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転がって魔術学園 2章


部屋に帰ると、扉の前に女の子が一人座っていた。
白髪で髪の長い女の子は誰かを待っているのか辺りを見渡している。
しかし自分の部屋の前に居られては少々邪魔なので、どいてほしいと言おうとした瞬間、

「貴方が、津田斎賀ですか?」

急にこっちを向き、名前を呼ばれた。
それだけなら別にいいのだが、何故か腰の細剣(レイピア)に手をかけており、
今にも襲い掛かろうとしている。

「えっと・・・そうだけど?」

その瞬間、鋭い剣先が斎賀の頬をかすめた。

「貴方もゼファーと一緒にクエストに行くメンバーで間違いないですよね?」

「そ、そうだけど・・・ところで君誰!?なんで剣抜くの!?」

「あの変人の仲間なら何かされると思いまして、先手を打っただけです・・・
私はリア・フェルトマン・・・王家の子孫であり、あなたと同じクラスのクラスメイトです」

細剣を柄にしまうと、懐から家紋の入ったペンダントを見せてきた。
座学の時に少し王家の家紋を見たが、どうやら本物っぽい。

「本物かよ・・・ところでゼファーって変人なのか?」

斎賀の質問に、リアはため息をついた。

「だって急に「君は子を宿すのに適任そうだね」とか質問してくるのよ?変人以外の何者でもないわ」

「そうなんだ・・・」

斎賀が持っていたゼファーのイメージは不思議な感じだったが、
そうやら不思議ってだけじゃなっそうだ。

「まあ、本題に入るわ・・・日程が決まったわ・・・明日」

「うそ?」

「残念ながらあの変人がわざわざ伝えに来たわ」

「明日のいつ?」

「夜明け」

「・・・・・・」

絶句である。
何も用意していないし、そもそもレーニンとかいう変人先生に
引き止められていたせいでその後の座学のノートも誰かに見せてもらい書かなければいけない。

「あとあなたなんで昼休み後に教室に戻らなかったのかしら?」

「まあそれは何というか・・・」

「・・・まあいいわ、はいこれノート」

「え?」

リアは一冊のノートを斎賀に渡した。

「どうせ誰かに見せてもらおうとしていたのでしょ?」

「まあそうだけど・・・ありがとな」

「どういたしまして」

そういうとリアはそそくさと帰ってしまった。
彼女も明日の準備をしなくてはいけないのかもしれない。
斎賀も明日に備えて準備しようと思い、家に入った。

「ってノートなっが!?」

ノートを写そうと思い開いたが、内容がしっかり網羅され過ぎて教科書並みになっている。
それが五ページ近くあるので、明日に備えて取れる睡眠時間は自分の腕次第である。

「うおおおおおおお!!いっそげー!!」

こうして初クエスト前日の夜はノートとの熾烈な戦いと共に始まった。
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