joy!2
「もうすぐデザートが出るらしいが。食べられるのか?」
「えっ!?デザート!食べる食べる!女の子は甘いものは別腹なのよ!」
「じゃあ行くか。食べ過ぎないようにな」
「早くしないとなくなっちゃう!」
そう。この時の私は完全に気を抜いていた。全てはデザートのせいだった。カロリーなどという敵は元から相手にしていないのだけれど真の敵は足元にいた。
踏んだのである。
「きゃー!?」
「ジョジョ!?」
盛大にコケた。そりゃもう盛大に。漫画で見見たことあるほど綺麗にコケた。自分でもあまりに綺麗すぎてもはやホームビデオに収めて欲しい。いや、末代までの恥だからやっぱりやめて欲しい。
よりによって!このスケコマシーザーの目の前で!盛大にコケた!恥ずかしすぎて顔から火が出そう。
コケた私を見てギョッと驚いたシーザーはすぐ私の傍に駆け寄った。
「大丈夫か?」
「うぅ……ロングスカートなんて嫌い絶縁する……」
「何を言ってるんだお前は……ピンヒールで走るから。……立てるか?」
「……立てない……」
そしてロングスカートとピンヒールは加えて私を惨めにする。グキっと捻った。足首はジンジン痛いしコケたのが悔しいし恥ずかしいし、私を心配してくれるシーザーの優しさも相まってなんだか涙が出てきた。でも泣いたら化粧が落ちちゃう。大ピンチ。
「捻ったのか。ほら泣くな泣くな」
「痛いよー」
そっとハンカチで目元を抑えてくれるどこまでもジェントルマンな我が親友。そういう優しさが女の子をどこまでも誑し込む原因だぞ!分かっているのかスケコマシ!そうやって今までどれだけの女の子を誑かしたのだ、悔しい!
「歩けそうか……いや無理だな」
「どうしよ……私のスイーツ……」
「そっちより自分の体の心配をしてくれ」
どこまで食い意地を張る気なんだ。
と、呆れたようにツッコミを入れるシーザーははぁっと1つため息をついた。スイーツは大事よ?
ロングスカートは私に恨みでもあるのだろうか。ピンヒールは私に嫌悪でも抱いているのだろうか。そっちがその気なら金輪際お前たちとは絶交よ!どんなに飛んだり跳ねたりしても転ばない絶大な安定感を持つまで私の目の前に現れないで頂戴。
「仕方ない。暴れるなよジョジョ」
「え、なに、っわぁ!?」
私がヒールとロングスカートと縁切りをしてる時にシーザーは少し考えてから行動する。
何が起こったのか私が宙に浮いている。シーザーが?私をお姫様抱っこしている?信じられない!シーザーは軽々と私を持ち上げて会場まで走っていく。真剣な様子の横顔がまたかっこいいのだ。
「シーザーちゃん!降ろして!?ほら、お、お、重いでしょ!?」
前日に寝ながらのり塩ポテチを仗助と食べていた自分を恨んだ。あれがなければ0.3㎏ほど痩せていたかもしれないのに!微々たる事でも。
「お前は天使の羽のように軽いから心配するな」
何を言ってるんだこの女たらしは!
「シーザー!降ろして!」
「降ろせるわけないだろうが。怪我してるんだから大人しくしてろ。会場まで運ぶから」
あらヤダこの紳士ったら惚れ直しちゃうわ。この時間が永遠に続けと祈り願いながら私はぎゅっと目を閉じる。
バンッと音がした。シーザーが扉を足で蹴り飛ばしたのだ。いいとこの育ちではないんだと本人は言っていた。でも礼儀正しいし全然そんなふうに見えない。
が、しかし。今の蹴り方は完全に元ヤンのそれである。足癖が悪いこと!
そんな思いを馳せたのもつかの間、私とシーザーは数々の視線に晒されることとなる。それもそのはず、シーザーが蹴り飛ばしたのはみなが集まる大ホールの入口のトビラ。皆がわいのわいのと談笑している中で爆発音かの如きドアの音。そりゃ誰だって驚いて見る。
「……はぁ」
「あらあら」
どこかで姉の微笑ましい声とその彼氏のため息を聞く。しんと静まり返った会場にハッと我に返って私はシーザーの逞しい胸板をばしばし叩く。
「ちょちょちょちょっとシーザー!シーザーちゃん?!見てる!みんな見てるから!」
「あ」
「あ。じゃあない!このっイモー!」
スケコマシにひとつビンタしてやった。ざまあみやがれ!
