joy!2

「ま、眩しい」
「どうかしましたか、イルーゾォ」
「うっ」

そんな目で見るんじゃあない。俺は別にお前に恩なんて感じてないぞ。保健室に運ばれたぐらいで別に。ていうかあの後背中めちゃくちゃ痛かったんだけど。
それにしても何故俺はここに居るんだろう。歩いていたら出会ったんだっけか。そんなことはどうでもいいさ。今の状況に比べては。

「一緒に行きましょうか」

朝の時間、登校中に声をかけられて。べべべ別に嬉しいとか思ってないし。まぁ困ることは無いだろうし。こいつは真面目だから問題を起こすこともないだろうし。と許可したら、俺の隣を歩き出した。
特に話すことも無い。気まずいことこの上ない。こんなイベント滅多にないのだから活かすべきだとは思うのだが。今日はいい天気ですねとか最近どうですか、とかそんなことを聞く仲でもない!何を話していいか分からない!気まずい!
……気まずいと思っているのは果たして自分だけだろうか。そもそもなんで俺がこんな気を使わなきゃいけないんだ!
モヤモヤと考えているとジョルノが口を開く。

「メローネが最近物凄く近いので何とかしてくれませんか?」
「俺に言うな俺に。本人に言え」
「言っても聞かないんですよあの人」
「あぁ、ありありと思いつく光景だ……」

ココ最近のあいつはどうもこのジョルノという少女に熱を上げている。何かにつけて会いに行こうとするし何かにつけてジョルノの名前を出す。聞いてるこっちの身にもなってくれ……と言いたいところだが残念な事に熱を上げているのはメローネだけの話ではない。それを行動に移すか否かの違いでどいつもこいつもこのジョルノという少女に惹かれているのだ。……信じられないことに信じたくないことに俺もその1人ではあるのだが。

「何とかなりませんかね」

知るかと言いたいところだが、メローネがサボってまで追いかけ回すのだからこちらとしても困っているのだ。自分でなんとかしろ……むしろ何とかしてくれ。そろそろどこぞの風紀担当教員がキレそうだ。それともいっそこいつがこっちに来てくれればメローネのことも安泰なのでは?……俺的にも。いや別に他意は無いよ?

「彼、行きも帰りも着いてくるので……丁度貴方に会えて良かったと思います」
「盾にする気か」
「誰もそんなこと言ってないじゃないですか。まぁ盾替わりにしますけど」
「やっぱり犠牲じゃねぇか!くそ!」

ちょっとでもドキッとした俺が馬鹿みたいじゃないか。ああいや期待する方が悪いな。こいつに期待する方が。とはいえメローネに困ってるという利害は一致している。……この際こいつを囮に使って〆ておくのも悪くないかもしれない。

「じゃあ僕のことしっかり守って下さいね」
「しょうがないから今はそれに乗ってやる」
「ありがとうございます」
「くっ……」

相変わらず眩しいやつだな!笑うな惚れる。爽やかなというか見目麗しいというか、そういう微笑み方をされるととても困る。慣れていないから。
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