恋する動詞

赤い糸を手繰り寄せたように、それは必然的だった。己の体やスタンドを糸のように自由自在に操る彼女。そして、自分の運命に抗わず真っ直ぐ見つめる瞳。時に男らしくそれでいても女性らしさがある……空条徐倫。彼女に俺は惹かれた。

「アナスイ?ボーっとしてたら柱にぶつかるわよ?」
「はっ……!うわあぶねっ」
「もう!しっかりしてよー危ないわねー……」
「悪いな」

そう言って他人のことを思いやることが出来る。それも魅力の一つだと思う。普通ここまでしないからな。……ほんと、どうしてこんな所にいるのやら。

「や、アナスイ」
「エンポリオか」
「徐倫が気になるの?」
「そりゃあ、もちろん……あ、徐倫には言うなよ?」
(乙女かなぁ)
「なんか失礼なこと考えなかったか?」
「そんなことないよ!一途だなぁ……とか」
「まぁ、うん。そうだな」
「伝えなくていいの?」
「……」

伝える、か。そりゃあ、伝えられるなら伝えたい。しかし、この境遇で伝えていいものかとふと我に返るときがある。

「まだいい」
「へー、早く伝えられるといいね」
「そうだな」

.*・゚早く赤い糸を手繰り寄せないと.゚・*.
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