｢なんでもねぇぜ｣

嘘だ。わかりやすい嘘をつかれた。それだけでやけに傷ついてしまう。その、頬のキズはなんなんだ。
僕はそれが悔しくて悔しくて。

｢嘘だ｣
｢嘘じゃない｣
｢そんなに僕が頼りないのか｣

たしかに僕は承太郎よりずっと弱い存在かもしれない。ただの学生で、それも得意なことなんて1言目に｢ゲームかな｣、と言うような人間で、承太郎のようにチヤホヤされることも無い。友達だって君が初めてだ。初めての──

｢そんなに僕が信じられないのか｣

信じて欲しい、そんな誤魔化しで僕を欺かないで欲しい。それは僕が初めて｢信頼できる｣と思った仲間だから。信じて頼って欲しい。僕に弱い君を見せてくれやしないか。
承太郎はいつだって覚束無い僕を支えてくれる。その気高さで。でも僕だって君を支えてやれるのだから。

｢僕だって君の仲間なのだから、僕にも君を支えさせてくれないか｣