日常だもの
うちの朝はまずみちるママが起きるところから始まる。次にせつなママ、私、最後にはるかパパの順番で起きてくるのだ。
はるかパパは低血圧で朝なかなか起きられないから何度か声をかけてギリギリまで寝かせてあげるのが習慣になっている。
そして手の空いた人がはるかパパを完全に起こしに行くのだけれどみちるママが起こしに行くとちょっとだけ私やせつなママの時より遅い。なぜならみちるママがはるかパパに甘いからなのだ。
「はるか、起きてちょうだい」
「ん〜……」
「このままだとお仕事に遅れてしまうわよ?」
「ん、んー」
「はーるーか」
そっと、はるかパパとみちるママの寝室の扉から中を覗く。ベッドに腰掛けたみちるママが枕に顔を埋めてうつ伏せになっているはるかパパの寝癖を優しく撫でながら声をかける。
くすくすと楽しそうに幸せそうに笑うみちるママがとっても綺麗で思わず見とれてしまった。
「ねぇ、起きて?」
「ぅん……お、た」
まだ全然覚醒しきっていないはるかパパはだるそうに体を起こすと掠れた声で呟く。みちるママはそんなパパの頬に手を添えると偉いわ、おはよう、と言って手を添えたのとは反対側の頬にキスをする。
パパはくすっと笑うとおはよう、と返しながらみちるママの唇にキスをした。
私はそろそろ下に降りてくるだろう2人を見届けると先にリビングへ向かって朝食に手を付け始めた。
「おはよ、せつなは?」
「おはよう。もうお仕事行ったよー」
はるかパパは席に着きながらそっか、と呟くと朝食を食べ始める。みちるママはとっくに食べ終えているからはるかパパのためにコーヒーを持ってパパの横に腰掛けた。
3人で会話をしながら朝食を食べ、支度を終えるとはるかパパはお仕事へ行く時間になっていた。
玄関でみちるママと一緒に行ってらっしゃいと見送るとパパは私には頬に、みちるママには唇に1つキスをする。せつなママがいたらきっと怒ってただろうな、と思いながら私は上機嫌なその背中を見送った。
はるかパパは夕方まで、せつなママは夜まで帰ってこないので私は久しぶりにみちるママを独占したのだった。
みちるママとヴァイオリンを弾いたり絵を描いたりお家のことをしたりしていると聞き慣れたエンジン音が響く。
帰ってきたわね、と笑うみちるママに私も笑い返して2人で玄関にお出迎えへ。ほんの少しだけ早足なみちるママの後ろにくっ付いて玄関へ向かうとはるかパパが靴を脱いでいるところだった。
「おかえりなさい、はるか」
「おかえりなさい!」
「ただいま、みちる、ほたる」
おかえりなさいのキスをみちるママからはるかパパへ。パパはお返しというようにみちるママにキスすると私にもただいま、とキスをした。だから私もパパの頬におかえりなさいとキスを返す。
「今日の晩ご飯ね、私もお手伝いしたんだよ!」
「お、そうのか。ほたるの料理楽しみだな」
「ちゃんとみちるママの説明通りに作ったから美味しい! はずだよ」
ちょっとだけ自信なさげにそう言うとはるかパパは笑って失敗してても次に活かせばいいさ、と言ってくれた。
帰ってきたパパとリビングでお話をしている間、みちるママは私たちのことを微笑ましそうに見ながら時折会話に参加していた。はるかパパにぴったりと寄り添いながら。
晩ご飯までにはせつなママも帰ってくるし、少しだけでも2人の時間を作ってあげようと私はちょっとお部屋に戻るね、と言ってその場を後にした。
リビングを出る直前、振り返るとパパとママはキスをしていた。
「ただいま帰りました」
せつなママの声が聞こえてハッとする。時計を見るともう晩ご飯の時間だった。はるかパパとみちるママを2人っきりにしてあげようと部屋に戻ってきた私は以前読んだことのある本を読んで暇を潰していたのだけれど気が付いたら夢中になってたみたい。
「おかえりなさい、せつなママ!」
「ただいま、ほたる」
せつなママをお出迎えして一緒にリビングへ行くとはるかパパとみちるママがおかえり、と微笑んでせつなママを迎えた。
みんなで協力して晩ご飯の用意を済ませていただきます、と声を揃える。
「ん、美味しいぞほたる」
「ほんと?」
「あら、これはほたるが作ったのですか?」
「そうよ。ほたる、お料理の才能があるわ」
「みちるママの教え方が上手だっただけだよ」
3人とも大袈裟だなあ、と思うけれどお世辞でも褒めてもらえるのはやっぱり嬉しくて自然と笑顔が溢れる。
みんなで美味しいご飯を食べ終えて久しぶりにみちるママとお風呂に入って髪を乾かしてもらった。それがあまりにも心地好くてうとうとしているとそろそろ寝ようか、とはるかパパが言った。
「おやすみなさあい」
パパたちにおやすみのキスをしてリビングを出ようとしたタイミングではるかパパが流れるようにみちるママにおやすみのキスをする。
「はるか!」
せつなママの声が響く。やべ、と舌を出すはるかパパにせつなママが詰め寄った。
「あなた、ほたるの前ではやめなさいとあれほど……!」
「いや、ごめん。つい……」
はるかパパの言う通りいつもの癖でつい、なのだろう。パパたちがキスをしているのなんて日常的で私たちが息をするのと同じようなものなんだからせつなママも諦めたらいいのに。
「先に寝るね、おやすみー」
言い合いをするはるかパパとせつなママ、その2人を宥めるみちるママにそう告げて私は今日も平和で穏やかな日常を終えるのだった。
