恋する動詞

ズキンと痛む傷跡をなぞってみるとまたズキンと痛む。まるで生きているかのように、抵抗するかのように。ひどく痛む。

「往生際が悪い奴だな……」

まだ馴染んでいない体を力で捩じ伏せる。すると、ピタリと痛みが止んだ。

「もうお前はこのDIOのものだからな。ちゃんと言う事を聞け」

力を入れてみると体の方も負けじと傷跡を痛める。苦痛に顔を歪めながらもDIOは傷跡を締め付けた。

「いい加減にしろ。ジョジョ」

痛みがだんだんとなくなっていってDIOははぁと息をついた。まだ馴染まない体に言う事を聞かせるのは大変である。自分の意志とは違うことをし始めたりするからだ。

「全く、困ったものだな」

そう言ってDIOはもう一度首の傷跡をなぞった。
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