このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

転がって魔術学園


振り向くと満面の笑みを浮かべた華名が立っていた。

(そっちにも扉あるのかよ・・・)

まあ、今気づいたところで後の祭りだが・・・
その手に持っているのは、純日本料理(今思い出したけど日本じゃねぇや)が乗ったお盆だ。
白飯、焼き魚(浮遊島に海とかあるんか?)、味噌汁、切り干し大根と・・・

(何を警戒したら良いんだっ!?)

つい前の秘薬という、怪しさが芸術的なまでに大爆発している単語を聞いてから、警戒レベルが急上昇している。
自然と危険そうなものを探す。

(白米はほぼ安全とみていいだろう・・・
 秘薬を混ぜるにしても、色の一つでも付く筈だ。
 秘薬に色がつくなんて気の利いた特徴でも
 あれば、の話だが・・・
 焼き魚もほぼ安全だろう、
 まるで真珠のように輝く白身には汚れの
 一つも見つからない・・・
 しかし、中までしっかり火が
 通っているのは見れば分かった・・・
 その輝く白身には遠目から見ても
 脂がのっているのがわかる。
 味噌汁がこの中でも、一番デンジャだ・・・
 ホカホカと揺れる湯気の向こう側には
 黄金色に輝く油揚げ、
 ごろっと大きな純白の豆腐、
 味噌のいい香りがこちらまで来るのも、
 この空腹の状態ではデンジャーだ・・・)

「どうかしましたか?」

そんな俺の思考を声がブッた切った。
そろそろ審判の時が近いらしい・・・
俺は、一番安全だと思う白身魚に箸を伸ばす。

「っ!」

美味い!美味いぞ!
口の中でほろほろと崩れるような
柔らかな歯ごたえ!
しかし、噛み締めればジワリと
旨みが染み出してくる。
噛めば噛むほど味が染み出してくる!
クッ!警戒していたのも忘れて
次々と白身が、白米が消えていく!
切り干し大根にも箸を出してしまった!
これもまた美味い・・・
味がよく染み込んでいる。
ほぼ全て食べ終わり、
締めにと味噌汁をぐいっと・・・って、あ・・・
飲んでしもうたー!
一番警戒してたの思いっきり飲んじゃったよ・・・
でも美味い・・・
優しいおふくろの味ってやつかな・・・
なんか涙が出てきた・・・いろんな意味で・・・

しかし、

「飲みましたね?」

隣からの声に本当に涙が出そうになった・・・
6/11ページ
スキ