joy!

『ついたー!』
「ジョセフ姉さん、それに仗助、迷子になっちゃうよ」
「元気で良いんじゃないかな?」
「ジョナサン、僕、かき氷食べたいです」
「じゃあ、着いていってあげる。私も食べたいし」
「徐倫…なんかいるか?買ってきてやるぜ」
「いい。自分で買ってくるから」
「……」

夏祭りにきて、早々個性が現れるジョースター一行。ジョセフと仗助はいつもの倍はしゃぐ。ジョルノとジョニィはあれが食べたい、これがやりたいと、はしゃいではいないが楽しんでいる。徐倫もあそこに行きたいここに行きたいと言っては承太郎が着いていくと言い、やだ!来ないで!いや…着いてく。と攻防戦を始める。それを見て元気だねぇと聖母のごとく微笑んでいるジョナサン。
端から見たら、可愛らしい女の子達がはしゃいでいるからなんと眼福なことか。そんな彼女達を放っておく輩がどこにおろうか。来て早々ナンパの声がかかるかかる。

「一緒に花火見ませんか?」
「いえ…妹もいますので…」
「ならそちらの妹さんともご一緒に…」
「嫌です。あなたに興味ないし」

ジョルノは無情にも言葉を述べ、持っているクレープを頬張った。ジョナサンは苦笑いしながら、その男に謝ったが男はなお引き下がらない。

「少し位なら…」
「いえ。私は…」
「だから嫌ですってば」
「ジョジョ」
「あっ!ディオー!」

そこにメシア(?)とも言える人物登場。おとなりさん、もとい幼馴染みかつジョナサンの恋人ディオがやって来た。ディオは青鈍(あおにび)色に縦のラインが入っている浴衣を来て黒っぽい帯を着ている。

「誰だこいつ?」
「えーと…」
「ナンパです」

困っているジョナサンの代わりに状況を説明するジョルノだが、途中途中呼び方が酷いところがあったのはご愛嬌。あぁ、成る程…とディオが頷く。

「お前はっ!あれだけ捕まったら逃げろと!」
「だって浴衣走りにくいんだよ?しかも逃げるなんて失礼じゃない?」
「ナンパの方が失礼だ!」
「そんなもんかな?」

そんな会話を聞いていて男は訳がわからないとでも言ったような顔をしている。

「どちら様で?」
「俺か?この、ジョナサン・ジョースターの恋人だが」
「ちょっとディオ!?」
「うわーディオさんてば大体ですねー」

ディオはジョナサンの肩に手を回し、自分の方へと近づけた。男は“それは失礼!”と慌ててその場から立ち去っていった。見せつけられたせいか、少し涙目になっていたのは見間違いである。

「ところで…ジョルノ」
「はい?」
「何なんだあの他人行儀な呼び方は!さん付けって…昔みたいにパードレとは呼んでくれないのか!」
「呼びませんよ。大体、父さんじゃないでしょう」
「WRY…」
「ディオ!落ち着いて!かき氷あげるから」

落ち込む恋人にかき氷を勧めるジョナサン。いわゆる“はい、あーん”ってやつである。シャリッと気持ちのいい音を立ててかき氷が口の中でとけ、シロップの甘さが伝わってくる。

「…うまい」
「ね?美味しいでしょ?」
「ところで、いつもいるディエゴはいないのですか。ディオさん」
「さんは止めろジョルノ!…ディエゴはジョニィ見かけた瞬間走っていった」

ディエゴはジョニィの同級生…もとい幼馴染み。ディオの弟である。小さい頃からジョニィを溺愛しており、いつもジョニィと一緒にいようとする。…ジョニィはあまり快く思っていないみたいだが。彼は何かのアンテナがついているのか知らないが、ジョニィをすぐ見つけ出す。そして一目散に走る。

「まるで、肉食恐竜ですね。ディエゴは」
「あぁ…迷子にならなければ良いが…」
「やっぱり心配なんだね」
「いや、迷子になられると面倒だからな」
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