恋する動詞

「なーほんとなんだって、嘘じゃないんだってばー騙したつもりはねぇんだってさ」
「……」

ひたすら承太郎に話しかけるポルナレフだが承太郎は一向にこちらを向かない。むしろいかにも怒っていますというオーラがでている。

「そんな拗ねんなよぉ」
「拗ねてない」
「あれはその、あれだ、フランス人の血筋というか通過儀礼なんだよ!」
「ナンパが通過儀礼とか聞いたことねぇ」
「あーうん。俺も今初めて言ったわ」
「……自分の言葉には責任持てよ」
「………ゴメンナサイ……」

だんだんと声が小さくなっていくポルナレフ。承太郎は相当怒っている。

「誰彼構わず口説いてっとそのうち変な因縁つけられるぞ」
「誰彼構わずじゃねぇし」

ツンと唇をとがらせてポルナレフが言い返す度に、承太郎のボルテージが上がっている。だが、もう怒りを超えてもはや呆れるしかない。ポルナレフにとって女性を口説くというのは、フランスの血故なのか彼自身のアイデンティティなのかは知らないが、ステータスなのだ。
ああ言えばこう言うを繰り返してから、ポルナレフは告げる。

「本気で口説いたのはお前さんだけだぜ。おれは」
「……そうかい。お前も変な奴だな」
「なんだそれ。褒め言葉かよ?」

嘘は感じられない。きっと本心から言っているその言葉に、承太郎は何となく嬉しさを感じたのだった。

.*・゚下手くそな元気付けのジョーク.゚・*.
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