joy!2
来る日曜日。待ち合わせ場所として設定された高校の最寄り駅に時間30分前に着いた。……本人は認めないが待ちきれなかったのである。生徒会長として君臨した彼女に誘われて3日。今か今かと待ちわびていたのだ。
「お待たせしましたか?」
「あ、い、いや、別に、待ってない……」
「そうですか。それならいいんですけど」
ジョルノはフリルのあしらわれた高級そうなワンピースを颯爽と着こなして、待ち合わせ10分前にやってきた。彼女の私服姿に惚れ惚れしながらも、元々の目的を思い出す。
3日前の話、偶然一目惚れした後輩と登校が重なって歩くだけでも十分なイベントだったのにまさか「家でお菓子を作るので遊びに来ませんか?」だなんてこれまた驚きのお誘いがあったのである。一時の恥からその時は有耶無耶に返事をしてしまったにも関わらず、その日のうちに待ち合わせ場所と時間を送ってきたのだから、イルーゾォの有耶無耶は肯定と見なされていたのである。もとよりイルーゾォは断るつもりなど無かったのだが。
前を歩くジョルノについていき、少し経ってから歩幅を合わせて隣を歩く。真逆自分が休日の昼間にジョルノの隣を歩いているだなんて3日前のイルーゾォは考えていなかったろう。そしてこんな心臓が弾け飛びそうな事になるとは思わなかったろう。3日前も同じく共に歩いていたのだがそれとこれとは訳が違うのである。
最寄り駅の普段とは違う反対方面、あまり見慣れぬ場所へ向かう電車へと乗った。
高校の最寄りから6つ離れたところがジョルノの家の最寄りである。その辺は高級住宅街であると専らの噂だった。結界が張られてるかのごとくイルーゾォみたいな不良生徒は近づき難いのである。
「こっちの方面は初めて降りるな」
「綺麗な街ですよ」
「だろうな」
なぜ自分たちが通う高校を境に、相反するかのように高級住宅地とスラム街よろしく治安の悪い住宅地が共住しているのか。そしてなぜジョルノはあんな不良高校にいるのか、少女の頭脳であればもう少し上に行けただろうに。好き好んで行くにはあまりにもアウトレイジすぎる。
駅から5分ほど歩くとすぐに住宅街に入る。そこからさらに奥へと進む。誰が整備してるか分からない花壇はともかく、こんなに綺麗な石畳の歩道を施設以外で見たことがない。
ジョルノはそんな道が似合う。やはり綺麗なものには綺麗なものだと思う。それ以上の話は自重するとして、他愛もない会話と共にジョルノの隣を歩いていると、ピタリとジョルノが足を止める。
「着きました。ここです」
「え、えぇ……」
「どうかしましたか?」
住宅街に馴染むように立っている3階建ての庭付きを前にイルーゾォは若干引いていた。あんな高校にやって来て、何らかの手違いなのか場違いなのか勘違いなのか生徒会長に就任している少女の家。……もとい彼が惚れてる女の家。確か姉と住んでいると聞いていたが、こんなに高さと横の広さが果たして必要だろうかと真剣に考えてしまう。
「何この家」
「まぁ……もう少し狭くてもとは思います」
「贅沢な悩みだな」
どうぞ、と開かれた門が妙に恭しい。イルーゾォは普段から礼節わきまえるような場所は得意じゃない。彼女はお嬢様みたいだと前から思っていたがここまで絵に書いたようだと気が引ける。……大方イルーゾォの想像通りである。
「ただいま帰りました」
「まぁいらっしゃい!そちらの方がイルーゾォくん?」
「はい。イルーゾォ、こちら長女のジョナサン」
前から姉がいるとは聞いていた。恐らく対応してくれた彼女が姉なのだろうけれど、姉というより母に見える。母……ではなく姉のジョナサンはニコリと微笑んでイルーゾォを迎え入れる。
「どうも、今日はお邪魔します」
「話はジョルノから聞いてるよ」
「はあ……これ手土産です」
