joy!

⒍愛が重い彼とかっこいい彼女

「わぁ……!本当にこんなにいいの?」

そんな言葉が教室に聞こえる。それはアナスイが徐倫に持ってきたホワイトデーのお返しであった。

「あぁ!なにせ君のためだからな」
「こんなに食べられるのかしら?」

机いっぱいにお菓子がある。マシュマロ、クッキー、飴、チョコレート……駄菓子から、ちょっとお高めの物まで多くの種類のお菓子。それを眺めながらチョコレートに手を伸ばす徐倫。
そこにFFがやって来た。

「やっほー……ってすげーお菓子の量!これどうしたの」
「あ、FF。これ、全部アナスイがくれたのよ」
「マジで?凄いな……こんなにあるならあたしももーらおっ」
「あっ待てこれはお前にやった訳じゃあないっ!」

FFが駄菓子に手を伸ばすとアナスイが止めに入った。FFはブーブーとブーイングをしている。徐倫はその様子をみて、

「あー……FFも食べる?」
「うっそ良いの!?」
「徐倫……」
「良いじゃないアナスイ、こーゆーのはみんなで食べるから美味しいのよ」

ニコリとしながら徐倫はFFにチョコバットを差し出した。

「やった!……あ、見て徐倫!ホームランだよホームラン!」
「うっそ!やだFFついてるじゃん!あ、アナスイも、食べなよ」
「えっ」
「ほら、貰ったあたしがいいって言ってるんだし。それにアナスイのお金じゃん?」

そう言って徐倫はアナスイの前にも貰ったクッキーを差し出したのだった。

.*・゚そういう思いやりがあるところ、大好きだByアナスイ.゚・*.

⒎チャラけた彼と幼馴染みの彼と小悪魔な彼女

「ジョニィィィ!」
「やだ、キモイ近寄らないで」
「酷い!」

朝から騒がしいディエゴはお菓子を大量に詰め込んだビニールを持っていた。

「それ、何?くれた人へのお礼?」
「は?全部お前のだよ」
「え、やだ」
「一体お前は何が不満なんだ」
「まず君の存在、かな」

バッサリと言い返すジョニィにディエゴは地味に心が折れそうになる。そして、そこに火に油を注ぐようなやつがやってくる。(この時の火、とはディエゴのことである。)

「ジョニィ、良いところに見つかったぜ、おはよ」
「ジャイロ!おはよう。どうかしたの?」

先ほどの態度とは打って変わったジョニィに気にせず(いつもだから)ジャイロは小さな箱を出す。

「ほれ、お返し」
「わぁ!嬉しいよありがとう!」
「いやークッキーとか作り方わかんなくてさ」
「もしかして、手作り?」
「初めてだったからな、味は保障しないぜ」

ニカッと自慢の歯を見せて笑うジャイロに少し見とれるジョニィ。

「ありがとう、すっごく嬉しい……手作りだし、何よりジャイロの初めてになれたのが嬉しいよ!」

ジョニィは凄くいい笑顔を見せる。そんなジョニィとジョニィの言葉に既にジャイロは心を奪われたみたいだ。が、それに気に食わないやつが一名。

「俺を抜いてイチャイチャするなぁ!!イチャイチャするなら俺としろよ!それが無理なら妥協するから混ぜろよ!!」
「はぁ?」
「どうしたんだ、アイツ」

少々涙目になりながらお菓子の入った袋をジョニィの前に突き出してジャイロを指さす。

「だ、大体こっちの方が量多いじゃあないか!?なんで、そんなやつに負けるんだ俺が!!」

そして、そんな心が折れ始めているディエゴにトドメを刺すかのようにジョニィは吐き捨てる。

「量より質でしょ。それにお前の取り柄って顔だけじゃん。ジャイロは性格もいいしさ」
「……!」
「ニョホホ、お褒めの言葉もらっちったぁー」

膝から崩れ落ちたディエゴ。そして、それを見下しているジョニィ。だが、ジョニィは、まぁ……と言葉をつなげる。

「お菓子は欲しいから貰っといてあげる」
「……!ジョニィ……遂に俺の嫁「調子に乗るな」」

ディエゴの手からスッとお菓子を取ってスタスタ歩き出したジョニィ。それを後ろから競い合うように追いかける二人がホワイトデーに目撃されたそうな。

.*・゚絶対、アイツには渡さないから!!Byジャイロ、ディエゴ.゚・*.
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