joy!

少し暗くなってきて、祭りらしくなってきた。暑さも少し和らぎ、浴衣を来た人々がよく目につく。学帽をかぶりポニーテールをしている彼女、承太郎は一人で歩いていた。下駄をカラカラと鳴らして少し早歩きをしている。

「あれ?承太郎じゃあないか」
「花っ…花京院!」

目の前にいたのは、承太郎のクラスメイト花京院 典明。しかし、ただのクラスメイトではない。隣の席であり、何かと承太郎に付きまとうのだ。しかし、承太郎は不思議と嫌な気はしない。

「なんでここにいるんだ!?」
「家族と来たんだよ。承太郎は姉妹で来たのかい?」

花京院は承太郎を見かけるなりニコニコしながら承太郎の方に向かってきた。

「あぁ。開始そうそう皆バラバラだ」
「そっ…そうなんだ!じゃあさ」
「?」

頬を少しかきながら、承太郎の方へと手を差し出す。威勢の良い店のおじさんの声やカップルたちのいちゃつく声によって花京院の小さい声はかき消されそうになる。

「いっ…一緒にお祭り回らない?」
「!」
「あっ!その嫌だったら無理には……」

元々ダメ元だったらしく、目を反らす。顔はすでに真っ赤になっている。
そんな花京院を見て、承太郎もまた赤くなる。
端から見たら純情なカップルである。(まだカップルではない)
すると承太郎が花京院の手を握る。

「えっ…承太郎?」
「行くんだろ…祭り。一緒に回ってやるよ」
「承太郎…!」

花京院が顔をあげると、真っ赤に染まった頬を隠すように目をそらしているが、隠しきれていない。

「承太郎、顔がリンゴあめみたいだね」
「うるせぇ」
「承太郎、浴衣似合ってるね」
「そ…そうか」

隣でニコニコしている花京院に“ニヤニヤ気持ち悪いぜ”と言った。でも、内心は少し嬉しいと思った承太郎。


これはもしかして脈ありなんじゃ…?
出来ればこの時間がいつまでも続けば良いなんて。心の奥に閉まっておこう。
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