残酷な君(ラギー✕女監督生/短編)
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ユウは、のんびりとした手つきでピクニックシートを地面に敷いた。
今日は学校もアルバイトもお休み。
だから、一日を満喫できるのだ。
グリムはトレイに誘われ、新作タルトの味見役である。
ユウも誘われたが、ダイエット中だった為に断腸の思いで断った。ぐぬぬ。
そんなこんなで、休日だ。
ユウはひとり森にやって来た。
野菜たっぷりなサンドイッチをバスケットに詰め、ひとりピクニックである。
「久しぶりのひとりだなあー」
いつも何やかんやと賑やかな毎日を送っているからか、こういった穏やかな時間には慣れない。
ユウはそよそよと頬に触れる風に、目を閉じた。
静かな静かな空間。
たまには良いかもなんて、さっきとは違うことを考えていた時。
「相変わらず、無防備っスねー」
声がした。
しかも、至近距離で。
驚き過ぎて声にならないまま目を開けると、そこには学校の先輩であるラギーの顔が。
しゃがみこんでユウの顔を見つめていた。
近い。
距離が、凄く近い。
あ、まつ毛、意外と長い。
なんて、考えた瞬間のこと。
ちゅっ。
軽いリップ音がした。
額には、温かい感触が。
そう、柔らかい唇の感触である。
「へ……?」
まとまらない思考が形になる前に、ラギーはぴょんっと立ち上がり軽く後ろへと下がった。
「ほーんと、無防備」
と、苦笑い。
頭の後ろで手を組むと、へらへら笑う。
「は? へ?」
ユウは混乱したままだというのに、ラギーは楽しそうにしている。
そして、笑顔のまま口を開いた。
「ユウくんは、残酷ッスねー」
そう言葉を残し、彼は身を翻す。
身軽な足取りで去って行ったのだった。
「……なんなの」
呆然としたユウは、ただただ呟くので精一杯だ。
レオナ曰く、草食動物のオンボロ寮の監督生。
確かに草食動物だ。
今日だって、野菜しかないサンドイッチをバスケットに詰めてた。レオナが見たら顔をしかめているだろう。
無防備な彼女。
危険な目に何度も遭っているのに、いつまでも警戒心を持たない。
変わらない彼女。
無防備で、お人好しで、そして……残酷な少女。
彼女は平等だ。公平だ。
誰にでも優しく、誰にでも親しげだ。
だから、残酷なのだ。
立ち止まったラギーは、後ろを振り向く。
彼女がいる森は遠く。
そっと右手で唇を触れた。
「……アンタの一番になりたい奴は、どうすりゃいいんだよ」
無防備な彼女。
平等な彼女。
公平な彼女。
可愛くてしかたない彼女。
ラギーの心を焦がした唯一の。
「だから、残酷なんだ」
そして、ラギーはまた森に背を向けた。
手に入らないものほど、いつだって遠いのだ。
今日は学校もアルバイトもお休み。
だから、一日を満喫できるのだ。
グリムはトレイに誘われ、新作タルトの味見役である。
ユウも誘われたが、ダイエット中だった為に断腸の思いで断った。ぐぬぬ。
そんなこんなで、休日だ。
ユウはひとり森にやって来た。
野菜たっぷりなサンドイッチをバスケットに詰め、ひとりピクニックである。
「久しぶりのひとりだなあー」
いつも何やかんやと賑やかな毎日を送っているからか、こういった穏やかな時間には慣れない。
ユウはそよそよと頬に触れる風に、目を閉じた。
静かな静かな空間。
たまには良いかもなんて、さっきとは違うことを考えていた時。
「相変わらず、無防備っスねー」
声がした。
しかも、至近距離で。
驚き過ぎて声にならないまま目を開けると、そこには学校の先輩であるラギーの顔が。
しゃがみこんでユウの顔を見つめていた。
近い。
距離が、凄く近い。
あ、まつ毛、意外と長い。
なんて、考えた瞬間のこと。
ちゅっ。
軽いリップ音がした。
額には、温かい感触が。
そう、柔らかい唇の感触である。
「へ……?」
まとまらない思考が形になる前に、ラギーはぴょんっと立ち上がり軽く後ろへと下がった。
「ほーんと、無防備」
と、苦笑い。
頭の後ろで手を組むと、へらへら笑う。
「は? へ?」
ユウは混乱したままだというのに、ラギーは楽しそうにしている。
そして、笑顔のまま口を開いた。
「ユウくんは、残酷ッスねー」
そう言葉を残し、彼は身を翻す。
身軽な足取りで去って行ったのだった。
「……なんなの」
呆然としたユウは、ただただ呟くので精一杯だ。
レオナ曰く、草食動物のオンボロ寮の監督生。
確かに草食動物だ。
今日だって、野菜しかないサンドイッチをバスケットに詰めてた。レオナが見たら顔をしかめているだろう。
無防備な彼女。
危険な目に何度も遭っているのに、いつまでも警戒心を持たない。
変わらない彼女。
無防備で、お人好しで、そして……残酷な少女。
彼女は平等だ。公平だ。
誰にでも優しく、誰にでも親しげだ。
だから、残酷なのだ。
立ち止まったラギーは、後ろを振り向く。
彼女がいる森は遠く。
そっと右手で唇を触れた。
「……アンタの一番になりたい奴は、どうすりゃいいんだよ」
無防備な彼女。
平等な彼女。
公平な彼女。
可愛くてしかたない彼女。
ラギーの心を焦がした唯一の。
「だから、残酷なんだ」
そして、ラギーはまた森に背を向けた。
手に入らないものほど、いつだって遠いのだ。
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