重なる
いつもより遅い時間に一緒に起きていつもよりゆっくりと時間をかけて一緒に支度をする。
遅めの朝食を談笑しながらとって2人一緒に陽のあたる場所へ腰を下ろして好きなことをする。
私は楽譜を読んだりスケッチをしたり、あなたはストレッチをしたり雑誌を読んだり。互いに別々のことをしているのにその背中はぴったりとくっ付いていて心地が良い。
たまにあなたの背中に寄りかかるように体重をかければあなたはくすりと笑って受け止める。そして仕返しとばかりに元の体勢に戻った私にあなたは同じように体重をかけてくる。
意外と体格差のある私たちだからあなたが同じようにしてくると私の負担は思ったよりも大きい。それを分かっているあなたは加減をしてくれて、それがなんだかとても嬉しい。
2人でそんなやり取りを繰り返していたからお昼を過ぎてしまっていることに気付かなかった。いつもはきちんと昼食も食べるけれど今日くらいいいかしら、という気分になる。
あなたはそんな風に漏らした私の言葉を聞いて珍しいね、と笑うとじゃあおやつの時間までこうしていようよ、と続けた。私はその言葉に小さく頷くと体を少しだけ振り返らせてあなたの背中に顔を埋めた。
大好きなあなたの匂いとお日様の匂いが私の鼻をくすぐる。あなたの温もりとお日様の温もりと、そして大好きで安心するあなたの匂いに少しずつ瞼が重くなってくる。
いやね、今日はいつもよりも眠ったのに、と思いながらも私は瞼が落ちてくる力に抗えずそのまま閉じた。意識が無くなる寸前にあなたの優しい声音でおやすみ、と聞こえた気がした。
ゆっくりと重たい瞼を開けると視界には風で舞うカーテンとお日様の陽を浴びてきらきらと輝く庭の花たちが映った。きれい、とぼんやり思っていると誰かに頭を緩く撫でられていることに気付く。
誰か、なんて1人しかいないのだけれど。
再び瞼を閉じて優しいあなたの手を感じる。撫でていた手は私の髪をひと房持ち上げるとそこにキスを落とす。
そろそろ起きて、僕に構ってよ、と拗ねた声を出すあなたに笑って瞼を開ければ優しく微笑んだあなたが視界いっぱいに広がる。
滅多にないあなたの膝枕をもう少し堪能していたかったのだけれどあなたは許してくれないのね。
あなたの頬を両手で包むとあなたはゆっくりと顔を近づけてくる。いつもなら目を閉じるけれど今日は何となく、開けたままでいた。唇に柔らかい感触を感じたあと名残惜しむように体を起こして時計を見るとおやつには丁度いい時間になっていた。
おやつとお茶を用意してアフタヌーンティーを楽しむ。互いに趣味嗜好は違うけれど互いの話を聞くことが好きな私たちは楽しいひと時を過ごした。
そうこうしているとただいまー! という元気いっぱいな声とただいま帰りましたという落ち着いた声が聞こえてきた。2人で視線を交わして微笑み合い、あなたは出迎えるために玄関へ、私は2人の分のお茶を用意するためにキッチンへ向かった。
帰ってきた2人がお茶をしている間、私たちは庭に出てゆっくりと散歩をする。近すぎず遠すぎず、絶妙な距離をとって2人歩を進める。
ふと、あなたが立ち止まったから私も足を止める。少しオレンジがかってきた空を見上げて物思いにふけるあなたのそばまで寄ると視線を空から私に向けた。
そうしてふわっと幸せそうな笑みを浮かべてドライブに出かけたりしないで1日家でゆっくりするのもいいもんだな、と言うから私も微笑んで頷いた。
あなたがそばにいてくれるから、と思ったのと同時にあなたも君がそばにいてくれるからだ、と言うものだから驚いてしまった。そんな私に気付いて首を傾げるから私は素直に同じことを思っていたと教える。
あなたは少し顔を赤くしてそっか、と呟くと子どものように無邪気に笑うから私も同じように赤くなっているだろう顔を隠さずに笑い返した。
