転がって魔術学園 2章
その日の深夜―――
斎賀はふと目が覚めた。
「ん~?まだあんま寝てないんだが?・・・ッ!華名は!」
慌ててベッドを調べたり、愚息なんかも念入りに調べてみたが、
既成事実等が出来たような痕跡は見当たらなかった。
「ふう、疲れていたとはいえ、迂闊だったな~」
「ん~、せっかく一度助けてあげたのに、抜けてるね?」
「まあ、そうだな~もう少し気を付けy・・・ふぁっ?」
「ん~?どうしたの?」
何故か華名が居なくなってたと思ったら、あの不気味なメダルをくれた幼女が部屋にいた・・・
何を言っているのか以下省略・・・
「何でここに?」
「ふふ~、せっかく助けたんだし、何か見返りを求めてもいいのかな~?と思ったから・・・」
「助けんのって有償だったんだ!」
「ん~まあ、そうしようかと思ったけど、うふふ~考えてたどの見返りよりも嬉しい事してくれたから良いよ~?」
「一体俺がナニをしたと?」
「別に具体的に何をしてもらったわけじゃないけどいいの~家族に見返りを求めるってのも違うと思うし~」
「ほんとに俺ナニしたの!?」
「メダルまだ持ってるでしょ?」
余りにも突然話題が変わった。
あんまり人の話を聞かない気質なのかとも思ったが、前会ったときは少なくとも聞いていたし、
声の調子を聞いていると、話を聞かない気質ではなく、何処か浮かれているように感じる。
あの無愛想でずっと仏頂面だった、あの幼女が年相応ではないが、
慎ましくではあるが、嬉しそうに微笑んでいるのを見ていると、そこに水を差すほど空気が読めない訳じゃない俺は、
「ん?ああ、持ってるぞ?」
そのまま、話に乗ってやることにした。
「絶対に失くさないでよ~?失くしたら大変なことになるかも~」
「怖いこと言うなよ・・・まあ、失くしやしないさ・・・それよりも、前と雰囲気違くね?」
「余所行きの態度と家族に接する態度って違うじゃない?」
「まあ、違うけどな」
「そんな感じ~?」
「何故に疑問形?それよりもほんとに何もしてないんだよね?法律とか、倫理とかには触れないよね!?」
「ん~?人間の法とかには、多分触れてないんじゃないかな?倫理には触れてるかもだけど~」
「大丈夫じゃなかったー!?(ん?人間の?他種族ってだけか?)」
「まあどうなったとしても、全力で助けてあげるよ~」
「やべぇ・・・今のは惚れそうだったぜ・・・」
「えへへ~遠慮なく惚れていいよ~?」
「漢らしいな・・・あれ?女の子に漢らしいは失礼だったか?」
「女の子?君もしかして、こんな僕みたいな体型でもいいの?
それだったら今からでも君の好きなようにしてくれても・・・」
「違うわ!?(多分・・・)」
「え~?違うの?なんだ~」
「そこで残念そうに言うなよ・・・」
「ふふ~おっと?もうこんな時間か~うん、そろそろ帰らなくちゃ」
「ん?そうか、帰んなら気を付けて帰れよ」
「うん、そっちこそ体に気を付けるんだよ~?」
「へいへい、またな」
「うん!またね~眷属~」
・・
「え?眷属って?」
そして少女は空間に溶けていくように消えていってしまった。
数多くの謎を残したまま・・・
しかし、疲れ切った身体はその事を考える暇もなく、急激で強力な睡魔によって、アッサリとまた深い眠りへと落ちていった。