転がって魔術学園 3章
閻魔とひと悶着あった後他に方法が無いか探るため閻魔と泰河は知恵を出すためそこに残り、
斎賀はとりあえず戻ることにした。しかし日ノ丸家に戻るととっても
荒れた部屋の姿が視界に入った。
「え・・・何があったん?」
「あ、斎賀君?ちょっとね・・・盗人がね」
といって上半身裸の千夜が振り返る。
「そ、そうなんですか」
眼は笑っているのだがとてつもない覇気と殺気が体から
色濃く出ている千夜に斎賀はとんでもなくビビっていた。
(なんこれ、怖すぎだろ・・・さっきの閻魔より怖いぞおい!!)
「動かない方が良いよ、まだどこからか狙ってきてるから」
「そ、そうですか・・・ところで他の方たちは・・・」
「うまい事分断させられちゃってね、まあ敵が何人編成でどこを狙ってきてるかは大体わかってるからやりようはいくらでもある」
「ちなみに敵の狙いは?」
「多分神石・・・まあ神様の力が込められてる石だよ」
その瞬間『たんっ!!』と壁に矢が刺さった。
その尾の部分には小さな玉がひもにつけられていた。
「逃げろ!!斎賀君!!」
玉から煙が噴き出る。
斎賀はとっさに障子を突き破り外に出る。
縁側に転がった斎賀は顔をあげると鉄の仮面を被った男が
コートの中から拳銃を取り出し眉間に突き付ける。
パァン!!
乾いた音の後に血肉が飛び散る音は無かった。
それは銃口から飛んだ鉛玉を千夜が横から掠め取ったからである。
「させないよ、そんな事」
「千夜さん・・・」
「お前はいつでも邪魔をしてくれるな、千夜ぁ・・・・」
「その声、宗也兄さん?」
「そうだよ、てめえに裏切られたせいで家を追われた日ノ丸宗也だよ」
鉄の仮面を外すとゴルゴのような目力を持った
迫力のある顔があらわになった。
再び銃口を構え千夜に向けるが、撃たずに懐に戻す。
「・・・まあいい、今日は依頼でここに来ただけだからな・・・長々とは居れん・・・だが次はお前も雪華も殺してやるからな」
「マスター、例の物を回収しました」
「・・・」
「ご苦労、それじゃあ次会う日まで首を洗っておけ」
突如現れたガスマスクを付けた二人組と共に塀を軽々越えどこかに行ってしまう。
「千夜さん、あの宗也って人は?」
「僕の実の兄貴で雪華が大好きだった・・・だけど雪華は兄さんじゃなく僕を選んだ・・・」
「・・・」
「ところで、神石は持っていかれちゃったぽいね」
一瞬体に見合った表情になったがまたいつもの表情になった。
「その心配はない」
「強羅・・・」
「神石は僕が偽物にすり替えておいた・・・だいぶ前から」
「・・・勝手に持ち出してたんだね」
「ああ」
「でも今回はそれで助かったから何も言わないよ」
「・・・」
「さて、斎賀君・・・今夜は遅いから泊まっていきなさい」
「・・・まあそうさせていただきます」
初めての同級生とのお泊りイベントはこの家の家庭の事情と
その他いろいろなことが頭を駆け巡るせいであまり寝付けなかった。