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転がって魔術学園


先程会った紳士だが、
名前はアリステレータと言うらしい。
前述の後、斎賀はアリステレータと一緒に馬車に乗り、
学園都市トゥリエーナに向かって走っていた。
どうやらアリステレータはそこの学園長らしく、
大きな権限は大体持っており、
命の恩人の斎賀に特別入学権をくれるらしい。
ちなみに学園は全寮制で、単位制。
特別入学だから学費もかからず
寮には飯もついてくる。
そして何より・・・

「斎賀君が来た世界はどんな感じだったのか
 教えてくれないかい?」

学園長アリステレータが
とてつもなくいい人だ。
というかいい人って言葉で
収まるような人じゃない。
普通異世界から来たなんて言ったら
怪しまれるか笑われるかのどっちだ。
しかしアリステレータは違った。
真面目に話を聞き、それでいて信じてくれる。

「バカ高い建物があちこちに立ってる様な
 ところですね・・・たしか」

この紳士力に斎賀は尊敬しつつあった。

「そうか・・・君の世界には高い建物が
 いっぱいあるのか・・・」

そのあとも斎賀は自分の事情を話したり、
アリステレータからこの世界の情報を聞いたり
談笑しながら、馬車に乗ること数分。
馬車が止まり、人の話声なども聞こえてきた。

「どうやらついたようだ、斎賀君」

そういうとアリステレータは
大きめの蝙蝠傘をさした。

「雨でも降ってるのか?」

馬車の中は、入る前からカーテンが締まっており、アリステレータも
カーテンは開けないでほしいと言われたので、外の景色は全くもって見えなかった。

「降ってないよ、でも僕は日光と雨が嫌いなんだ」

蝙蝠傘をばッと開き、こっちに手を差し伸べる。
その手を取り馬車から出ると、周りの光景に目が入った。
西洋のような建築が軒を並べており、
RPGゲームのような商店街に
一瞬思考が止まる。

「嘘だろおい・・・こりゃ世界遺産も裸足で逃げ出すな・・・」

「気に入ってくれたかな、斎賀君」

気に入るも糞もない、
ゲーム好きな斎賀はこういう世界に憧れてはいた。

「当たり前だな・・・こりゃ最高の眺めだ」

「それは良かった、ここからは人通りが多いから徒歩なんだ、
 ついてきてくれないか?」

かくして、津田斎賀のすってんころりとな
異世界生活は幕を開けた。
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