捕食
すっと、とても自然な流れではるかは私の前髪を避けるとそのまま額にキスをする。あまりに流麗で自然だったから私ははるかが離れて微笑むまでキスをされたことを理解出来ていなかった。
「……もう、なぁに」
「なにも」
はるかは愛おしそうに私を見つめながらそう言って前髪を避けた手を頬に添え、そのまま親指で私の下唇を撫でると再び顔を近付ける。
はるかの動きに私も自然と瞼を閉じる。唇に柔らかい感触を感じ、その感触が離れていくのと同時に瞼を開ける。思っていたよりもずっと近いところではるかの瞳を見つめるとはるかは目を細めてまた私の額にキスをした。
そして満足したのかはるかは微笑むとソファに腰掛けて雑誌を手に取った。夕飯の用意をするには早すぎる時間だから紅茶でも飲もうと用意をする。
はるかにも飲む? と聞けばうん、と返ってきたから2人分用意してはるかの横に腰掛けるとありがとう、と言いながらはるかは紅茶を飲む。
はるかはそのまま雑誌を読み進める。私はそんなはるかの横に腰掛けて両手でカップを持ったまま考え事をしていた。
それというのがさっきのキスのこと。はるかはよく私が横にいると額にキスをしてくる。
会話をしている時に突然だったり無言で寄り添っている時だったり、そういう時に本当にするのが当たり前というように額にキスをして流れるように唇もキスをする。
別に嫌というわけではないしむしろ喜びを感じるけれど本当に突然してくるから心臓に悪い。
せめてタイミングが測れればいいのだけれど多分特に大した理由もないだろうから推測することも出来なくて私ははるかにドキドキされっぱなしというわけだ。
なんだか悔しいわ、と思っているとはるかがみちる、と呼ぶ。はるかの方に顔を向けるとそのまま額にキスをされた。
「……何を祝福してくれるのかしら?」
「んー、そうだな。僕とずっと一緒にいられること?」
満面の笑みでこちらを見るはるかに呆れつつも私にとっての幸福はまさにその通りだからバカね、と呟くだけだった。
「ごめんごめん。いや、なんていうかちょうどいい高さにあるからついしたくなっちゃうんだよ」
「ちょうどいい高さって……」
確かに私とはるかの身長差を考えると私の額がはるかの口元にあたるくらいの高さになる。
けれどじゃあそこにあるからしてるだけってことよね? なんだか本当に大した理由が無いことに複雑な感情を抱く。
「あと、みちるのおでこ可愛くて」
「……可愛い?」
「うん。丸くて白くてすべすべで、食べちゃいたくなる」
はるかはそう言いながら獲物を捕らえるような目付きをした。その言葉、表情に私は心臓を高鳴らせ無意識にそういう言動をするはるかに困ったものだと心の中で呟いた。
食べちゃいたくなるのガマンしてキスで止めてるのさ、というとはるかはソファから立ち上がる。私の手を引いて一緒に立ち上がらせるとそのまま私ははるかの腕の中に閉じ込められた。
「ほら、こうすると美味しそうなおでこが僕の目の前に来るんだ」
ちゅ、とリップ音を鳴らしながらはるかは見上げる私の額にキスを落とす。
心底幸せそうに、愛おしそうに笑うはるかを見て私も自然と笑みが零れる。
さ、夕飯の食材でも買いに行こうかと言うとはるかは私からそっと離れる。私は離れていこうとするはるかのシャツの胸元を引っ張って引き寄せた。
「うわっ!?」
引き寄せた勢いのままはるかの喉にキスをする。というより、噛み付くような感じになった。
「えっ、と?」
顔を少し赤くして困惑しきっているはるかの腰に腕を回してぴったりと体を寄せる。そして少し背伸びをして今度は優しくもう一度喉にキスをした。
はるかは低く唸って買い物、行けなくなるぜ……? と耳元で囁く。だから私もはるかの耳元に口を寄せてこう言った。
