恋する動詞

8見つめる(露仗)

「な……何だよ……」

じっと仗助を見つめる露伴。ただただ見つめるだけ。

「別に?」
「いや、絶対何かあったっスよ!いっつも目ェ合わせてくれないくせに!」

何だコイツ……内心仗助は思っていた。いつもは目を合わせさえしないあの、露伴が今では目の前でじっとこちらを見ている。かれこれ十数分この状態だ。しかし露伴は全く目線を逸らそうとはしない。

「あー……あの?」
「……」
「……何か言って下さいってば」
「………………」

本当に何をしているんだろう?漫画を描くための観察?だったら俺じゃなくても良くね?と、仗助は思っていた。

「あの……」
「何だよ」
「いや。それこっちの台詞っスから。どうしたんっスか露伴」
「見てちゃ悪いのかよ」
「いや、何ていうか変だなぁって」

少し照れくささもあってポリポリと頬を掻く。いつもはこっちをじっと見ないこともあってか必然的に露伴をまじまじと見るのだ。よく見るとまつげ長いなぁとか髪綺麗だなぁとか色々初めて知ることも出てくる。まぁ、そうやって仗助が考えてる中で露伴も同じことを考えているのだが。

「どうしたんスか?」
「……お前、最近僕から目を逸してるだろ」
「え、いや、そんなこと」

というか目を逸らしてるのそっちだしと言おうとしたが、ぐっとこらえた。

「いーや、絶対逸らしてる。だからその分を取り戻してる」
「取り戻すって」

どういう理屈だよ……と思った仗助だったが逃げ道はとうに塞がれていた。

「だから、お前はじっとしてれば良いんだよ」
「はぁ……素直じゃあないっスねアンタは」



ジッと見つめる瞳に吸い込まれそうで。
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