最愛の消失(ラギー✕女監督生/連載/完結)
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トクントクンと、鼓動が鳴る。
ラギーに触れられた場所が、いつまでも熱い。
それは気のせいではなく、ユウの心がいつまでも覚えているからだろう。
日に日に、ラギーへの関心が高まっていく。
いや、関心なんて簡単なものじゃない。
これは、この心に根付いてしまった想いは……。
そんな単純なものではなく、もっと熱さを伴うものだと気づいてしまった。
「はあ……」
自室のベッドで横になり、ユウはため息をついた。
隣ではグリムが大の字で眠っている。呑気な姿に羨ましくなった。
ラギーに触れられた右手が、今も温もりに包まれているような気がして、ユウの頬は熱くなる。
「ラギー……せんぱい」
呟くと、胸が温かくなる。
知らない感情。知ってしまった想い。
ユウはまた息を吐く。
熱い息を。
ラギーを想うと、胸が高鳴る。
最初は軽い好奇心。今は……心が絡めとられている。
トクントクンと鳴る鼓動を聞き、ユウは目を閉じた。
『早く、ラギーに会いたい』
スマホのメッセージに、ラギーは目もとを和らげた。
彼女からの最後の言葉。
それを何度も読み返してきた。
鳴らない通知には、もう慣れた。
慣れるしかなかった。
痛み以外には。
ラギーは、そっと手を握る。
彼女に触れた手。感触はまだ残っている。
何度も触れ合ったのに、懐かしさで胸が熱くなった。
「ユウくん……」
口から溢れた名前。
もう違和感しかない。
「ユウ……ユウ……」
馴染んだ名前を呟く。
ラギーは切なげに目を細めた。
「会いに……来て……」
それは切なる願い。
鮮やかな花畑で微笑む彼女が、今でも鮮明に思い出せる。
太陽の下で、ラギーを見つめてくれた。
約束の香水を身に着けて。
待っているラギーに、走り寄るのだ。
「ユウ……」
虚空に手を伸ばし、ラギーは呟く。
それは、優しく、愛しく、そして悲しい声だった。
『我に辿り着ければ、返してやろう』
やつはそう言って嗤った。
知性ある魔物。
大切な記憶を奪った元凶。
嗤う、嗤う。
眼下のラギーをニタリと見て、嗤った。
『返してほしいだろう?』
当たり前だ。
『この極上の記憶が、欲しいのだろう?』
そして、黒い影は揺らめき哄笑した。
血が滲むほど握りしめたラギーの拳から、赤い雫が垂れる。
憎しみが溢れそうだ。
お前に何がわかる。
彼女から愛情が失われた絶望が。
愛した匂いが消えた悲しみが。
待ち続ける苦しみが。
わかるはずがない。わかられてたまるか!
「返せ!! 返せよ!!」
叫び、ラギーは険しい山を登る。
足を何度滑らせても、諦めない。
諦めたくない。
彼女との、優しく愛しい時間を取り戻せるなら。
何度だって、魔物の作り出した山に挑んでやる。
痛みなど、どうでもいい。
傷など、いつか癒える。
消えない痛みに比べれば。
彼女の目から愛情が消えた日に比べれば。
こんなのは、なんの障害にもならない。
だから、ラギーは毎日毎日魔物に挑む。
愛しい愛しい恋人を取り戻す為に。
体中に傷を作っても、諦めない。
奪われたものは、それだけ大きいのだから。
ふっと、景色が変わる。
魔物の哄笑はしない。
代わりに見慣れた部屋があるだけだ。
「……ああ、眠ってたのか」
夢の内容は実際あったことだが、ラギーはいつの間にか眠ってしまったようだ。
ベッドから身を起こすと、ズキズキと傷が痛む。
それがラギーに現実を思い知らせる。
魔物との戦いは続いているのだと。
ラギーは、スマホを取り。再びメッセージを見た。
そして、柔らかく微笑む。
