joy!2
「じょーたろっ」
「久しぶりじゃない」
帰宅途中の承太郎に声をかけた二人の女性は有無を言わさず承太郎をカフェに連れ込んだ。テーブルに案内されて承太郎は二人を睨む。
ニコニコとした2人は姉であるジョナサンと同じ大学に通っているマライアとミドラーで、DIOの所属しているゼミの後輩……らしいが、何かと承太郎に突っかかってくる。どうしてなのかは考えるのをやめたが、やれやれとため息をついた。
「マライア、ミドラー何の真似だ」
「久しぶりに見かけたから嬉しくなっちゃって」
てへっという効果音がつきそうな愛らしい彼女、ミドラーは承太郎の肩をポンポンと叩く。
「まぁまぁ承太郎、私達にちょっと付き合いなさい」
「……やれやれ」
上から目線に言ったのがマライアで、少し高飛車ではあるが顔立ちの整った美しい女性である。二人共承太郎を見るなり駆け寄るのは「何かと気になるから」「可愛いのに無愛想で勿体ないから」「クール系女子って周りに全然いないから珍しいもの見たさで」と、つまりは興味があるからだ。顔立ちも整って体型も高身長モデルのような承太郎だが、本人が近寄りがたくて男っ気がないのを放っておけない……という謎の心配をしている。まるで近所のお見合いおばさんのようである。
「いやー、三人って久しぶりよね」
「先週あったろ」
「すれ違っただけじゃない!そんなの会ったうちに入らないわ」
「承太郎、元気してた?」
「まぁまぁだな」
そんな他愛ない会話をちまちまして三人はパンケーキのセットを頼んだ。
これはいわゆる女子会と呼ばれるやつであり、流行っているドラマだとか可愛いお店見つけただとかそんな話題である。承太郎はあまり気乗りではなかったがいつの間にかマライアが頼んでいたのだった。引き摺られてきたのだから奢ってくれるんだろうなと内心舌打ちをする。
「そうそう、承太郎。彼とはどういう関係?」
「彼?」
承太郎がきょとんとしているのを見て、またまたとぼけちゃって!とミドラーが言う。
「この前一緒に歩いていた彼!」
「あぁ花京院か。同級生だぜ……ただの。この前転校してきた」
どうやら花京院のことらしい。
「本当かしらね」
「同級生だけーってわけじゃないみたいだけど」
「席が隣なだけだぜ」
「ふうん?」
何をそんなに問い詰めることがあるんだと思いながら目の前でキャッキャとはしゃぐ女子二人を見る。この話のなにがそんなにはしゃぐ要因はなんだ。と1人鈍い承太郎である。
「ほら、他には?」
「他?」
「デートとかさ!」
「で……デート?」
「おぉ、戸惑ってる〜可愛い」
「やかましい!」
正直そんなことを考えていなかった承太郎はデートと言われて意識し始める。もしかして、あの水族館に行ったのもそうなのだろうか……?しかし、もし仮に自分がそう考えたとして彼はそう思ってはいないのではなかろうか。一人で空回るのはダサいし恥ずかしい。
だが、不思議と悪い気はしない。
「ゲーセンと水族館行っただけだ」
「立派なデートじゃないの!」
「やるわね、承太郎」
「そんなんじゃねぇ」
『え?』
「いや、あれはそんなんじゃねぇ。花京院がチケットを2枚貰ったって言ってたから行っただけだ」
マライアとミドラーは思った。花京院、前途多難だ……と。こんなに鈍い承太郎だ。気づくのに時間がかかるだろう。……いや、気付いてるのをわざと隠してるのかもしれない。自分らしくない、と。
「あのねぇ承太郎。水族館って立派なデートスポットよ?本当に気付かなかったの?」
「そうなのか?確かにカップルがいたな」
「いたなじゃなくてあんたもそのうちの一組なの。傍からみたら!」
「そうなのか」
それを聞いて承太郎は照れる。それを見て可愛いなぁと思うのだが。
自覚させるまであとひと押し……
「承太郎と二人で歩いてるのも見た!もーあれ見た時ほんと「承太郎に春っ!」って思ったもん〜!」
だが承太郎は、やれやれだぜとだけ呟いた。目の前の2人のテンションにはついていけない。やれやれと目の前のコーヒーを飲み干すとお札を1枚出して席を立つ。
「あら、まだ話は終わってないわよ?」
「やってろ。ついていけん。俺は帰る」
「えーそんなこと言わずに〜!ね?お姉さんにお話聞かせなさいよぉ!」
「話すことなんてないだろ。じゃあな。釣りは勝手に分けろ」
「「あ、ちょっとー!」」
さっさと店を出ていった承太郎を引き止めるも全く聞く耳を持たなかった承太郎は家路へついてしまった。
「あーあ、せっかく恋バナ出来ると思ったのに」
「あと一押しって感じだったのに〜っ!」
「……あら、ミドラー。私たちが橋渡ししなくてもあの2人くっつくかもよ?」
「え?」
マライアが指さす方向には花京院とばったり鉢合わせた承太郎の姿があった。マライアとミドラーに恋だの愛だの言われた後だったからか、かなり意識してしまう。照れくさそうに目を逸らしている承太郎を見て花京院は心配そうに様子を伺っていたが、やがて隣同士で歩きはじめた。
「あら、あらあら!」
「やるじゃない花京院って子。あの承太郎をデレさせるなんて!」
「これはまた女子会開くしかないわね〜!」
初心な2人をじっくりと眺めて、マライアとミドラーはまたキャッキャと話に花を咲かせた。
