｢ジャイロ……｣

レースが終わってはや数ヶ月が過ぎようとしていた。とはいってもジョニィにとってレースは終わったようには感じられなかった。手のひらにある鉄球が異様に冷たく感じる。レースの思い出がまるで昨日のように思い出せる。初めて立った時、馬に乗って走った日々、敵と戦った時それから、遺体の存在……そしてジャイロが死んだとき。全てが鮮明に思い浮かぶ。

｢大変だったなぁ｣

たまにこうして思い出しては祈りを捧げる。どうか、彼が安らかに眠りますように。僕がそっちへ行った時にあの変わらない笑顔で迎えてくれますように、と。そう思いながら祈りを捧げる。
冷たい鉄球を、ジョニィは握り締めた。

.*･ﾟ君の冥福を祈ろう.ﾟ･*.