粗品ですが……と差し出した差し入れが本当に粗品に見えてくる。この家にこんな差し入れで大丈夫だっただろうか。今までの手土産の中で1番財布に痛いものを選んだつもりだけれど。
「わざわざありがとう。……あ、プリンだね。ゼリーもあるよ。良かったねジョルノ」
「え」
「お前が好きって言ってたから」
なにを買えばいいのか分からなかったからとりあえずジョルノの好きな物を買ったのだった。少なくとも1人は気に入ってくれていると分かると気の持ちようが違う。と、イルーゾォは考えている。そもそも普段つるんでいる奴らと遊ぶ時に手土産なんて渡さないから、考える事すら少ない彼なりにいいものを選んだと自負した。
「ありがとうございます」
「あらあら」
「なんですかその反応は……」
「なんでもないよ」
何かを察したのかジョナサンはくすりと笑んだ。
イルーゾォが、少し嬉しそうに言ったジョルノにちょっと見蕩れていると、ジョナサンの後方の扉が少しだけ開いてひょっこりと何人かが顔を出す。
「お?お客様っすか?」
「オトコだ」
「うそ……男だわ!ジョルノの?」
「あららぁん?もしかしてジョルノの彼氏?」
「違います」
「彼氏じゃないの?」
「違いますよジョニィ、先輩ですよ」
「えー残念、てっきりアオハルかと思ったのに」
「茶化しが過ぎますよ仗助」
扉から出てきた少女達はきゃあきゃあとジョルノを冷やかすように茶化すがそれを冷静に対処する。誰を見ても美人でさぞかしモテることだろうとイルーゾォは思った。こんな姉がいるなら、なるほどジョルノも綺麗なわけだ。女子特有の黄色い歓声に気まずそうにしていると麦茶の入ったグラスを持ちながら学帽を被った女がまた出てくる。
「客か?」
「ジョルノの先輩だってさ。今日来るって言ってたじゃん」
「ああ……」
あまりの人数に少し動揺する。姉がいる、とは聞いていたがまさかここまで多いとは思っていなかった。言われてみればパーツが似ているような気がしなくもない。そしてそれぞれ個性的……というか癖が強い。兄弟姉妹というのは賑やかなものだとはよく聞くがこれはさすがに賑やかすぎる。
「……人口密度高くないか?」
「7人姉妹なんです。それから今日は姉の友人も来てるので」
「大家族かよ」
「大家族です。毎日がパーティーみたいなものですよ」
(肩身が狭い)
なるほど、あの家の広さに見合った人数である。次から次へと顔を出すジョルノの姉妹はイルーゾォとジョルノを交互に見て、仲睦まじく噂話をしている。そんな様子をスルーしながらジョルノとジョナサンは話を続ける。
「さ、上がって上がって。ジョルノ、お茶出してあげてね」
「はい」
「お……お邪魔します……」
「気楽にしててください」
できるか!と思いながらジョルノに連れられ豪華な内装の家を歩く。
内装まで洒落ているジョルノの家は全くもって落ち着かないものであった。イルーゾォは絵に書いたようなブルジョワジーに慣れてない。そもそも関わること自体珍しい。こそばゆいような、自分にあっていない空間にそわそわしてしまう。
ニマニマと楽しそうな笑みを浮かべているジョセフが、ジョルノにエプロンを手渡す。ジョルノがその様子を少し窘めると唇を窄めた。
「あんまりイルーゾォをからかっちゃダメですよ?」
「んもう、いーじゃないの。……はいこれジョルノ!エプロンしなさーい」
「ありがとうございます。イルーゾォ、申し訳ないんですけど今から作るので待っててください」
「お、おう……」
「楽しみにしててよねー!」
「頑張れー」
けだるそうにジョニィがリビングのソファから手を振る。エプロン姿のジョルノがリビングでゲームをする仗助に話しかける。
「仗助、据え置きのゲームで遊んでませんでした?」
