joy!

「で、ついてきてあげたんだから感謝してよね」
「素直じゃあないな」
「素直に悪態ついてるじゃないか」

来る日曜日、ジョニィは渋々ではあるがディエゴの元にいた。ジョニィは嫌々ながらであるのにディエゴはこのツンデレめ、と思っていた。

「で、今日は何の用事なわけ?」
「出掛けるぞ」
「どこに?場所によっては帰るけど」
「カフェ、だ。先日見つけた」
「ふぅん……ま、行ってあげる」

じゃあさっさと連れてって、と歩き出したジョニィの手をディエゴが握る。その時心底嫌そうな顔をしたジョニィであったがディエゴはそんなことを全く気にしなかった。

「……なに?」
「場所もわからないのに先に行ったら迷子になるだけだぜ」
「だからと言って繋ぐことないよね」
「恥ずかしがるなよ」
「恥ずかしがってないから」

パシっとディエゴの手を叩き落して、さっさと案内してよと言う。気にせずディエゴは案内する。もちろん手は握らせてもらえなかったが。
ついたのはちょっとお洒落なカフェである。

「ディエゴにしてはいい趣味してるじゃあないか」
「褒め言葉として受け取っとくぜ」
「いらっしゃいませ」

店員が席へと案内してメニューを渡す。パラパラとページをめくっているジョニィを見ているディエゴはいい笑顔である。

「……なに?」
「いや、何にする?」
「これがいい」
「ケーキセットか。なら俺もそれにしよう」

注文をすませると、そこから無言が始まった。ジョニィはきょろきょろしていて、ディエゴと目を合わせようとしなかった。それでもディエゴはジョニィを見てニコニコしている。そんなディエゴが目に入るだけでジョニィは少し眉をしかめる。
昔はこんなに嫌いでもなかったはずなんだよなぁと、ジョニィはふと思考を巡らす。初めて会ったときは特に何も感じなかったはずである。ジョニィは、だが。ディエゴのほうは実際のところ。一目ぼれのようなものである。第一印象は可愛いなぁで、だんだん話していくと、案外生意気だと感じた。それでもたまにデレが来るからそこにキュンとしてしまうのである。それからであろう。ディエゴがジョニィに何かと構うようになったのは。
だんだんいろいろ手を出してくるディエゴがうっとおしくなってきたジョニィはディエゴにわかりやすいように罵声を浴びせるのに眉をしかめるどころか「このツンデレめ」ですませるのだからジョニィも嫌になってくる。

「……むかつく」
「なにが?」
「そーやって僕をじっと見てニヤニヤするとこ。気持ち悪い」
97/98ページ
スキ