「……だって、美味しそうな喉が目の前にあったんですもの」
「……もう、なぁに」
「なにも」
はるかは愛おしそうに私を見つめながらそう言って前髪を避けた手を頬に添え、そのまま親指で私の下唇を撫でると再び顔を近付ける。
はるかの動きに私も自然と瞼を閉じる。唇に柔らかい感触を感じ、その感触が離れていくのと同時に瞼を開ける。思っていたよりもずっと近いところではるかの瞳を見つめるとはるかは目を細めてまた私の額にキスをした。
そして満足したのかはるかは微笑むとソファに腰掛けて雑誌を手に取った。夕飯の用意をするには早すぎる時間だから紅茶でも飲もうと用意をする。
はるかにも飲む? と聞けばうん、と返ってきたから2人分用意してはるかの横に腰掛けるとありがとう、と言いながらはるかは紅茶を飲む。
はるかはそのまま雑誌を読み進める。私はそんなはるかの横に腰掛けて両手でカップを持ったまま考え事をしていた。
それというのがさっきのキスのこと。はるかはよく私が横にいると額にキスをしてくる。
会話をしている時に突然だったり無言で寄り添っている時だったり、そういう時に本当にするのが当たり前というように額にキスをして流れるように唇もキスをする。
別に嫌というわけではないしむしろ喜びを感じるけれど本当に突然してくるから心臓に悪い。
せめてタイミングが測れればいいのだけれど多分特に大した理由もないだろうから推測することも出来なくて私ははるかにドキドキされっぱなしというわけだ。
なんだか悔しいわ、と思っているとはるかがみちる、と呼ぶ。はるかの方に顔を向けるとそのまま額にキスをされた。
「……何を祝福してくれるのかしら?」
「んー、そうだな。僕とずっと一緒にいられること?」
満面の笑みでこちらを見るはるかに呆れつつも私にとっての幸福はまさにその通りだからバカね、と呟くだけだった。
「ごめんごめん。いや、なんていうかちょうどいい高さにあるからついしたくなっちゃうんだよ」
「ちょうどいい高さって……」
確かに私とはるかの身長差を考えると私の額がはるかの口元にあたるくらいの高さになる。
けれどじゃあそこにあるからしてるだけってことよね? なんだか本当に大した理由が無いことに複雑な感情を抱く。
「あと、みちるのおでこ可愛くて」
「……可愛い?」
「うん。丸くて白くてすべすべで、食べちゃいたくなる」
はるかはそう言いながら獲物を捕らえるような目付きをした。その言葉、表情に私は心臓を高鳴らせ無意識にそういう言動をするはるかに困ったものだと心の中で呟いた。
食べちゃいたくなるのガマンしてキスで止めてるのさ、というとはるかはソファから立ち上がる。私の手を引いて一緒に立ち上がらせるとそのまま私ははるかの腕の中に閉じ込められた。
「ほら、こうすると美味しそうなおでこが僕の目の前に来るんだ」
ちゅ、とリップ音を鳴らしながらはるかは見上げる私の額にキスを落とす。
心底幸せそうに、愛おしそうに笑うはるかを見て私も自然と笑みが零れる。
さ、夕飯の食材でも買いに行こうかと言うとはるかは私からそっと離れる。私は離れていこうとするはるかのシャツの胸元を引っ張って引き寄せた。
「うわっ!?」
引き寄せた勢いのままはるかの喉にキスをする。というより、噛み付くような感じになった。
「えっ、と?」
顔を少し赤くして困惑しきっているはるかの腰に腕を回してぴったりと体を寄せる。そして少し背伸びをして今度は優しくもう一度喉にキスをした。
はるかは低く唸って買い物、行けなくなるぜ……? と耳元で囁く。だから私もはるかの耳元に口を寄せてこう言った。
「……だって、美味しそうな喉が目の前にあったんですもの」
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