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転がって魔術学園


その後部屋に帰り、床に着く。
今日は色々あった。
斎賀にとってはトラウマ間違いなしの出来事が・・・
彼女のハイライトさんが出張に行った後のような目を斎賀は多分忘れられないだろう・・・いや、多分じゃなくて絶対に。

「五芒星か・・・なんていうか・・・とっても厨二臭い」

しかしこの世界にきて何が大切なのかはわからないので一応持っておくことにする。

そして斎賀は眠りにつく。



次の日、斎賀は微妙な寝起きだった。
昨日の疲れが出たのかだいぶ長く寝ていた。
しかし、寝すぎて頭がかなり寝ぼけてる。

「ふぁぁ・・・」

あくびをし、外を見ると曇天の曇り空だった。
日光がどこにもさしてなく、雨まで降りそうだ。
斎賀が空を眺めていると、部屋の扉がノックされた。

「斎賀君、起きているかい?」

アリステレータの声がした。
どうやら何の用か斎賀に会いに来たらしい。
ボーっとする頭を振って、眠気を飛ばし扉を開ける。
前とは違い、傘を差していない。

「おや?どうやら起こしてしまったようだね」

「いや、少し前から起きてましたよ・・・ふぁぁ・・・」

といいつつあくびが出てしまう。
それを見たアリステレータは苦笑いをしている。

「そういう事にしておくよ・・・ところで、
 ルーンについての説明をまだしていなかったよね」

「あー、なんか言ってましたね」

最初あったときにそんなことを口にしていたのを思い出す。

「今日、時間があるなら彫っておくといい、
 大通りのミシェルって店に僕の名前を出せば安く彫ってくれるから」

「あー、わかりました」

「それじゃあ僕はここで・・・」

そういうと背を向け歩き出す。

「どこに行くんですか?」

行き先を聞くと、アリステレータは怪しく笑い答えた。

「小腹が空いたし、喉も乾いたから食事にね・・・」

それだけ言い、階段を降り去っていった。
何故だかわからないが、斎賀は背筋が凍ったような感覚がし、
目が完全に覚めた。



斎賀はアリステレータが言っていた大通りのミシェルという店に向かった。
場所は中心のほうではなく、端の方にポツンと立っていた。
見た目はボロボロな家で、窓際には本が積んであるのか中の様子が
見えない。
とりあえずノックをし、店員が出るのを待った。

「あい、なんだい?」

中から出てきたのは髪の手入れを
全くしてなくぼさぼさな隈のある女性だった。

「あの・・・アリステレータさんが言ってた
 ミシェルって店はここでしょうか?」

見た目が店というか完全に物置なので斎賀は確認のために聞いた。

「おう、ここがミシェルだ・・・
 んでもってあたしが店長のミシェル」

「えっと、ルーンってのを掘って
 欲しいんですけど」

するといきなり右手を掴まれ、
手の甲をまじまじと見られた。

「免許印無いじゃん・・・まぁいいか、どうせあの蝙蝠の事だし、
 適当に用意してくれるだろ」

「蝙蝠?」

ミシェルが妙なことを口走ったので、
疑問に思った。

「あれ?知らねーの?アリステレータって悪魔の末裔で吸tうわぁ!?」

何かを言いかけていたが、
後ろから飛んできたコインがミシェルの額にあたり、後ろに倒れる。

「ミシェル、余計な噂は吹き込まないでください」

後ろからアリステレータの声がする。
異様な圧力を放ちながら・・・。

(やばい、どうしてか後ろを向けない!?
 本能が阻止してる!!)