「久しぶりじゃない」
帰宅途中の承太郎に声をかけた二人の女性は有無を言わさず承太郎をカフェに連れ込んだ。テーブルに案内されて承太郎は二人を睨む。
ニコニコとした2人は姉であるジョナサンと同じ大学に通っているマライアとミドラーで、DIOの所属しているゼミの後輩……らしいが、何かと承太郎に突っかかってくる。どうしてなのかは考えるのをやめたが、やれやれとため息をついた。
「マライア、ミドラー何の真似だ」
「久しぶりに見かけたから嬉しくなっちゃって」
てへっという効果音がつきそうな愛らしい彼女、ミドラーは承太郎の肩をポンポンと叩く。
「まぁまぁ承太郎、私達にちょっと付き合いなさい」
「……やれやれ」
上から目線に言ったのがマライアで、少し高飛車ではあるが顔立ちの整った美しい女性である。二人共承太郎を見るなり駆け寄るのは「何かと気になるから」「可愛いのに無愛想で勿体ないから」「クール系女子って周りに全然いないから珍しいもの見たさで」と、つまりは興味があるからだ。顔立ちも整って体型も高身長モデルのような承太郎だが、本人が近寄りがたくて男っ気がないのを放っておけない……という謎の心配をしている。まるで近所のお見合いおばさんのようである。
「いやー、三人って久しぶりよね」
「先週あったろ」
「すれ違っただけじゃない!そんなの会ったうちに入らないわ」
「承太郎、元気してた?」
「まぁまぁだな」
そんな他愛ない会話をちまちまして三人はパンケーキのセットを頼んだ。
これはいわゆる女子会と呼ばれるやつであり、流行っているドラマだとか可愛いお店見つけただとかそんな話題である。承太郎はあまり気乗りではなかったがいつの間にかマライアが頼んでいたのだった。引き摺られてきたのだから奢ってくれるんだろうなと内心舌打ちをする。
「そうそう、承太郎。彼とはどういう関係?」
「彼?」
承太郎がきょとんとしているのを見て、またまたとぼけちゃって!とミドラーが言う。
「この前一緒に歩いていた彼!」
「あぁ花京院か。同級生だぜ……ただの。この前転校してきた」
どうやら花京院のことらしい。
「本当かしらね」
「同級生だけーってわけじゃないみたいだけど」
「席が隣なだけだぜ」
「ふうん?」
何をそんなに問い詰めることがあるんだと思いながら目の前でキャッキャとはしゃぐ女子二人を見る。この話のなにがそんなにはしゃぐ要因はなんだ。と1人鈍い承太郎である。
「ほら、他には?」
「他?」
「デートとかさ!」
「で……デート?」
「おぉ、戸惑ってる〜可愛い」
「やかましい!」
正直そんなことを考えていなかった承太郎はデートと言われて意識し始める。もしかして、あの水族館に行ったのもそうなのだろうか……?しかし、もし仮に自分がそう考えたとして彼はそう思ってはいないのではなかろうか。一人で空回るのはダサいし恥ずかしい。
だが、不思議と悪い気はしない。
「ゲーセンと水族館行っただけだ」
「立派なデートじゃないの!」
「やるわね、承太郎」
「そんなんじゃねぇ」
『え?』
「いや、あれはそんなんじゃねぇ。花京院がチケットを2枚貰ったって言ってたから行っただけだ」
マライアとミドラーは思った。花京院、前途多難だ……と。こんなに鈍い承太郎だ。気づくのに時間がかかるだろう。……いや、気付いてるのをわざと隠してるのかもしれない。自分らしくない、と。
「あのねぇ承太郎。水族館って立派なデートスポットよ?本当に気付かなかったの?」
「そうなのか?確かにカップルがいたな」
「いたなじゃなくてあんたもそのうちの一組なの。傍からみたら!」
「そうなのか」
それを聞いて承太郎は照れる。それを見て可愛いなぁと思うのだが。
自覚させるまであとひと押し……
「承太郎と二人で歩いてるのも見た!もーあれ見た時ほんと「承太郎に春っ!」って思ったもん〜!」
だが承太郎は、やれやれだぜとだけ呟いた。目の前の2人のテンションにはついていけない。やれやれと目の前のコーヒーを飲み干すとお札を1枚出して席を立つ。
「あら、まだ話は終わってないわよ?」
「やってろ。ついていけん。俺は帰る」
「えーそんなこと言わずに〜!ね?お姉さんにお話聞かせなさいよぉ!」
「話すことなんてないだろ。じゃあな。釣りは勝手に分けろ」
「「あ、ちょっとー!」」
さっさと店を出ていった承太郎を引き止めるも全く聞く耳を持たなかった承太郎は家路へついてしまった。
「あーあ、せっかく恋バナ出来ると思ったのに」
「あと一押しって感じだったのに〜っ!」
「……あら、ミドラー。私たちが橋渡ししなくてもあの2人くっつくかもよ?」
「え?」
マライアが指さす方向には花京院とばったり鉢合わせた承太郎の姿があった。マライアとミドラーに恋だの愛だの言われた後だったからか、かなり意識してしまう。照れくさそうに目を逸らしている承太郎を見て花京院は心配そうに様子を伺っていたが、やがて隣同士で歩きはじめた。
「あら、あらあら!」
「やるじゃない花京院って子。あの承太郎をデレさせるなんて!」
「これはまた女子会開くしかないわね〜!」
初心な2人をじっくりと眺めて、マライアとミドラーはまたキャッキャと話に花を咲かせた。