「っす!花京院さんが強くてぜーんぜん勝てなくて!」
「大人気ないぜ……」
学帽の端を少し下げながらため息を吐いた承太郎。その様子にイルーゾォ「なんで家の中で被ってるんだ」と内心首を傾げてしまったのは言うまでもない。そこはそれとしてふとリビングに目をやると、花京院、と呼ばれた少年が真剣にゲーム画面に向かっている。
「なんだったら一緒に遊んでってください」
彼がもう1人の客人らしい。投げ出されたコントローラーは、恐らくそこでスナック菓子を摘む珍しい髪型の少女が匙を投げた証だろうとイルーゾォは考えた。実際そうである。仗助は何度も何度も花京院に対戦を挑むも花京院に惨敗していた。それもそのはずでやり込んでいる花京院と流行に便乗した仗助では圧倒的な差がある。その様子を苦笑いで見ていたのが承太郎で、面白おかしく見ていたのがジョニィという訳だ。
ところでどうしてこの2人は家の中で帽子を?と言う疑問を持ちつつ、イルーゾォは画面を見る。なるほどあの腐れ縁たちとよく遊ぶゲームであった。画面に向かっていた花京院が振り返って話しかける。
「あ、君もやるかい」
花京院曰く。「彼からなんとなく同類の匂いがした」という。パッと見、花京院とは相容れぬような見た目で正直いって苦手な分類であったが、それでも彼が話しかけられたのは何となくシンパシーを感じたからだ。なにかは知らないが。話しかけられた彼は一呼吸置いてから頷いた。
「じゃあ1戦」
「やったことはある?」
「もちろん」
花京院からコントローラーを手渡される。内心(まあ僕は負けないけどね)という自信を貼り付けながら。その様子に気づいたのか自信ありげな態度にムカついたからなのか負けず嫌いに拍車がかかった。
「手は抜かないからね」
「上等だ返り討ちにしてやる」
「性格変わってない?」
「それが彼の素ですよ」
緊張が抜けたのかさっきよりも口が悪くなっている。彼もゲームが好きだし馴染めたようで良かったとジョルノは思ってそのままキッチンへと入っていったのだった。
「お待たせしましたか?」
「あ、い、いや、別に、待ってない……」
「そうですか。それならいいんですけど」
ジョルノはフリルのあしらわれた高級そうなワンピースを颯爽と着こなして、待ち合わせ10分前にやってきた。彼女の私服姿に惚れ惚れしながらも、元々の目的を思い出す。
3日前の話、偶然一目惚れした後輩と登校が重なって歩くだけでも十分なイベントだったのにまさか「家でお菓子を作るので遊びに来ませんか?」だなんてこれまた驚きのお誘いがあったのである。一時の恥からその時は有耶無耶に返事をしてしまったにも関わらず、その日のうちに待ち合わせ場所と時間を送ってきたのだから、イルーゾォの有耶無耶は肯定と見なされていたのである。もとよりイルーゾォは断るつもりなど無かったのだが。
前を歩くジョルノについていき、少し経ってから歩幅を合わせて隣を歩く。真逆自分が休日の昼間にジョルノの隣を歩いているだなんて3日前のイルーゾォは考えていなかったろう。そしてこんな心臓が弾け飛びそうな事になるとは思わなかったろう。3日前も同じく共に歩いていたのだがそれとこれとは訳が違うのである。
最寄り駅の普段とは違う反対方面、あまり見慣れぬ場所へ向かう電車へと乗った。
高校の最寄りから6つ離れたところがジョルノの家の最寄りである。その辺は高級住宅街であると専らの噂だった。結界が張られてるかのごとくイルーゾォみたいな不良生徒は近づき難いのである。
「こっちの方面は初めて降りるな」
「綺麗な街ですよ」
「だろうな」
なぜ自分たちが通う高校を境に、相反するかのように高級住宅地とスラム街よろしく治安の悪い住宅地が共住しているのか。そしてなぜジョルノはあんな不良高校にいるのか、少女の頭脳であればもう少し上に行けただろうに。好き好んで行くにはあまりにもアウトレイジすぎる。
