joy!

プロローグ
三月十四日、一般的に言われるホワイトデーという日。男性がチョコレートをくれた女性に何かをプレゼントする日だ。前回とかその辺でジョースター家はチョコレートを量産して周りに配っていたのを覚えているだろうか。今回はそのサイドストーリーなのである。

⒈冷静な彼と淑女な彼女「さて、今日はホワイトデーだな」

ぼそりと呟いたディオ。ジョナサンがバレンタインデーにチョコレートをくれたため何を返そうか最近悩んでいた。今日はいつもどおり講義があるがそれどころではない。うーんと悩んでいるとインターホンが鳴る。

「ディオー?大学行かないと」
「あ、あぁジョジョか今行く」

やって来たのはジョナサンであった。いつもどおりニコニコしている。そんなジョナサンを見るとなんだかホッとするディオ。

「………」
「ディオ?どうかした?」
「なぁお前、今は何が欲しい?」

唐突な質問にキョトンとしているジョナサン。

「欲しいもの?……うーんこれと言って……」
「じゃあ行きたいところとか」
「え?……特に無いなぁ……」
「……そうか」

何で俺の彼女はこんなにも無欲なのか……と少し悩んだディオであった。
その日の講義はバレンタインのお返しを考えていたため、何も聞いていない。

「ディオ?どうかしたの?」
「はっ……!いや、何でもない」
「そう?朝からなんだか変だよ?」

ボーっとしていたディオは話しかけられて我に返った。自分の顔を覗き込んでいるジョナサンが首を傾げる。可愛いなおい、と少し思ったディオだったがその考えはすぐに消えた。

「本当に欲しいものないのか?お前は!」
「そ、そう言われてもなぁ……いきなりどうしたの?」
「……いや、別に……」
「?今日ってなにかあったっけ?」

キョトンとしているジョナサンにはあっと深い溜息が出たディオ。まずはそこからか。

「今日はホワイトデーだからな、貴様から貰ったし返さないとと思って」
「ん、あぁそっか今日だったっけ?ディオのその心遣いが嬉しいな」
「そういうのじゃあなくて!もっとないのか!?」
「えぇ?……うーんでもね」

ディオは早く早くとジョナサンをまくし立てた。そんなディオを見ながらジョナサンは困った顔をする。

「正直ディオがいてくれればいいかなって」
「なっ……」
「何かをあげるだけがホワイトデーじゃあないと思うの。だからそういう私に何かをあげようっていう気持ちだけで十分嬉しいな」

不意打ちと微笑んだジョナサンに、ディオは顔を赤く染める。

「……ふん!お、お前が無欲なのは分かった!今回は勘弁してやる!」
「無欲、なのかなぁ?」

.*・゚これじゃあホワイトデーになりゃしない!Byディオ.゚・*.
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