転がって魔術学園
市立江瑛(こうえい)高等学校
それといって悪い噂もなく、
かといって良い噂がそれほど
多くあるわけでもない。
ごくごく普通の学校に通うピカピカの一年生・・・
それが俺、津田斎賀である。
今日も今日とて学業に勤しむぞと
起きだしたわけだが・・・
「だり~」
と、ごくごく平凡に全世界の学生が
そうであるように、
ハッピーなマンディの憂鬱と気怠さを
押しのけて、身支度を整え通学路へ
「あ、二度寝してねぇじゃん」
と今更ながら妙な日課を忘れてきたことを
後悔しつつ、
「あれ~?いつもより怠いな?
怠いといえば、俺の口癖なんだが…
風邪でも引いたかねぇ」
まあ、十中八九、昨日もしくは
今日の寝不足が原因だろうと、
一人結論づけて、坂道をとぼとぼと歩く。
さあ学校までもう少しと行ったところで、
ひどい立ち眩みが襲いかかってきた。
(あれ~?とっと寝不足だけで
こんなにひでぇ立ち眩みするもんかねぇ?
やべ、立ってられねぇ・・・)
と、立つ事もできずにいる俺の横から頭に響くクラクションが聞こえた。
(ん?あれ?クラクション?)
ふっと、嫌な予感が頭をよぎり、
その方向を見ると、
まあ立派なトラックがうるさいブレーキ音を
あたりにまき散らしながら、
すぐそこまで迫って来てしまっていた。
(ちょ!洒落になんねぇぞ!おい!)
最後の抵抗と言えばいいのか、俺の脚は後ろに跳ぼうとしたが、一歩間に合わずに、
後ろに跳ね飛ばされた。
今上ってきた坂道を転がり下りながら、走馬灯のようなものを眺めつつ
(これが走馬灯か~・・・って
のんびり見てる場合か!)
と自分にノリ突込みをした後、
背中から何か堅いものにぶつかり、
意識を手放した。
そして、
目覚めたら前述の通りでありましたとさ