一体僕が何をしたっていうんだ!
正面から睨み付けていると真顔だったせつなはふっ、と目元を緩めて僕の頭に手を置いた。
「幸せにできるかどうか、ではなく。幸せにしてやる、という気概くらい見せなさい。……大丈夫、ここまでみちるを思っているはるかなら、絶対に幸せに出来ますから」
優しく、頭を撫でるその手に、その言葉にじわりと涙が滲んだ。せつなのその言動がタリスマンが現れると予感したあの日、僕の手を取って大丈夫だと包み込んでくれたみちると重なった。ありがとう、と呟いて顔を上げる。僕はみちるに気持ちを伝えるという覚悟を決めた。それを感じ取ったのか、せつなは僕の肩をぽんと軽く叩いた。
「では、今日伝えてしまいなさい」
「……えっ、今日⁉」
「思い立ったが吉日。何も今すぐとは言いません。ご飯を食べてお風呂に入って、寝る前にでも言えばいいでしょう」
「ええ……」
さ、そろそろみちるたちが不審に思うでしょうから行きますよ、と背中を押されながら僕は部屋を出た。
***
普段なら夕ご飯を食べてお風呂に入って、あとは寝る時間までリラックスをして各々好きなことをする時間。けれど私はどこか緊張したまま自室のベッドに腰掛けていた。どうしてか、それは私と入れ替わりでお風呂に入ろうとしたはるかが大事な話があるから寝ないでいてくれ、なんて言うからだった。
緊張で顔を強張らせたはるかにそんなことを言われて、そして昼にせつなに話したことを思い出して、もしやそのことに関してなのだろうかと考え込む。神妙な面持ちで切り出した当の本人は引き留める間もなくさっさとお風呂に行ってしまうしで1人でただはるかを待つことしか出来ない。
まだ、心の準備が出来ていないのに……。深呼吸をして一度落ち着こうと息を吸ったとき、コンコンとノックの音が響いた。
「みちる、起きてる?」
扉の向こうから聞こえた遠慮がちな声ははるかのものだった。どきどきと高鳴る心臓を押さえながら返事をして扉を開く。そして体を少しずらして通り道を作るとはるかはそっと部屋の中へ入ってきた。
部屋の中で立ち尽くすはるかと見つめ合う。お互い、口を開くことはなく沈黙だけが部屋を支配していた。私は一度目を伏せて、そしてはるかに視線を戻しながら口を開いた。
「大事な話、って。なあに?」
できるだけ、普段通りに。いつもの声音で、トーンで問いかける。はるかも数秒前の私と同じように一度目を伏せると座ってもいいかい? と聞いてきた。私は頷いてベッドに腰掛ける。はるかも隣にそっと腰掛けた。
はるかは視線を膝の上で組んだ拳に落としたままゆっくりと話し始めた。
「僕は、ずっと孤独だった。風になりたくて、1人で何もかもを振り払うように我武者羅に走ってた。僕の見た目に、才能に、寄ってくる人は多かったけど、でも僕はいつも独りだった」
突然の話に意図が分からず、私は視線を隣に座るはるかへ向けて黙って聞いていた。
「でも、君に出会ってから僕の世界は変わったんだ。君が孤独だった僕を見つけて、包み込んでくれた」
そう言いながら、はるかは視線を上げて私を見た。私はただ、はるかの言葉が信じられなくて言葉を失っていた。
「もう僕はみちるなしじゃ生きられない。みちると出会う前の僕にはもう戻れないんだ。……でも、ずっと言えなくて。君を幸せにできる自信がなくて、だけどせつなに言われたよ」
「せつな?」
思いもよらないタイミングで現れた名前に声が裏返る。それに頬を赤くするけれどはるかは気付いていない様子だった。
「君の隣に僕じゃない人が立っているのを我慢できるのかって。君の幸せのために身を引こうとしたけどそれを想像して、頭に血が昇った。僕以外の人が君の隣に立つのを、僕は許せない」
だから、と続けようとするはるかの言葉を遮って、私は口を開いた。
「私の幸せって、勝手に、勝手に決めないで! 私の幸せは、はるかの隣にいることよ! ずっと、あなたの隣に立ちたかったっ! でも、あなたを使命という重い、決して外すことの出来ない枷に縛り付けてしまったから、こんな気持ちを打ち明けてさらにはるかを縛るようなことをしたくなかったの……それに何より、はるかに拒絶されるのが怖かった……!」
溢れてくる涙をそのままに私はずっと抱いていた思いをはるかにぶつける。はるかは目を見開いて驚いた様子だった。でも、止まらなくなってしまった私はさらに言葉を続けた。
「でも、私も、もうはるかのいない世界では生きられないわ……。はるかの隣に立つ前の自分を思い出せない。はるかが隣にいない。それを考えただけで、背筋が凍るほど怖かった……」
自分勝手で身勝手で、ごめんなさい、でも私ははるかと離れたくない。それを泣きながら、必死に伝える。はるかに気を使わせてしまうから本当は涙なんて流したくないのに、勝手に溢れて止まらない。
乱暴に目を擦って涙を止めようとしているとはるかに両手を取られてしまった。そしてそのまま優しく抱き締められる。大好きで安心するはるかの温もりに、匂いに包まれて、ああやっぱりこの場所を手放すなんてしたくない。できないと思った。
「ねえみちる? 僕たち、随分と臆病だったみたいだ。もっと早くに、ちょっとずつでも伝えていればよかったのにね」
ええ、本当に、そう思うわ。だって今、こんなにも胸が暖かい。
そっと、はるかが私の肩を押して距離を取る。お互い見つめ合って、そしてはるかがゆっくりと顔を近付けてくる。間近になるはるかの整った顔に頬が熱くなる。距離が完全にゼロになる直前、私は瞳を閉じた。
数度、角度を変えて唇を触れ合わせる。耳が熱い。きっと真っ赤だわ。
はるかが離れた気配を感じて目を開けると、いつもは澄まして涼しい顔をしているはるかが耳の先まで真っ赤にしていた。私だって同じくらい赤くなってるだろうに、そんなはるかが可愛くて思わず笑ってしまった。
「笑うなよ……みちるだって真っ赤だぞ」
「ふふ、ごめんなさい」
くすくすと笑いの止まらない私を見てはるかも可笑しそうに笑う。ひとしきり2人で笑って落ち着いた頃、はるかが囁いた。
「キス、したから、結婚しなきゃだな」
「あら、決まりで結婚をするの?」
ようやく、いつもの調子を取り戻してきた私は揶揄うように問いかける。はるかも、いつもの余裕を取り戻してきたのかまさか、と呟いて再び私をその腕の中に収めた。
「決まりなんかじゃないさ。みちるが好きだから、愛してるから、ずっと一緒にいたいんだ」
嘘偽りのない真っ直ぐな言葉に胸を打たれる。本当に、とても純粋で真っ直ぐな人ね。
「私も、はるかが好きで、愛しているわ。ずっとあなたの隣にいさせて」
はるかは返事の代わりに、キスをした。
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