蛇にらまれたカエルのように、斎賀の体はピクリとも動かない。

「いってー!何すんだよ!」

「余計な噂は吹き込まないでください」

ミシェルは額をさすりながら涙を浮かべアリステレータを睨むが、
気圧されたのか、もう何も言わなかった。

「すいませんね斎賀君、彼女は噂話が好きで」

「あいや、問題ないです」

肩にポンと手を置かれた瞬間、急に体の自由が戻った。

「今、急に体の自由が戻りましたよね・・・
 これはルーンで得られる恩恵の一つで『パラライシス』と言います」

どうやらアリステレータはルーンの恩恵を
わざわざ使ってどんな感じかを教えてくれていたらしい。

「お前それ私が解説すべきことだろー」

「貴方が口を開くと根も葉もない私の噂が出てきそうですからね」

「いや事t「私は斎賀君の付き添いで隣にいますので早くルーンを
 掘ってあげてください」帰れ!!」

ミシェルはアリステレータに床に転がっている本を投げるが軽々避けられる。

「チックショー!そこのお前、彫ってやるから早く椅子に座れ!」

アリステレータに勝てないイライラからか斎賀に八つ当たりしだす。

「あ、ああ」

言われたとうり椅子に座ると、
近くの棚から鍼の様なものとスポイトを持ってきた。

「少しいてぇけど我慢しろよ?」

斎賀の手の甲に針を刺し、
スポイトの液体が入ったところを
押した瞬間・・・
パンッ・・・という軽快な音とともに先っちょがはじけ飛んだ。

「あっちぃ!?」

インクががっつりかかった所は半田ごてが当たったかのような熱さがあった。

「うわちょ、やべーやべー早く水水!」

「これでどうですか?」

アリステレータは高そうなハンカチを水に浸し、手の甲を拭いた。
すると、一部が赤くなっていたがその部分が何かのかたちのように見えた・・・

「五芒星・・・」

昨日、幼女から貰った五芒星に酷似していた。

「やっちまったなー・・・ん?それ、禁ルーンじゃね?」

「禁ルーン?」

何やらやばい感じだ。

「ミシェル・・・あなたはやっぱり運に見放されてますね」

「そう思うならあたしの店に来るんじゃねぇ」

「しかしどうしますかね」

なんかやばい感じになってる事だけは斎賀は感じ取っていた。

「まって、禁ルーンって何?」

「禁断のルーン、魔力結合がやばいから普通人間が使ったら死ぬ」

「はぁ!?」

ここで斎賀は理解した。
この五芒星は危険なルーンであると。

「え、これ消せるのか!」

「無理、魔法結合が強いから消せない」

「魔力結合て?」

「体内の魔力に依存しやすいってこと、
 魔力は生命エネルギーの塊だから
 そのルーンを無理に消すと生命エネルギー全部消える」

「かなりやべぇ!」

「しかも基礎ルーンの土台が無いから任意で発動できない」

「さらにやべぇ!」

「免許印もないし最悪国に追われるな」

「何してくれてんだ!」

最悪続きのオンパレードに斎賀は声を荒げる。

「免許印を押す権限は私にもあるので、問題はないですよ」

「アリステレータさんマジで神」

またしてもアリステレータさんに救われた斎賀であった。

「まぁなんであれ今回はミスったあたしが悪いし御代はいらねぇよ」

「まぁもとよりそのつもりですけどね」

「てめぇ」

ミシェルはアリステレータをにらみ、
アリステレータはニコニコと笑っている。

「では、今日はこれにて・・・そろそろ晴れそうですしね」

「二度と来るな蝙蝠」

「ではまたいつか」

「だから来るな!」

そんな講義もむなしく、アリステレータは帰っていった。

「ぞれじゃ俺もこれで」

「おう、悪かったな」

ミシェルに手を振り、自室へと帰っていく。

「・・・五芒星か・・・・・・新ルーンのネタにしよ」

ミシェルはノートと向き合い、ルーンの自作を始めた。



斎賀は自室につき、手の甲を見た。
大きな五芒星は不安を掻き立てる。

「マジでどうなるんだろうな・・・
 案外こういうのってなんもないもんなのかな?」

しかし考えていても結論が出ない事を悟ったので、
明日の入学式に向けて早めに寝ることにした。

「まぁ、何もないことを祈ろう」

こうして深い眠りについた。
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