転がって魔術学園 3章
「ところで華名の旦那さんや」
「あ、はい」
(実は違うんだけどなあ・・・)
「日本に帰りたいかい?」
「ええまあ」
「そうか・・・じゃああんた地獄を通っていくってのはどうだい?」
「え?」
(俺、遠回しに死ねって言われてる?)
冷や汗を開く斎賀だが、雪華はフッと笑った。
「元もと家の先祖も地獄を通ってここに来たし、閻魔に頼めばそれ位はできるでしょう」
「え?・・・」
(ってことは死んだの?ここの先祖?昔の日本ってこんなやばい集団の先祖殺せる兵器でもあったの?)
「ただ閻魔は気分屋ですぐ怒ったり笑ったりするから地獄門は封鎖してるんだ、
だからあのバカ息子と協力して開けてもらいな」
「・・・泰河ですか?」
「そう、あのバカ息子にはよく言っておくよ」
「あ、はい」
と言う事で地獄門を通ることになった斎賀達。
それと同時刻、神石を狙うアサシンも近づいていた。
地獄門入り口
「華名の旦那よ」
「だから旦那じゃないんですって・・・」
「あいつは昔から思い込みが激しいからな・・・それにしてもまさか本当は華名の旦那ではないとはな・・・なんかすまんな」
「はぁ・・・・」
地獄門入り口にて泰河の呼び方を指摘するため華名の旦那ではないと言う事を説明すると、
あの泰河に同情されてしまった
斎賀は何とも言えない気持ちになりながら地獄門の札をはがす。
すると門に何重にも巻かれていた鎖が次々に砕け散った。
「さて、閻魔に会いに行くぞ華名の・・・斎賀」
「なんかごめん」
「謝るな、悪いのは華名だ」
「うん・・・」
「おいおいあんた等、地獄門の扉を開けるってことは日ノ丸の一家か?」
「貴様は何者だ?」
ふと声のした方を見ると角の生えた少年が槍を持って
門に腰を下ろしていた。
「幽鬼(ゆうき)だよ、門の管理人代行・・・まあサボり癖の強い上司の可哀そうな部下さ」
「貴様は強いのか?」
「うーん・・・微妙?俺らって強さ変わらんし・・・多少の差異はあっても鬼ってのはみんな変わらん強さだよ」
「ふむ・・・貴様で力測定と行こうじゃないか」
泰河が拳を握ると、幽鬼は手で×の字を作った。
「あ~ダメダメ、ここで決闘とか」
「そうなの?」
「だってここは閻魔の支配する場所だぜ?こんなとこで事故って殺したりしたら俺リアルで首切られるし、はっはっは」
「笑い事じゃないよな・・・」
「力試しがだめだと言うのか?」
正常な判断をする斎賀と戦闘狂の
泰河はどっちも微妙な顔をしていた。
「まああんた等もなんか用事かあってきたんだろ?早く行ってこい」
「あ、はい」
「ちなみに閻魔の居るところはこの道まっすぐだ、暇なら会ってこい?多分裁く瞬間とか見れるんじゃないかな?」
「面白そうだな」
「いや見物しないからね?」
「閻魔はどれほど強いんだろうなあ・・・期待できそうだ」
「あ、そっちか」
「さあ行くぞ華名のd・・・斎賀!!」
「うお!?引っ張ってくな!?」
泰河に引っ張られていく斎賀を幽鬼は笑顔で見送った。
「・・・あ、俺もちゃっかり仕事サボってるやん・・・まあいいか、どうせ上司もサボってるし俺もどっかで飲んでくるかあ」
幽鬼は職務を放棄しどこかへ酒をひっかけに歩いて行った。