駅から5分ほど歩くとすぐに住宅街に入る。そこからさらに奥へと進む。誰が整備してるか分からない花壇はともかく、こんなに綺麗な石畳の歩道を施設以外で見たことがない。
ジョルノはそんな道が似合う。やはり綺麗なものには綺麗なものだと思う。それ以上の話は自重するとして、他愛もない会話と共にジョルノの隣を歩いていると、ピタリとジョルノが足を止める。
「着きました。ここです」
「え、えぇ……」
「どうかしましたか?」
住宅街に馴染むように立っている3階建ての庭付きを前にイルーゾォは若干引いていた。あんな高校にやって来て、何らかの手違いなのか場違いなのか勘違いなのか生徒会長に就任している少女の家。……もとい彼が惚れてる女の家。確か姉と住んでいると聞いていたが、こんなに高さと横の広さが果たして必要だろうかと真剣に考えてしまう。
「何この家」
「まぁ……もう少し狭くてもとは思います」
「贅沢な悩みだな」
どうぞ、と開かれた門が妙に恭しい。イルーゾォは普段から礼節わきまえるような場所は得意じゃない。彼女はお嬢様みたいだと前から思っていたがここまで絵に書いたようだと気が引ける。……大方イルーゾォの想像通りである。
「ただいま帰りました」
「まぁいらっしゃい!そちらの方がイルーゾォくん?」
「はい。イルーゾォ、こちら長女のジョナサン」
前から姉がいるとは聞いていた。恐らく対応してくれた彼女が姉なのだろうけれど、姉というより母に見える。母……ではなく姉のジョナサンはニコリと微笑んでイルーゾォを迎え入れる。
「どうも、今日はお邪魔します」
「話はジョルノから聞いてるよ」
「はあ……これ手土産です」
粗品ですが……と差し出した差し入れが本当に粗品に見えてくる。この家にこんな差し入れで大丈夫だっただろうか。今までの手土産の中で1番財布に痛いものを選んだつもりだけれど。
「わざわざありがとう。……あ、プリンだね。ゼリーもあるよ。良かったねジョルノ」
「え」
「お前が好きって言ってたから」
なにを買えばいいのか分からなかったからとりあえずジョルノの好きな物を買ったのだった。少なくとも1人は気に入ってくれていると分かると気の持ちようが違う。と、イルーゾォは考えている。そもそも普段つるんでいる奴らと遊ぶ時に手土産なんて渡さないから、考える事すら少ない彼なりにいいものを選んだと自負した。
「ありがとうございます」
「あらあら」
「なんですかその反応は……」
「なんでもないよ」
何かを察したのかジョナサンはくすりと笑んだ。
イルーゾォが、少し嬉しそうに言ったジョルノにちょっと見蕩れていると、ジョナサンの後方の扉が少しだけ開いてひょっこりと何人かが顔を出す。
「お?お客様っすか?」
「オトコだ」
「うそ……男だわ!ジョルノの?」
「あららぁん?もしかしてジョルノの彼氏?」
「違います」
「彼氏じゃないの?」
「違いますよジョニィ、先輩ですよ」
「えー残念、てっきりアオハルかと思ったのに」
「茶化しが過ぎますよ仗助」
扉から出てきた少女達はきゃあきゃあとジョルノを冷やかすように茶化すがそれを冷静に対処する。誰を見ても美人でさぞかしモテることだろうとイルーゾォは思った。こんな姉がいるなら、なるほどジョルノも綺麗なわけだ。女子特有の黄色い歓声に気まずそうにしていると麦茶の入ったグラスを持ちながら学帽を被った女がまた出てくる。
「客か?」
「ジョルノの先輩だってさ。今日来るって言ってたじゃん」
「ああ……」
あまりの人数に少し動揺する。姉がいる、とは聞いていたがまさかここまで多いとは思っていなかった。言われてみればパーツが似ているような気がしなくもない。そしてそれぞれ個性的……というか癖が強い。兄弟姉妹というのは賑やかなものだとはよく聞くがこれはさすがに賑やかすぎる。