愛しいのだと、全てが物語っていた。
「絶対に取り戻すから」
彼の戦いは、まだ始まったばかりだ。
ラギーに触れられた場所が、いつまでも熱い。
それは気のせいではなく、ユウの心がいつまでも覚えているからだろう。
日に日に、ラギーへの関心が高まっていく。
いや、関心なんて簡単なものじゃない。
これは、この心に根付いてしまった想いは……。
そんな単純なものではなく、もっと熱さを伴うものだと気づいてしまった。
「はあ……」
自室のベッドで横になり、ユウはため息をついた。
隣ではグリムが大の字で眠っている。呑気な姿に羨ましくなった。
ラギーに触れられた右手が、今も温もりに包まれているような気がして、ユウの頬は熱くなる。
「ラギー……せんぱい」
呟くと、胸が温かくなる。
知らない感情。知ってしまった想い。
ユウはまた息を吐く。
熱い息を。
ラギーを想うと、胸が高鳴る。
最初は軽い好奇心。今は……心が絡めとられている。
トクントクンと鳴る鼓動を聞き、ユウは目を閉じた。
『早く、ラギーに会いたい』
スマホのメッセージに、ラギーは目もとを和らげた。
彼女からの最後の言葉。
それを何度も読み返してきた。
鳴らない通知には、もう慣れた。
慣れるしかなかった。
痛み以外には。
ラギーは、そっと手を握る。
彼女に触れた手。感触はまだ残っている。
何度も触れ合ったのに、懐かしさで胸が熱くなった。
「ユウくん……」
口から溢れた名前。
もう違和感しかない。
「ユウ……ユウ……」
馴染んだ名前を呟く。
ラギーは切なげに目を細めた。
「会いに……来て……」
それは切なる願い。
鮮やかな花畑で微笑む彼女が、今でも鮮明に思い出せる。
太陽の下で、ラギーを見つめてくれた。
約束の香水を身に着けて。
待っているラギーに、走り寄るのだ。
「ユウ……」
虚空に手を伸ばし、ラギーは呟く。
それは、優しく、愛しく、そして悲しい声だった。
『我に辿り着ければ、返してやろう』
やつはそう言って嗤った。
知性ある魔物。
大切な記憶を奪った元凶。
嗤う、嗤う。
眼下のラギーをニタリと見て、嗤った。
『返してほしいだろう?』
当たり前だ。
『この極上の記憶が、欲しいのだろう?』
そして、黒い影は揺らめき哄笑した。
血が滲むほど握りしめたラギーの拳から、赤い雫が垂れる。
憎しみが溢れそうだ。
お前に何がわかる。
彼女から愛情が失われた絶望が。
愛した匂いが消えた悲しみが。
待ち続ける苦しみが。
わかるはずがない。わかられてたまるか!
「返せ!! 返せよ!!」
叫び、ラギーは険しい山を登る。
足を何度滑らせても、諦めない。
諦めたくない。
彼女との、優しく愛しい時間を取り戻せるなら。
何度だって、魔物の作り出した山に挑んでやる。
痛みなど、どうでもいい。
傷など、いつか癒える。
消えない痛みに比べれば。
彼女の目から愛情が消えた日に比べれば。
こんなのは、なんの障害にもならない。
だから、ラギーは毎日毎日魔物に挑む。
愛しい愛しい恋人を取り戻す為に。
体中に傷を作っても、諦めない。
奪われたものは、それだけ大きいのだから。
ふっと、景色が変わる。
魔物の哄笑はしない。
代わりに見慣れた部屋があるだけだ。
「……ああ、眠ってたのか」
夢の内容は実際あったことだが、ラギーはいつの間にか眠ってしまったようだ。
ベッドから身を起こすと、ズキズキと傷が痛む。
それがラギーに現実を思い知らせる。
魔物との戦いは続いているのだと。
ラギーは、スマホを取り。再びメッセージを見た。
そして、柔らかく微笑む。
愛しいのだと、全てが物語っていた。
「絶対に取り戻すから」
彼の戦いは、まだ始まったばかりだ。