転がって魔術学園
「飲んでない飲んで「飲みましたね?」
「飲んでない「飲みましたね?」
「飲んで「飲みましたね?」
「の「飲みましたね?」はい・・・」
斎賀は絶望感を感じた。
異世界に来て早々、出会って数時間の女に良く分からない薬入りの味噌汁を飲まされた・・・という何とも言えない状態に。
「斎賀さん、熱くはないでしょうか?」
「大丈夫です!ホントに!」
まるっきりの嘘です。
斎賀の体温は徐々に上がっていき、汗ばんできていた。
しかも女と一緒に居る時には絶対に元気になってはいけないアレも水を得た魚の如く元気になってきた。
(これ完全にアウトな薬じゃねぇか!?)
そんなことを考えていたら、
どうあがいてもバットエンドしか見えない状況が目の前に迫っていた。
「汗を掻いてるではありませんか、そのお洋服が悪いんですね、
今脱がしますから、リョウウデヲアゲテクダサイ」
(怖えーよ!なんでハイライトさん仕事しないの?
おかしいだろ、休暇を与えた記憶もねぇよ!・・・親しい記憶もねぇけど)
華名の両腕が斎賀の服を掴もうとした
その瞬間。
「やっほー」
「華名ねぇ」
元気いっぱいな双子が扉を開け、華名にダイブした。
「楓!?蕾!?」
予想してなかったのか、受け止めきれず華名は二人を抱えて、仰向けになった。
「華名ねぇ!」
「あそぼー!」
楓と蕾は華名と遊んでほしいのか、華名の上でジタバタと暴れてる。
それにしても二人とも全然見分けがつかない。何はともあれ・・・
「今がチャンス!」
斎賀は楓と蕾が明けた扉から全速力で逃げる。
後ろから「斎賀さん!」という声が聞こえたが、きっと気のせいだろう。
全速力で走り見慣れた大通りにでた。
斎賀は逃げ切れたと確信し、地面に座り込んだ。
「ヤバい・・・走りまくったせいで薬と思しきあれが全身に回ったんじゃね?」
日ノ丸の秘薬(効果は言わずもがな)が全身に回ったのか意識が朦朧としている。
「白米・・・旨かった・・・」
という言葉を最後に斎賀は意識を手放した。