joy!2

「あれ?ジョルノ。こんなところで何してるの?休日に偶然出会うなんて運命感じない?赤い糸とか信じるタイプ?」

ベラベラとまくし立てる片目を隠した男を見向きもせずにジョルノは言葉を返す。ちょっとぐらい見てあげたら?と思ったけど僕が同じ立場でディエゴに会ったら同じことする気がするから言わないでおこう。見向きもしないジョルノのことは気にせず男は喋り捲った。

「メローネ、偶然ですね」
「ねー本当に偶然。やっぱり俺たち運命なんだって」

構わずプリンパフェを食べているジョルノ。何事にも動じないその性格がうらやましいよ。メローネ、と呼ばれた男はジョルノの隣に座って、運命論を説いている。流れるように隣に座ったけど僕がいること忘れてる?ジョルノが申し訳なさそうに見てくる。あとでコーヒー奢ってくれればいいよ。

「貴方がそう思うのなら貴方の中ではそうなんでしょうね。ところでどうしたんですか?」
「そりゃあジョルノに会ったから声をかけずにはいられなくてね!」
「あぁそうですか……それとも奢ってくれるとか?」
「も~おねだりが上手いなジョルノは。いくらほしいの?」
「嘘です」

ここぞとばかりに財布を出そうとするその男は心なしか嬉しそうだ。たかられてるんだよ気付けよ。いや、気付いてる上で奢ろうと……?どのみち正気じゃない!

「え、誰?」
「彼はメローネ。僕の先輩にあたる人で風紀委員です」

いかにもチャラそうな彼はジョルノの高校の風紀委員の一人……らしく、とにかく何らかの拍子でよく絡まれるようになったらしい。災難だな。

「ふーん……風紀乱しそうなことしか言ってなかったのに風紀委員なんだぁ」
「こらジョニィ、思っててもそんなこと言ってはいけませんよ」
「辛辣ぅ……」

思ったことが口に出でしまうのは性格だから仕方ないとして、本当にそう思ってしまった。というか出合い頭に突然口説いてくる、言葉選びがなんか卑猥、そして元々ジョルノと一緒にいた僕を総スルー。これがまともか?そんなわけない。

「ジョルノ、彼女は?」
「ジョニィ。僕の妹です」
「へぇ、可愛いね!じゃあ俺のことは気軽に義兄さんって呼んでね!」
「スルーしてください」
「そもそも義兄さんなんて呼ばないよ」

ジョルノの彼氏?それか彼氏候補なのかな?ジョルノ彼氏いないって言ってたしこの様子だと……付きまとわれてるという方が正しいような……。

「ジョニィ、そろそろ帰りませんか」

いつの間にか食べ終わっていたらしくて、目の前にあったプリンパフェはすでに空になっている。よく食べきれたな。

「時間も時間だし。そうだね」
「あれ?もう帰るの?」
「えぇ」
「またね風紀委員さん」
「ジョルノーもう少し俺と遊んでいかない?」
「ごめんなさいメローネ。すぐ帰らなきゃいけないんです」
「そんなこと言わずにさ。ね?」
「僕もお話ししたいんですけど……ごめんなさい。続きはまた学校でお願いします」
「今がいいな」
「今はだめです」

下手なナンパ師に絡まれた女の人みたいになってるけど。ジョルノも大変だなー……。メローネって人も懲りないなー……ジョルノのあの冷ややかな視線をものともしない。メンタルが強すぎる。

「ジョルノも大変だね……」
「あ、じゃあそっちの妹さんもどう?大歓迎だけど」

え、いやです……ただでさえディエゴだけでも大変なのにこれ以上増えてどうしろっていうんだ。僕が眉間にしわを寄せると、ジョルノがぴたりと止まる。

「……帰りますよ。妹にまで手を出されたらたまったもんじゃあないです」
「嘘だよジョルノ!俺はいつだってジョルノ一筋だからね」
「どの口が言うんですか。帰りましょうジョニィ」
「あ、うん」
「またねー」

帰り道ジョルノが一言もしゃべらない。怒ってる?それとも……あのメローネって人が僕に関心を向けたから?可愛いところあるじゃあないかジョルノも。今までそんな素振り見せなかったのに。もしかして……あのメローネって人のこと……?

「ジョルノ、何?嫉妬?」
「違いますよ。あの人面倒なのでうちに人脈広げてほしくないんです」
「太客持ったキャバ嬢みたいなこと言ってるけど」
「メローネは困ったものですね……全く。学校行ったらきちんと言っておかないと」

あ、ジョルノ飼い犬を躾ける人の目をしている。……僕のディエゴ然りジョルノ然り、まともな男はいないのだろうか。

僕にはジャイロがいるけどね。
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