「……人口密度高くないか?」
「7人姉妹なんです。それから今日は姉の友人も来てるので」
「大家族かよ」
「大家族です。毎日がパーティーみたいなものですよ」
(肩身が狭い)
なるほど、あの家の広さに見合った人数である。次から次へと顔を出すジョルノの姉妹はイルーゾォとジョルノを交互に見て、仲睦まじく噂話をしている。そんな様子をスルーしながらジョルノとジョナサンは話を続ける。
「さ、上がって上がって。ジョルノ、お茶出してあげてね」
「はい」
「お……お邪魔します……」
「気楽にしててください」
できるか!と思いながらジョルノに連れられ豪華な内装の家を歩く。
内装まで洒落ているジョルノの家は全くもって落ち着かないものであった。イルーゾォは絵に書いたようなブルジョワジーに慣れてない。そもそも関わること自体珍しい。こそばゆいような、自分にあっていない空間にそわそわしてしまう。
ニマニマと楽しそうな笑みを浮かべているジョセフが、ジョルノにエプロンを手渡す。ジョルノがその様子を少し窘めると唇を窄めた。
「あんまりイルーゾォをからかっちゃダメですよ?」
「んもう、いーじゃないの。……はいこれジョルノ!エプロンしなさーい」
「ありがとうございます。イルーゾォ、申し訳ないんですけど今から作るので待っててください」
「お、おう……」
「楽しみにしててよねー!」
「頑張れー」
けだるそうにジョニィがリビングのソファから手を振る。エプロン姿のジョルノがリビングでゲームをする仗助に話しかける。
「仗助、据え置きのゲームで遊んでませんでした?」
「っす!花京院さんが強くてぜーんぜん勝てなくて!」
「大人気ないぜ……」
学帽の端を少し下げながらため息を吐いた承太郎。その様子にイルーゾォ「なんで家の中で被ってるんだ」と内心首を傾げてしまったのは言うまでもない。そこはそれとしてふとリビングに目をやると、花京院、と呼ばれた少年が真剣にゲーム画面に向かっている。
「なんだったら一緒に遊んでってください」
彼がもう1人の客人らしい。投げ出されたコントローラーは、恐らくそこでスナック菓子を摘む珍しい髪型の少女が匙を投げた証だろうとイルーゾォは考えた。実際そうである。仗助は何度も何度も花京院に対戦を挑むも花京院に惨敗していた。それもそのはずでやり込んでいる花京院と流行に便乗した仗助では圧倒的な差がある。その様子を苦笑いで見ていたのが承太郎で、面白おかしく見ていたのがジョニィという訳だ。
ところでどうしてこの2人は家の中で帽子を?と言う疑問を持ちつつ、イルーゾォは画面を見る。なるほどあの腐れ縁たちとよく遊ぶゲームであった。画面に向かっていた花京院が振り返って話しかける。
「あ、君もやるかい」
花京院曰く。「彼からなんとなく同類の匂いがした」という。パッと見、花京院とは相容れぬような見た目で正直いって苦手な分類であったが、それでも彼が話しかけられたのは何となくシンパシーを感じたからだ。なにかは知らないが。話しかけられた彼は一呼吸置いてから頷いた。
「じゃあ1戦」
「やったことはある?」
「もちろん」
花京院からコントローラーを手渡される。内心(まあ僕は負けないけどね)という自信を貼り付けながら。その様子に気づいたのか自信ありげな態度にムカついたからなのか負けず嫌いに拍車がかかった。
「手は抜かないからね」
「上等だ返り討ちにしてやる」
「性格変わってない?」
「それが彼の素ですよ」
緊張が抜けたのかさっきよりも口が悪くなっている。彼もゲームが好きだし馴染めたようで良かったとジョルノは思ってそのままキッチンへと入っていったのだった。