joy!

「ジョニィ」
「やだ」
「まだ何も言ってないだろ!」
「だってろくでもなさそうなんだもの」

いつもどおりの二人は帰路についていた。ジャイロもいたのだが途中から帰り道が違うので別れてしまう。だから途中からはディエゴとジョニィの二人だけになる。
なんでコイツと帰らなくちゃいけないんだ。とジョニィはいつも思うのだがディエゴが帰りたいというから仕方なくというのもあるが、一番の理由がジョナサンである。ジョナサンが「一緒に帰った方がいいと思うけど、ジョニィちゃんは足が弱いから倒れたら大変でしょう?」と言ったからである。ジョナサンがいうなら……というわけで二人で帰っている。
特にこれと言った会話もなく、というよりジョニィはディエゴが嫌いで喋りたがらないためディエゴが一方的に喋っている。(ジョニィは半分聞いていないため「ふーん」とか「へぇ」とか棒読みで返事をする。)今日も同じように歩いているとあぁそうだ、とディエゴが思い付いたように言う。

「しょうがないなぁ、聞いて上げるよ感謝してよね」
「なんでそうも上からなんだ……まぁいい。日曜日空いてるか?」
「暇だけど空いてない」
「空いてるじゃあないか!!」

なんでそんなこというんだとディエゴが嘆いているが動じないでジョニィは君のために時間なんて割きたくないねと、とどめを刺した。それさえも恥ずかしがらなくてもいいじゃあないか、で済ませるディエゴである。

「日曜日は絶対空けとけよ」
「分かった予定入れとく」
「ダメだからな!その日は俺と遊びに行くんだからな!」
「えー」

いいから!とディエゴが言っていると家の前までついていた。

「とにかく!日曜日空けとけよ!」
「なんで君に付き合ってあげなきゃいけないのさ」

いつの間にかいなくなっているディエゴに向かってべーッと舌を出してジョニィはドアをあけた。

「ただいま」
「おかえりなさい」

出迎えてくれたのは長女ジョナサンであった。楽しそうに夕飯を作る彼女に今日のことを話す。

「って言われたんだけど……」
「あら、いいじゃない。行ったらどうかな?」
「えぇ……」

クスクスと笑うジョナサンが言う。ジョニィは困ったような顔をした。ジョナサンが言うと行かないと行けない気がした。ジョナサンの残念って言って困った顔をするのはあまり見たくないからだ。しかしジョニィはジョニィで、ディエゴと遊びに行くのは心底嫌と言うやつである。
隣同士で小さい頃から一緒なのにどうしてこんなにもディエゴとジョニィの感情に差ができるのかは、お察しの通りディエゴの恋愛感情が重いせいである。
話がそれてしまったが、ジョナサンはそんなこともお見通しであった。

「無理は言ってないけど、楽しいかもよ?」
「……楽しいの、かな?」
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