joy!

「ジョニィチョコレートくれ」
「君にあげるチョコなんてないよ石でも食べてなよディエゴ」

朝からこの調子だ。登校がたまたま重なったディエゴとジョニィは一緒に学校に来ていた。ジョニィは心底嫌そうだったが。ディエゴがこれが運命だのなんだの言っているのを適当に聞き流しながら学校に行ったのだ。
そして、ディエゴが下駄箱を開けると中には兄、ディオに負けないぐらいの大量のチョコレート。その時ディエゴは「あぁ、今日はバレンタインか」と気がついたのだ。そして、それを知って間もなくジョニィにチョコレートくれといい始めた。

「こんな大量のチョコレートよりお前の作ったやつの方がいい」
「みんなが頑張って作ったんだからそういうの良くないと思うけど?だからディエゴは嫌なんだ」

チョコレートを詰めているディエゴを無視して教室に向かうジョニィ。
教室に入ると自分の机にはルーシーとホットパンツがいた。

「ジョニィ、ハッピーバレンタイン!」

受け取って!と言って差し出された可愛らしい包み。中には生チョコが入っているらしい。

「ルーシー!ありがとう!僕からも」
「じ、ジョニィ。私も一応作ったのだが……」
「ホットパンツ、ありがとう嬉しいよ!僕のも受け取って」

ホットパンツは未だ周りの女子たちに男装だと知られていないらしくこちらも大量のお菓子を貰っていた。ホットパンツ自体もルーシーとジョニィにナッツの入ったクッキーを作ってきたらしい。シンプルな袋に入れてジョニィに渡す。

「ありがとう二人共。嬉しいよ」
「おーい、ジョニィー」
「ジャイロ!」

扉から入ってきたジャイロは真っ直ぐジョニィ達の元へやってきた。抱えきれないほどのお菓子を持って。

「うわっ!すごい量だね……」
「ニョホホ!まぁ、モテモテだしぃ?」
「ははは、じゃあ僕からもあげるよ」
「マジすか!今までの中で一番嬉しーぜ!サンキュー!!」
「大げさすぎ」

クスクスと笑うジャイロとジョニィ。すると後ろからディエゴがぬっと現れた。

「ジャイロ・ツェペリ!!俺より先にジョニィからのチョコレートを貰うなんて言語道断だ!」
「お前さんとの人徳の差だぜ」

登校早々火花を散らす二人。いつものことだが今日は気の入り方が違う。

『ジョニィ!』
「何?」
『どっちが本命!?』
「少なくともディエゴではないね。あげてないし」

即答するジョニィ、膝から崩れ落ちるディエゴ、勝ち誇るジャイロ。これは全て一瞬の出来事であった。

「WRY……」
「ディエゴ、落ち込まないで!面倒だから」
「ルーシーそれはいじめだ」
「ニョホホ!人徳人徳ぅ!」
「……まぁ、用意してないこともない」

カバンから小さな包みを出すジョニィ。ディエゴはそれに反応してガバッと起き上がった。

「くれ!」
「……落ち込まれるとすごく面倒だから、ま、あげる。感謝してよね」
「ありがとう!ジョニィさすが俺の嫁『ではないよ』」

口をそろえて否定するがディエゴは気にしていないようだ。
こうして、SBR学園のバレンタインは過ぎていった。


情けで恵んで、でも本当はちょっと愛情を。


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