恋する動詞
「忘れ物はないか」
「おう!」
「ハンカチは持ったか?」
「おう!」
「地図は持ったか?」
「おう!」
「帰ってくる時間は何時だ?」
「おう!」
「生返事だな?」
「おう!……あ」
何度も何度も確認するシーザーが煩わしくてジョセフはうんざりする。ジョセフの生返事がバレるとシーザーはジョセフの鼻をキュッとつまんで、少しイラつきながらお小言を言い始める。
「いいかジョジョ。俺がこうやって何度も何度も確認してるのはお前が以前一人で準備して時間通りに家を出たのに、先生から来ていないと言われたからだ。その時お前俺になんて言った?」
「えぇっと……その」
「地図を鳥に啄まれてどっか飛んでって追っかけていったら日が暮れたって言っていたな?でも俺が確認したらお前の机の上に地図があったよな?」
「お、俺の見間違いだったんだよ……鳥が啄んでったのは地図じゃなくてお菓子だったのかも〜……ほら、手に持っててさ」
はははと苦笑いをするジョセフはシーザーをちらっと見ると、まだブチ切れはしないけれどフツフツと怒りを溜めている。その様子に「やばいぞ、どうしよう」と内心冷や汗をかく。
「だとしても移動中にいいよと言われていないのに菓子を食べたことになるよな?忘れ物をした上に嘘をついたから俺はお前に何度も何度も確認をしているんだ。分かるか?」
「わ、分かる……」
「そこまで聞き分けのない子じゃないもんなジョジョ。だがな、お前はさっき何を聞いても「おう!」としか答えなかったな。話をちゃんと聞いてたか?」
「……き、聞いてたし」
目を逸らしながらボソボソと言うジョセフを見て、シーザーはため息をつく。あぁあからさまな嘘だなこれと長年の勘がそう言っている。
「じゃあ荷物をもう1回出せ」
「え」
「ちゃんと俺の目の前で荷物を出して確認しろ」
ムスッとした顔でリュックを下ろして、ジョセフは荷物を一つ一つ出していく。
「…………ほ、ほら!忘れ物してないでしょ!?もういいよね!」
「そうだな。今日は忘れ物してないな。よしじゃあいっていいぞ」
シーザーはやっと安心したらしく、ジョセフの頭をポンポンと優しく叩いて玄関を開いた。
「はーい!……あ!忘れ物あった!」
「はぁ……なんだどうしたんだジョジョ。何を忘れたんだ言ってみろ」
一体何を忘れたんだ、とシーザーが話を聞くために屈むとジョセフは二ヒヒと悪戯っ子のように笑う。
チュッとシーザーの頬に柔らかい感触がして、ビックリするとジョセフが無垢な瞳でじっと見つめながら言った。
「シーザーちゃんにいってきますのちゅー!忘れてた!じゃあいってきまーす!」
「……………………」
慌ただしく玄関を飛び出して、すぐ見えなくなるジョセフ。ぽかんとその場で佇んでいたシーザーであったがふと我に返り顔を押さえる。
「あぁ〜もうあいつってやつは……!」
───めっちゃ可愛い!!───
「おう!」
「ハンカチは持ったか?」
「おう!」
「地図は持ったか?」
「おう!」
「帰ってくる時間は何時だ?」
「おう!」
「生返事だな?」
「おう!……あ」
何度も何度も確認するシーザーが煩わしくてジョセフはうんざりする。ジョセフの生返事がバレるとシーザーはジョセフの鼻をキュッとつまんで、少しイラつきながらお小言を言い始める。
「いいかジョジョ。俺がこうやって何度も何度も確認してるのはお前が以前一人で準備して時間通りに家を出たのに、先生から来ていないと言われたからだ。その時お前俺になんて言った?」
「えぇっと……その」
「地図を鳥に啄まれてどっか飛んでって追っかけていったら日が暮れたって言っていたな?でも俺が確認したらお前の机の上に地図があったよな?」
「お、俺の見間違いだったんだよ……鳥が啄んでったのは地図じゃなくてお菓子だったのかも〜……ほら、手に持っててさ」
はははと苦笑いをするジョセフはシーザーをちらっと見ると、まだブチ切れはしないけれどフツフツと怒りを溜めている。その様子に「やばいぞ、どうしよう」と内心冷や汗をかく。
「だとしても移動中にいいよと言われていないのに菓子を食べたことになるよな?忘れ物をした上に嘘をついたから俺はお前に何度も何度も確認をしているんだ。分かるか?」
「わ、分かる……」
「そこまで聞き分けのない子じゃないもんなジョジョ。だがな、お前はさっき何を聞いても「おう!」としか答えなかったな。話をちゃんと聞いてたか?」
「……き、聞いてたし」
目を逸らしながらボソボソと言うジョセフを見て、シーザーはため息をつく。あぁあからさまな嘘だなこれと長年の勘がそう言っている。
「じゃあ荷物をもう1回出せ」
「え」
「ちゃんと俺の目の前で荷物を出して確認しろ」
ムスッとした顔でリュックを下ろして、ジョセフは荷物を一つ一つ出していく。
「…………ほ、ほら!忘れ物してないでしょ!?もういいよね!」
「そうだな。今日は忘れ物してないな。よしじゃあいっていいぞ」
シーザーはやっと安心したらしく、ジョセフの頭をポンポンと優しく叩いて玄関を開いた。
「はーい!……あ!忘れ物あった!」
「はぁ……なんだどうしたんだジョジョ。何を忘れたんだ言ってみろ」
一体何を忘れたんだ、とシーザーが話を聞くために屈むとジョセフは二ヒヒと悪戯っ子のように笑う。
チュッとシーザーの頬に柔らかい感触がして、ビックリするとジョセフが無垢な瞳でじっと見つめながら言った。
「シーザーちゃんにいってきますのちゅー!忘れてた!じゃあいってきまーす!」
「……………………」
慌ただしく玄関を飛び出して、すぐ見えなくなるジョセフ。ぽかんとその場で佇んでいたシーザーであったがふと我に返り顔を押さえる。
「あぁ〜もうあいつってやつは……!」
───めっちゃ可愛い!!───