joy!

「天文部?」

天文部と書かれた札を見つけたジョニィ。リハビリがてら昼休み中に歩いていたらみつけたのだった。ガチャりとドアを開けるとひとりの少女が椅子に腰掛けていた。

「ようこそ、天文部へお客さんなんて久しぶりよ」

少女はまるで来ることがわかっていたかのようにジョニィを迎えた。椅子から立ち上がりドアまでやってくる。

「ここは何をするの?」
「ここ?特に何もないわ……そうねぇ、お菓子を食べてお茶を飲んで星を眺めるの」
「それは素敵だね」

嬉しそうに話している少女。ジョニィは少し薄暗い部室の中の少女を見た。黒っぽい髪に白い頭巾をかぶっている。

「星?って事は……活動は夜?」
「夜はたまによ。いつもはプラネタリウムを使うの……ところでジョニィちゃん」

すっとジョニィの周りをくるくる回る少女。そもそもなんで少女はジョニィを知っているのか?それは知るよしもない。

「足のほうは大丈夫なの?」
「まぁちょっとなら……君の方こそ、こんな薄暗いところにいたら目が悪くなるよ?」
「私は元から目が悪くて……だからお外は眩しいの、私はシュガーマウンテンって言うの。シュガーって呼んで?ここであったのも何かの縁……お友達になりましょう?」

シュガーマウンテンはジョニィを部室の中に引き込んで紅茶とお菓子を用意した。

「美味しい……」
「でしょう?私が作ってみたの。うまくいったの!」
「すごいねシュガーは。僕もなにか作れたら良いのだけど……」

作ったことないからなぁ、と少し困ったようにジョニィは言う。

「大丈夫よ、ジョニィちゃん。大事なのは気持ち。食べてもらいたいとか、美味しいって言って貰いたいとか、そういうのが大事だと思うの」
「そうかな……?僕にも作れるかな」
「うん。作ったら頂戴?」
「もちろんだよ」

クスクスと笑いながら二人は他愛もない会話を続けた。楽しい時間とは早く過ぎるもので昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。

「あら……」
「もう帰らなきゃ……また来て良いかな?」
「勿論よ!お菓子用意して待ってるわ」
「それは嬉しいな」

暗い教室を出てジョニィは教室へ帰ろうとした。ふと思い出したようにジョニィはシュガーに聞く。

「ところで、シュガーは帰らないの?」
「私はいいの、ここが私のクラスなの」
「そうなんだ、じゃあまたくるね!」

パタパタと教室に帰るジョニィを見送るシュガー。カチャカチャと食器を片付けるシュガーは何故か楽しそうだった。

「はじめての、お友達」
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