恋する動詞

「あ、忘れちゃった」
「何を?」
「数学の教科書。しまったなぁ」

登校中、花京院があっと声を出した。どうやら数学の教科書を忘れたらしい。焦る花京院をよそに承太郎はタバコに火をつけた。

「もう学校近くだからなぁ。今から家に帰るなんてことは…」
「おい」
「走れば……ん?承太郎どうしたの?」
「俺の見ればいいだろ、教科書」
「あ、あぁ!その手があったね!焦りすぎて忘れてたよ」
「色々忘れるな、お前」

はぁっとため息をついた承太郎。花京院はへらっと笑いながら承太郎にごめんごめんと謝る。

「じゃあ今日はよろしくね」
「あぁ」
「早く行かないと遅刻しちゃうね」
「そうだな。ちょっと急ぐか」

歩き出す二人。そんな、日常。
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