式も無事終わった。あの後私は姉さん達が駆け寄って来て盛大なビンタを窘められた。淑女のすることでは無いと言われてしまったけれど後悔はしていない。なぜなら淑女など端から諦めているからである!私が怒られている間シーザーちゃんはなんだか罰が悪そうにしてたけれど元はと言えばシーザーが悪いのだ。……私も悪いところはあったけどさ。姉さんがシーザーにお礼と謝罪をして、私もごめんネと小さく謝った。シーザーはお詫びの品だと言ってなんと立食のデザートのティラミスとかケーキを山盛り持ってきてくれたのだ。もうそれだけで許せちゃうよね。
「すまん……配慮が足りなかった」
「いつもあんなにクールなイケメンがどうしちゃったのさ!おかげで凄い話題よ!」
たしかにさっきからザワザワとシーザーの方をキョロキョロ見て噂をするような仕草をする人が何人かいる。複雑だけれども女の子達が頬を赤らめているから悪い噂では無いらしい。
「お前が怪我をしたと分かっていても立っても居られなくてな」
「この、軟派イタ公めっ……」
すぐ口説くんだから油断ができない。
「でもまぁありがと。サイコーにかっこよかったし!」
「えっ!?デザート!食べる食べる!女の子は甘いものは別腹なのよ!」
「じゃあ行くか。食べ過ぎないようにな」
「早くしないとなくなっちゃう!」
そう。この時の私は完全に気を抜いていた。全てはデザートのせいだった。カロリーなどという敵は元から相手にしていないのだけれど真の敵は足元にいた。
踏んだのである。
「きゃー!?」
「ジョジョ!?」
盛大にコケた。そりゃもう盛大に。漫画で見見たことあるほど綺麗にコケた。自分でもあまりに綺麗すぎてもはやホームビデオに収めて欲しい。いや、末代までの恥だからやっぱりやめて欲しい。
よりによって!このスケコマシーザーの目の前で!盛大にコケた!恥ずかしすぎて顔から火が出そう。
コケた私を見てギョッと驚いたシーザーはすぐ私の傍に駆け寄った。
「大丈夫か?」
「うぅ……ロングスカートなんて嫌い絶縁する……」
「何を言ってるんだお前は……ピンヒールで走るから。……立てるか?」
「……立てない……」
そしてロングスカートとピンヒールは加えて私を惨めにする。グキっと捻った。足首はジンジン痛いしコケたのが悔しいし恥ずかしいし、私を心配してくれるシーザーの優しさも相まってなんだか涙が出てきた。でも泣いたら化粧が落ちちゃう。大ピンチ。
「捻ったのか。ほら泣くな泣くな」
「痛いよー」
そっとハンカチで目元を抑えてくれるどこまでもジェントルマンな我が親友。そういう優しさが女の子をどこまでも誑し込む原因だぞ!分かっているのかスケコマシ!そうやって今までどれだけの女の子を誑かしたのだ、悔しい!
「歩けそうか……いや無理だな」
「どうしよ……私のスイーツ……」
「そっちより自分の体の心配をしてくれ」
どこまで食い意地を張る気なんだ。
と、呆れたようにツッコミを入れるシーザーははぁっと1つため息をついた。スイーツは大事よ?
ロングスカートは私に恨みでもあるのだろうか。ピンヒールは私に嫌悪でも抱いているのだろうか。そっちがその気なら金輪際お前たちとは絶交よ!どんなに飛んだり跳ねたりしても転ばない絶大な安定感を持つまで私の目の前に現れないで頂戴。
「仕方ない。暴れるなよジョジョ」
「え、なに、っわぁ!?」
私がヒールとロングスカートと縁切りをしてる時にシーザーは少し考えてから行動する。
何が起こったのか私が宙に浮いている。シーザーが?私をお姫様抱っこしている?信じられない!シーザーは軽々と私を持ち上げて会場まで走っていく。真剣な様子の横顔がまたかっこいいのだ。
「シーザーちゃん!降ろして!?ほら、お、お、重いでしょ!?」
前日に寝ながらのり塩ポテチを仗助と食べていた自分を恨んだ。あれがなければ0.3㎏ほど痩せていたかもしれないのに!微々たる事でも。
「お前は天使の羽のように軽いから心配するな」
何を言ってるんだこの女たらしは!
「シーザー!降ろして!」
「降ろせるわけないだろうが。怪我してるんだから大人しくしてろ。会場まで運ぶから」
あらヤダこの紳士ったら惚れ直しちゃうわ。この時間が永遠に続けと祈り願いながら私はぎゅっと目を閉じる。
バンッと音がした。シーザーが扉を足で蹴り飛ばしたのだ。いいとこの育ちではないんだと本人は言っていた。でも礼儀正しいし全然そんなふうに見えない。
が、しかし。今の蹴り方は完全に元ヤンのそれである。足癖が悪いこと!
そんな思いを馳せたのもつかの間、私とシーザーは数々の視線に晒されることとなる。それもそのはず、シーザーが蹴り飛ばしたのはみなが集まる大ホールの入口のトビラ。皆がわいのわいのと談笑している中で爆発音かの如きドアの音。そりゃ誰だって驚いて見る。
「……はぁ」
「あらあら」
どこかで姉の微笑ましい声とその彼氏のため息を聞く。しんと静まり返った会場にハッと我に返って私はシーザーの逞しい胸板をばしばし叩く。
「ちょちょちょちょっとシーザー!シーザーちゃん?!見てる!みんな見てるから!」
「あ」
「あ。じゃあない!このっイモー!」
スケコマシにひとつビンタしてやった。ざまあみやがれ!
式も無事終わった。あの後私は姉さん達が駆け寄って来て盛大なビンタを窘められた。淑女のすることでは無いと言われてしまったけれど後悔はしていない。なぜなら淑女など端から諦めているからである!私が怒られている間シーザーちゃんはなんだか罰が悪そうにしてたけれど元はと言えばシーザーが悪いのだ。……私も悪いところはあったけどさ。姉さんがシーザーにお礼と謝罪をして、私もごめんネと小さく謝った。シーザーはお詫びの品だと言ってなんと立食のデザートのティラミスとかケーキを山盛り持ってきてくれたのだ。もうそれだけで許せちゃうよね。
「すまん……配慮が足りなかった」
「いつもあんなにクールなイケメンがどうしちゃったのさ!おかげで凄い話題よ!」
たしかにさっきからザワザワとシーザーの方をキョロキョロ見て噂をするような仕草をする人が何人かいる。複雑だけれども女の子達が頬を赤らめているから悪い噂では無いらしい。
「お前が怪我をしたと分かっていても立っても居られなくてな」
「この、軟派イタ公めっ……」
すぐ口説くんだから油断ができない。
「でもまぁありがと。サイコーにかっこよかったし!」