遅めの朝食を談笑しながらとって2人一緒に陽のあたる場所へ腰を下ろして好きなことをする。
私は楽譜を読んだりスケッチをしたり、あなたはストレッチをしたり雑誌を読んだり。互いに別々のことをしているのにその背中はぴったりとくっ付いていて心地が良い。
たまにあなたの背中に寄りかかるように体重をかければあなたはくすりと笑って受け止める。そして仕返しとばかりに元の体勢に戻った私にあなたは同じように体重をかけてくる。
意外と体格差のある私たちだからあなたが同じようにしてくると私の負担は思ったよりも大きい。それを分かっているあなたは加減をしてくれて、それがなんだかとても嬉しい。
2人でそんなやり取りを繰り返していたからお昼を過ぎてしまっていることに気付かなかった。いつもはきちんと昼食も食べるけれど今日くらいいいかしら、という気分になる。
あなたはそんな風に漏らした私の言葉を聞いて珍しいね、と笑うとじゃあおやつの時間までこうしていようよ、と続けた。私はその言葉に小さく頷くと体を少しだけ振り返らせてあなたの背中に顔を埋めた。
大好きなあなたの匂いとお日様の匂いが私の鼻をくすぐる。あなたの温もりとお日様の温もりと、そして大好きで安心するあなたの匂いに少しずつ瞼が重くなってくる。
いやね、今日はいつもよりも眠ったのに、と思いながらも私は瞼が落ちてくる力に抗えずそのまま閉じた。意識が無くなる寸前にあなたの優しい声音でおやすみ、と聞こえた気がした。
ゆっくりと重たい瞼を開けると視界には風で舞うカーテンとお日様の陽を浴びてきらきらと輝く庭の花たちが映った。きれい、とぼんやり思っていると誰かに頭を緩く撫でられていることに気付く。
誰か、なんて1人しかいないのだけれど。
再び瞼を閉じて優しいあなたの手を感じる。撫でていた手は私の髪をひと房持ち上げるとそこにキスを落とす。
そろそろ起きて、僕に構ってよ、と拗ねた声を出すあなたに笑って瞼を開ければ優しく微笑んだあなたが視界いっぱいに広がる。
滅多にないあなたの膝枕をもう少し堪能していたかったのだけれどあなたは許してくれないのね。
あなたの頬を両手で包むとあなたはゆっくりと顔を近づけてくる。いつもなら目を閉じるけれど今日は何となく、開けたままでいた。唇に柔らかい感触を感じたあと名残惜しむように体を起こして時計を見るとおやつには丁度いい時間になっていた。
おやつとお茶を用意してアフタヌーンティーを楽しむ。互いに趣味嗜好は違うけれど互いの話を聞くことが好きな私たちは楽しいひと時を過ごした。
そうこうしているとただいまー! という元気いっぱいな声とただいま帰りましたという落ち着いた声が聞こえてきた。2人で視線を交わして微笑み合い、あなたは出迎えるために玄関へ、私は2人の分のお茶を用意するためにキッチンへ向かった。
帰ってきた2人がお茶をしている間、私たちは庭に出てゆっくりと散歩をする。近すぎず遠すぎず、絶妙な距離をとって2人歩を進める。
ふと、あなたが立ち止まったから私も足を止める。少しオレンジがかってきた空を見上げて物思いにふけるあなたのそばまで寄ると視線を空から私に向けた。
そうしてふわっと幸せそうな笑みを浮かべてドライブに出かけたりしないで1日家でゆっくりするのもいいもんだな、と言うから私も微笑んで頷いた。
あなたがそばにいてくれるから、と思ったのと同時にあなたも君がそばにいてくれるからだ、と言うものだから驚いてしまった。そんな私に気付いて首を傾げるから私は素直に同じことを思っていたと教える。
あなたは少し顔を赤くしてそっか、と呟くと子どものように無邪気に笑うから私も同じように赤くなっているだろう顔を隠さずに笑い返した。
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