恋する動詞

3諦める(メロジョル)

「ですから、諦めてください」
「それのどこに諦める要素があるんだい?」

ジョルノは駄目だこいつと心の中で悪態をついた。それは目の前のメローネが原因で。廊下の曲がり角でごっつんこという、少女漫画お約束な感じで二人は合った。初めはゴメンなさいとか、奇遇だね、何してたの?の、ようなたわいもない話だったはずが、メローネのせいでいつの間にか好きなタイプは?やらどんな体位が好み?など妙な流れになっていった。
これはやばいとジョルノは感じていたが、メローネが手をはなさないため抜けられない。スタンドを出せばそれまで。話が大事になる……それは避けたい。とジョルノが考えていた矢先に彼はいきなり「好きだ」と告白をし始めたのだ。もちろん。きっぱり断ったがメローネは諦めず手をはなさなかった。そして冒頭に戻る。

「第一、僕は男。第二、あなたみたいな変態は嫌。第三、メローネ気持ち悪い」
「同性愛の何が悪い。俺は本能に従っているだけ、気持ち悪いは褒め言葉。どうだい?全て論破したよ」
「……何を言っても無駄、でしょうか。二度同じことは言いたくないですし……」

ハァァとため息をついてジョルノは呆れる。その様子を見てメローネはニヤニヤと顔を歪める。

「そんな顔も素敵だな、ジョルノ」
「やだ、気持ち悪い」

誰か助けてくれと願うジョルノだったが人生はそうは上手くいかない。目の前のマスクは一体何をしでかすかわからないし、何を言っているかもわからない。いや、話の筋は通っていても内容が理解を超えているからだ。

「手を離してくれませんか?」
「やだ、ジョルノ逃げるもん」
「あなたといたら頭がおかしくなりそうです」
「おかしくなっちゃいなよ」
「嫌ですよ」

きっぱりと述べたジョルノに残念だなぁと呟くメローネ。相変わらず何を考えているのはさっぱりわからない。

「あの、まずなぜ僕なのでしょうか」
「んっんー、全部が素敵だからと興味があるんだよねー。主に体に」

さらっと下ネタが発せられたのは置いといて、何をそんな愚問を、とメローネは言葉をつなげる。少々イラッときたらしいジョルノは見事な蹴りを食らわせた。

「ナイスキック!!」
「気持ち悪い……」

膝をついているメローネを養豚場の豚を見る様に見下す。その視線に気が付いたのかメローネは、「そんな敵視した瞳もきれいだよ」とニヤニヤしながら言った。ジョルノはそれを見てまた、ふつふつと怒りが湧いてきた。表情は変えないが。

「やめてくださいよ……これにこりたら諦めてください。次はスタンドですから」

そして、それを聞いたメローネはこう言ったのだった。

「あぁ、諦めるということを諦めるよ」

つまり、諦めないよ
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