鬼は外、パパも外?
事のあらましを聞いた私たちは頭を抱える。いや、本当にごめん、というはるかの言葉に仕方がないと言うしかなかった。
しかし普段のみちるならばきちんとはるかの言い分に耳を傾けて(それがどんなにやましい事がありそうでも)冷静に判断するのに不思議だ、と思っているとはるかがだから間が悪かったって言ったろ? と言う。
『最近仕事が忙しくて家に帰るのも遅い時間だったし、不安とか色々あったんだと思う。浮気を疑ったって仕方ないだろ?』
「そう、でしょうか」
そういうもんさ、言ってしまえば巡り巡って僕が悪いのかも、なんて笑うはるかに私もほたるもある意味感心した。
「鬼は外じゃなくてパパは外になっちゃったね」
「ほたる……」
ほたるの言葉に私とはるかは苦笑いをした。とりあえずほたるの言葉通りにならないようこちらでも色々ケアをしなければならない。
一度帰ってきたらどうですか? と聞けばはるかはそうだね、と頷いた。
「みちるにあなたが帰ってくること伝えておきましょうか?」
『うん。まあ多分君たちが僕と連絡を取ってることも気付いてると思うから、必要ないかもしれないけど』
みちるの勘の良さはずば抜けているから確かにそうかもしれない。
まあでも、帰ってくると分かっていれば気持ちも整理しておけるだろうし伝えておきます、とはるかに伝えて通話を切った。
「さて、これからが本番ですよほたる」
「うん!」
意外に頑固で意地っ張りなみちるの鉄壁の怒りをどうにかこうにか崩す、あるいは隙を作っておいてあとは全てはるかに丸投げと行きましょう。
私たちは腹を括って再び1階へ降り、リビングへと入っていった。するとみちるがダイニングテーブルに座っているのが視界に映った。
「みちる、用意を押し付けてしまってすみません」
「え? ああ、いえ、いいのよ」
声をかければ私たちに気付いていなかったのか少しだけ肩を跳ねさせて振り返る。その顔と返ってきた言葉におや? と思う。
ほたるとこっそり視線を合わせて頷くと共にダイニングテーブルに座った。
「ねえ、みちるママ。はるかパパの事なんだけど……」
「えぇ……。いえ、分かってるのよ、私が悪いの。勝手に不安になって怒って追い出して……馬鹿みたいだわ」
はぁ、と溜息を吐くみちるは心底後悔している様子だった。どうやらはるかの一旦間を置く作戦は功を奏したようでみちるの怒りはとっくに霧散していた。
困ったように微笑みながらはるか、帰ってくるのでしょう? と聞くみちるに予想していたとはいえ驚く。
「本当に、あなたは超能力でも使えるのでしょうか」
「もう、そんな冗談言ってる場合じゃないわ。これでも深刻なのよ」
珍しく頭を抱えるみちるを私とほたるは笑顔で見守る。ほたるは声に出さないで良かったね、と言った。それに頷いてあとははるかが帰ってくるのを待つだけだわ、と胸を撫で下ろした。
「やっぱり帰ってきたらすぐに謝るべきよね……でもあんな理不尽なことをしたのだもの、はるかだって怒ってるわよね……帰ってきてすぐに部屋に篭ってしまったらどうしましょう……」
小さな声で呟くみちるに苦笑いをする。さっきからずっとこの調子でいるものだから何度か声をかけてみたけれど全く聞く耳持たず。これならまだ怒ってくれていた方が良かったかもしれないなんて思った。
ほたるの顔には早く帰ってきてよはるかパパ〜という言葉がありありと浮かんでいる。それにしても遅いわね、と時計を見上げた瞬間チャイムの音が響いた。
しかし普段のみちるならばきちんとはるかの言い分に耳を傾けて(それがどんなにやましい事がありそうでも)冷静に判断するのに不思議だ、と思っているとはるかがだから間が悪かったって言ったろ? と言う。
『最近仕事が忙しくて家に帰るのも遅い時間だったし、不安とか色々あったんだと思う。浮気を疑ったって仕方ないだろ?』
「そう、でしょうか」
そういうもんさ、言ってしまえば巡り巡って僕が悪いのかも、なんて笑うはるかに私もほたるもある意味感心した。
「鬼は外じゃなくてパパは外になっちゃったね」
「ほたる……」
ほたるの言葉に私とはるかは苦笑いをした。とりあえずほたるの言葉通りにならないようこちらでも色々ケアをしなければならない。
一度帰ってきたらどうですか? と聞けばはるかはそうだね、と頷いた。
「みちるにあなたが帰ってくること伝えておきましょうか?」
『うん。まあ多分君たちが僕と連絡を取ってることも気付いてると思うから、必要ないかもしれないけど』
みちるの勘の良さはずば抜けているから確かにそうかもしれない。
まあでも、帰ってくると分かっていれば気持ちも整理しておけるだろうし伝えておきます、とはるかに伝えて通話を切った。
「さて、これからが本番ですよほたる」
「うん!」
意外に頑固で意地っ張りなみちるの鉄壁の怒りをどうにかこうにか崩す、あるいは隙を作っておいてあとは全てはるかに丸投げと行きましょう。
私たちは腹を括って再び1階へ降り、リビングへと入っていった。するとみちるがダイニングテーブルに座っているのが視界に映った。
「みちる、用意を押し付けてしまってすみません」
「え? ああ、いえ、いいのよ」
声をかければ私たちに気付いていなかったのか少しだけ肩を跳ねさせて振り返る。その顔と返ってきた言葉におや? と思う。
ほたるとこっそり視線を合わせて頷くと共にダイニングテーブルに座った。
「ねえ、みちるママ。はるかパパの事なんだけど……」
「えぇ……。いえ、分かってるのよ、私が悪いの。勝手に不安になって怒って追い出して……馬鹿みたいだわ」
はぁ、と溜息を吐くみちるは心底後悔している様子だった。どうやらはるかの一旦間を置く作戦は功を奏したようでみちるの怒りはとっくに霧散していた。
困ったように微笑みながらはるか、帰ってくるのでしょう? と聞くみちるに予想していたとはいえ驚く。
「本当に、あなたは超能力でも使えるのでしょうか」
「もう、そんな冗談言ってる場合じゃないわ。これでも深刻なのよ」
珍しく頭を抱えるみちるを私とほたるは笑顔で見守る。ほたるは声に出さないで良かったね、と言った。それに頷いてあとははるかが帰ってくるのを待つだけだわ、と胸を撫で下ろした。
「やっぱり帰ってきたらすぐに謝るべきよね……でもあんな理不尽なことをしたのだもの、はるかだって怒ってるわよね……帰ってきてすぐに部屋に篭ってしまったらどうしましょう……」
小さな声で呟くみちるに苦笑いをする。さっきからずっとこの調子でいるものだから何度か声をかけてみたけれど全く聞く耳持たず。これならまだ怒ってくれていた方が良かったかもしれないなんて思った。
ほたるの顔には早く帰ってきてよはるかパパ〜という言葉がありありと浮かんでいる。それにしても遅いわね、と時計を見上げた瞬間チャイムの音が響いた。