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転がって魔術学園 3章


ところ戻って日の丸邸

『・・・』

そのあと特に会話もなく、いまだに重苦しい空気の抜けない食卓。少し遠くで叫び声と笑い声、
さらに部外者のくせに華名の恋人みたいな役で同席してしまってるし、
実はその気はほとんどないとは言い切れない雰囲気・・・
ってか重い、空気が重い・・・空気清浄機!誰か!お客様の中に空気清浄機をお持ちの方はいらっしゃいませんか!
てか換気だ!換気!なんだここの空気は!迂闊に動けねぇ!?ヘルプ!
と心の中のSOSが通じたのか、屋敷の奥のほうから(トタタタ)と軽い子供が小走りでこちらに来る足音が聞こえてきた。

そして(何故か)俺からの視点で右と左の襖がスパァン!と同時に勢いよく開かれ、
前にこの家に来た時(華名に襲われていた時)に助けてくれた双子が鏡合わせで同じポーズをしながら、
『おはよー!寝過ごした!』

となぜかドヤ顔で入ってきた。
しかし、入ってからこっちに気づいたようで両方同じタイミングでこっちを見て、
『あー!この前のおにーちゃんだ!』

「あ~、うん、この前は助かったよ」

『う~ん?まあいいや!「楓だよ!」「蕾だよ!」よろしく~!』

ととんでもない程息ピッタリで自己紹介してくれた。ここまで息ピッタリだと少し怖いくらいだ。
と本人達には絶対行っちゃいけない失礼な事を考えていると、

「すごく仲がいい、いやすごい息ピッタリだろう?」

と心を読んだかのようなタイミングで千夜さん話しかけてきた。

「そうですね、ここまで息ピッタリだと羨ましいぐらいです」

と言うとこの回答は予想していなかったのか少し不思議そうな顔で聞き返してきた。

「羨ましい?」

「あ~俺一人っ子だったもんで」

『そうなの?じゃあ・・・』

と楓と蕾がお互いの顔を見合わせると、

『じゃあ、おにーちゃん!』

「うおわ!?」

と左右から楓と蕾が飛びついてきた。

『えへへ~』

と悪戯が成功したような子供特有の微笑ましい笑顔を浮かべている。
不覚にも和んだ。ただしロリコンではない・・・ないはずなんだ、多分。

と程よく和めた(?)ところでススッと襖が空き、雪華さんが返ってきた。やはりと言うべきか、大河の姿はない・・・

「ただいまっと・・・大河の奴、意外に粘りやがって・・・」

そう言う雪華さんだが全くの無傷というか服にすら乱れがない・・・
やっぱりバケモンだったわこの人・・・

「ん?なんだ楓に蕾、起きたのかい?それになんだか仲良くなってるみたいだが・・・?」

『うん!おにーちゃんと仲良し!』

「えぇ、まあ、色々とありまして・・・」

「まあいいんだけどね?仲良くしてやってね」

「はい、もちろんですよ(泣かしたりしたらどうなるか分からんしなこの一家の事だし)」


と何やら身の危険を感じたり、和んだり、やっぱり身の危険を感じたりの日の丸家の顔合わせだった。
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