はるかパパは低血圧で朝なかなか起きられないから何度か声をかけてギリギリまで寝かせてあげるのが習慣になっている。
そして手の空いた人がはるかパパを完全に起こしに行くのだけれどみちるママが起こしに行くとちょっとだけ私やせつなママの時より遅い。なぜならみちるママがはるかパパに甘いからなのだ。
「はるか、起きてちょうだい」
「ん〜……」
「このままだとお仕事に遅れてしまうわよ?」
「ん、んー」
「はーるーか」
そっと、はるかパパとみちるママの寝室の扉から中を覗く。ベッドに腰掛けたみちるママが枕に顔を埋めてうつ伏せになっているはるかパパの寝癖を優しく撫でながら声をかける。
くすくすと楽しそうに幸せそうに笑うみちるママがとっても綺麗で思わず見とれてしまった。
「ねぇ、起きて?」
「ぅん……お、た」
まだ全然覚醒しきっていないはるかパパはだるそうに体を起こすと掠れた声で呟く。みちるママはそんなパパの頬に手を添えると偉いわ、おはよう、と言って手を添えたのとは反対側の頬にキスをする。
パパはくすっと笑うとおはよう、と返しながらみちるママの唇にキスをした。
私はそろそろ下に降りてくるだろう2人を見届けると先にリビングへ向かって朝食に手を付け始めた。
「おはよ、せつなは?」
「おはよう。もうお仕事行ったよー」
はるかパパは席に着きながらそっか、と呟くと朝食を食べ始める。みちるママはとっくに食べ終えているからはるかパパのためにコーヒーを持ってパパの横に腰掛けた。
3人で会話をしながら朝食を食べ、支度を終えるとはるかパパはお仕事へ行く時間になっていた。
玄関でみちるママと一緒に行ってらっしゃいと見送るとパパは私には頬に、みちるママには唇に1つキスをする。せつなママがいたらきっと怒ってただろうな、と思いながら私は上機嫌なその背中を見送った。
はるかパパは夕方まで、せつなママは夜まで帰ってこないので私は久しぶりにみちるママを独占したのだった。
みちるママとヴァイオリンを弾いたり絵を描いたりお家のことをしたりしていると聞き慣れたエンジン音が響く。
帰ってきたわね、と笑うみちるママに私も笑い返して2人で玄関にお出迎えへ。ほんの少しだけ早足なみちるママの後ろにくっ付いて玄関へ向かうとはるかパパが靴を脱いでいるところだった。
「おかえりなさい、はるか」
「おかえりなさい!」
「ただいま、みちる、ほたる」
おかえりなさいのキスをみちるママからはるかパパへ。パパはお返しというようにみちるママにキスすると私にもただいま、とキスをした。だから私もパパの頬におかえりなさいとキスを返す。
「今日の晩ご飯ね、私もお手伝いしたんだよ!」
「お、そうのか。ほたるの料理楽しみだな」
「ちゃんとみちるママの説明通りに作ったから美味しい! はずだよ」
ちょっとだけ自信なさげにそう言うとはるかパパは笑って失敗してても次に活かせばいいさ、と言ってくれた。
帰ってきたパパとリビングでお話をしている間、みちるママは私たちのことを微笑ましそうに見ながら時折会話に参加していた。はるかパパにぴったりと寄り添いながら。
晩ご飯までにはせつなママも帰ってくるし、少しだけでも2人の時間を作ってあげようと私はちょっとお部屋に戻るね、と言ってその場を後にした。
リビングを出る直前、振り返るとパパとママはキスをしていた。
「ただいま帰りました」
せつなママの声が聞こえてハッとする。時計を見るともう晩ご飯の時間だった。はるかパパとみちるママを2人っきりにしてあげようと部屋に戻ってきた私は以前読んだことのある本を読んで暇を潰していたのだけれど気が付いたら夢中になってたみたい。
「おかえりなさい、せつなママ!」
「ただいま、ほたる」
せつなママをお出迎えして一緒にリビングへ行くとはるかパパとみちるママがおかえり、と微笑んでせつなママを迎えた。
みんなで協力して晩ご飯の用意を済ませていただきます、と声を揃える。
「ん、美味しいぞほたる」
「ほんと?」
「あら、これはほたるが作ったのですか?」
「そうよ。ほたる、お料理の才能があるわ」
「みちるママの教え方が上手だっただけだよ」
3人とも大袈裟だなあ、と思うけれどお世辞でも褒めてもらえるのはやっぱり嬉しくて自然と笑顔が溢れる。
みんなで美味しいご飯を食べ終えて久しぶりにみちるママとお風呂に入って髪を乾かしてもらった。それがあまりにも心地好くてうとうとしているとそろそろ寝ようか、とはるかパパが言った。
「おやすみなさあい」
パパたちにおやすみのキスをしてリビングを出ようとしたタイミングではるかパパが流れるようにみちるママにおやすみのキスをする。
「はるか!」
せつなママの声が響く。やべ、と舌を出すはるかパパにせつなママが詰め寄った。
「あなた、ほたるの前ではやめなさいとあれほど……!」
「いや、ごめん。つい……」
はるかパパの言う通りいつもの癖でつい、なのだろう。パパたちがキスをしているのなんて日常的で私たちが息をするのと同じようなものなんだからせつなママも諦めたらいいのに。
「先に寝るね、おやすみー」
言い合いをするはるかパパとせつなママ、その2人を宥めるみちるママにそう告げて私は今日も平和で穏やかな日常を終えるのだった。
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