恋する動詞

「露伴センセー!」
「……なんだお前か」
「なんだとは失礼な」

後ろでブンブンと手を振っているのは仗助。どうやら露伴を見かけて走ってきたらしいが、迷惑だ。別に嬉しくないわけではない、が街中でそんな呼ばれると迷惑極まりない。

「で、なんだ?」
「え?うーん……なんとなく」
「なんとなくで呼ぶな。街中だぞ」
「街中じゃあなかったらいいんスか?」
「いいわけ無いだろ」

イライラしながら対応する露伴だが仗助はそれに気付いていないのか露伴の手を握り言う。

「まぁまぁ、センセーの家行かせてくださいよー」
「はぁ!?なんでっ!」
「え?お菓子がありそうだから」
「やっぱりかよ!知るか、離せ!」

そう言って仗助の手を振り払う。あっと言う仗助を無視して踵を返した。半分は照れ隠しである。正直な所、仗助が家に来るのは嬉しい事であるが素直になれないため、自分から振り払ってしまう。素直になれない分損している。

「じゃあ次はお邪魔するぜー!お菓子用意して待ってろよな!」
「知るか!」

と、口では言っていながら露伴は行きつけの洋菓子店へ向かったのだった。
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