恋する動詞

縁というのは不思議なもので、運命というのは怪奇なものである。嫌だと思っても巡り合い、会いたいと願っても会えぬものである。本人たちの望みとは別のところで巡り巡っているのだ。
それは誰でも同じこと。

「これが運命なんだ」
「そう、そうなんだろうね」

男は呟くように頷いた。こんな運命なら……会わない方がマシだったのだろうか?少なくともジョナサンはそうは思わない。どんな結末でも、今はこれでいいんだと思う。どんな経緯でも、ディオと出会った事自体に後悔をしたことは1回もないのだから。


「お前になんか会いたくなかった」
「ふん」
「前世からの因縁か?君、なんか前世で悪いことでもしてきたんじゃあないの?」
「それはこっちのセリフだ」

彼らは言いあうように言った。顔も見たくないほど嫌いなディエゴはなぜこうも自分と鉢合わせることが多いのか。ジョニィは不思議だったし、心底ムカついた。前世の自分が何をしたって言うんだ。

「だがジョニィ・ジョースター。俺は悪くないと思っている」
「はぁ?何がさ」
「お前とこうして会えたことをだ。何故だか初めてのような気がしない」
「気持ち悪いな、君」
「お前とはずっと昔から親しかったかのような、安心感がある」
「……本当に気持ち悪いな、勘弁してよ。僕はもう行くからね。ジャイロを待たせてるし」

縁というのは複雑で運命というのは怪奇なものだ。それに振り回されるのは悔しいけれど、なぜだか僕らを引きつける。
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