鬼は外、パパも外?
「はるか、起きてちょうだい」
「ん……」
肩を揺すられる感覚、耳にこだまする優しく柔らかい声。全てが心地よくて瞼を閉じたまま僕の口角があがる。それを目敏く見つけた僕の大好きな心安らぐ声を持つ人物はムッとしたような声で続ける。
「もう、笑ってないで起きて。今日は忙しいのよ」
さっきまで遠慮がちに揺すられていた肩は激しくなり否が応でも目が覚める。
「ふふ、ごめんて。おはよう、みちる」
「もう……。おはよう、はるか」
ちょっと怒ったような顔をしていたみちるは僕がおはようと微笑むと同じように微笑んで頬にキスをしてくれた。
そこまでされちゃあ起きないわけにはいかないよな、と少し勢いをつけて体を起こす。その勢いのままベッドから降りて立ち上がりみちるの柔らかい唇を奪った。
もう、と呆れたように呟くけれど耳が赤くなっていて本当にみちるってばかわいいな、なんて思った。
「で? 今日は何を買いに行くんだっけ」
遅めの朝食を終えた僕はコーヒーを飲みながらみちるに問いかける。みちるは恵方巻きの材料と豆まき用の豆と他に夕食の具材も買いたいと言った。
恵方巻きは買ってもいいのだけれどせっかくだしね、という言葉に僕も頷く。ほたるたちが帰ってくる前に2人である程度準備を進めておこうと話しながら僕たちは車に乗り込んだ。
そして必要な物を買った僕らは久しぶりの2人きりということもあって少し寄り道して帰ることにした。ドライブをしたりカフェでお茶したり街中を歩いたりしてデートを楽しんでいた。
「ちょっとここのお店、覗いてきていいかしら?」
「うん。僕も行こうか?」
すぐに終わるから待ってて、と言われて僕は大人しく待っていることにした。あまり店から離れないように近くをぶらぶらとしていると背後からみちるとは違う声ではるか! と呼ばれる。
振り返れば僕のファンクラブの子が笑顔で立っていた。女の子は嬉しそうに駆け寄ってくるとこんな所で会えるなんて運命だわ! なんて言っている。僕は営業スマイルを浮かべながらそれとなく彼女と距離を取る。
「そうかな、ここは結構色んな人が来るし運命ってほどでもないと思うけど」
本当の運命なんて、こんなもんじゃないさ、と心の中で呟く。目の前の女の子は何やら反論している様子だけど僕はみちるのことを考えていた。
うん、やっぱり運命っていうならみちるとの出会いのことだよな、なんてぼんやりとみちるのことを考えていたから油断してしまって彼女が腕に絡んでくるのを阻止出来なかった。
前からスキンシップの激しい子で気を付けてたんだけど失敗したな、と思いながらやんわりとその腕を離そうとした。その時だった。
「はるか?」
「うっ! み、みちる……」
振り返るとにっこりと綺麗な笑みを浮かべたみちるが腕を組んで仁王立ちしていた。
ああ、これは相当怒っている、やばい。
慌てて女の子から離れて弁解を試みるが後ろから不満げに声を荒らげる彼女に邪魔をされる。
「ごめん、僕忙しいから」
「あ! はるか!!」
なおも追いすがろうとする彼女を振り切ってみちると共に車へ戻る。車を走らせて家へ向かうが助手席に座ったみちるは一言も喋らず笑顔を浮かべたままだ。
とにかく説明しなくちゃ、とありのままを話すけれど相当焦っていた僕の言い分はどこからどう見てもやましい事があった奴にしか見えなかった。結局みちるの勘違いを正すことは出来ないまま家に着き、挙句の果て僕は締め出されてしまった。
みちると一緒に出ていたから家の鍵も持っていなかったし、今無理に話したところで何も受け入れて貰えないだろうと判断した僕はお互いの熱を冷ますためにも一度家から離れることにした。
「ん……」
肩を揺すられる感覚、耳にこだまする優しく柔らかい声。全てが心地よくて瞼を閉じたまま僕の口角があがる。それを目敏く見つけた僕の大好きな心安らぐ声を持つ人物はムッとしたような声で続ける。
「もう、笑ってないで起きて。今日は忙しいのよ」
さっきまで遠慮がちに揺すられていた肩は激しくなり否が応でも目が覚める。
「ふふ、ごめんて。おはよう、みちる」
「もう……。おはよう、はるか」
ちょっと怒ったような顔をしていたみちるは僕がおはようと微笑むと同じように微笑んで頬にキスをしてくれた。
そこまでされちゃあ起きないわけにはいかないよな、と少し勢いをつけて体を起こす。その勢いのままベッドから降りて立ち上がりみちるの柔らかい唇を奪った。
もう、と呆れたように呟くけれど耳が赤くなっていて本当にみちるってばかわいいな、なんて思った。
「で? 今日は何を買いに行くんだっけ」
遅めの朝食を終えた僕はコーヒーを飲みながらみちるに問いかける。みちるは恵方巻きの材料と豆まき用の豆と他に夕食の具材も買いたいと言った。
恵方巻きは買ってもいいのだけれどせっかくだしね、という言葉に僕も頷く。ほたるたちが帰ってくる前に2人である程度準備を進めておこうと話しながら僕たちは車に乗り込んだ。
そして必要な物を買った僕らは久しぶりの2人きりということもあって少し寄り道して帰ることにした。ドライブをしたりカフェでお茶したり街中を歩いたりしてデートを楽しんでいた。
「ちょっとここのお店、覗いてきていいかしら?」
「うん。僕も行こうか?」
すぐに終わるから待ってて、と言われて僕は大人しく待っていることにした。あまり店から離れないように近くをぶらぶらとしていると背後からみちるとは違う声ではるか! と呼ばれる。
振り返れば僕のファンクラブの子が笑顔で立っていた。女の子は嬉しそうに駆け寄ってくるとこんな所で会えるなんて運命だわ! なんて言っている。僕は営業スマイルを浮かべながらそれとなく彼女と距離を取る。
「そうかな、ここは結構色んな人が来るし運命ってほどでもないと思うけど」
本当の運命なんて、こんなもんじゃないさ、と心の中で呟く。目の前の女の子は何やら反論している様子だけど僕はみちるのことを考えていた。
うん、やっぱり運命っていうならみちるとの出会いのことだよな、なんてぼんやりとみちるのことを考えていたから油断してしまって彼女が腕に絡んでくるのを阻止出来なかった。
前からスキンシップの激しい子で気を付けてたんだけど失敗したな、と思いながらやんわりとその腕を離そうとした。その時だった。
「はるか?」
「うっ! み、みちる……」
振り返るとにっこりと綺麗な笑みを浮かべたみちるが腕を組んで仁王立ちしていた。
ああ、これは相当怒っている、やばい。
慌てて女の子から離れて弁解を試みるが後ろから不満げに声を荒らげる彼女に邪魔をされる。
「ごめん、僕忙しいから」
「あ! はるか!!」
なおも追いすがろうとする彼女を振り切ってみちると共に車へ戻る。車を走らせて家へ向かうが助手席に座ったみちるは一言も喋らず笑顔を浮かべたままだ。
とにかく説明しなくちゃ、とありのままを話すけれど相当焦っていた僕の言い分はどこからどう見てもやましい事があった奴にしか見えなかった。結局みちるの勘違いを正すことは出来ないまま家に着き、挙句の果て僕は締め出されてしまった。
みちると一緒に出ていたから家の鍵も持っていなかったし、今無理に話したところで何も受け入れて貰えないだろうと判断した僕はお互いの熱を冷ますためにも一度家から離れることにした。