恋する動詞

目の前にいたのは、敵との闘いでボロボロに傷ついた承太郎だった。それに驚いたポルナレフはすぐに手当をし始めた。

「何してんだ!こんな怪我しちまってよぉ」
「別に……あ、DIOの刺客じゃあねぇぞ」
「……まぁ、深くは聞かねぇけど」

クルクルと包帯を巻いている間承太郎は何も言わなかった。ポルナレフはずっと承太郎に説教をする。

「綺麗な肌してんだからよぉ」
「そーゆーのは女に言え」

フランス人によくある口説き文句にすこし照れてしまう承太郎。帽子を深くかぶりなおす。しばらく無言が続くがポルナレフが先にしゃべり始めた。

「あのなぁ、お前もっと自分を大切にしろってんだ」
「戦いに傷はつきものだからな」
「そりゃあそうだけど」
「なんでポルナレフはそうやって俺に何かと自分を大切にとかいうんだ」
「あったりめーだろ?」

前から何度も言われていた。大きな怪我はもちろん、擦り傷1つだけでも承太郎が舐めれば治るとか言ったのにポルナレフはきちんとした処置をしていた。
手当をしているポルナレフ手を止めて承太郎の方を見た。

「お前が傷付くのは見たくねぇんだよ」
「……そうかい」

仲間思いのそんな言葉が聞けて承太郎は少し嬉しくなる。

「なっ鼻で笑ったような言い方しやがって」
「笑ってねぇよ。……ま、次からは一応気をつけるぜ」
「一応ってなんだ一応って」

はい、終わり。とポルナレフが絆創膏を貼り終わる。承太郎が礼を言うとポルナレフが思い出したように言った。

「あぁ、そうそう」
「なんだ?」
「さっきの言葉」
「俺が傷付くのは見たくねぇってやつか?」
「そうそれ。俺はそんな言葉は、本気で好きになった奴にしか言わねぇとっておきの台詞だからな。忘れんなよ」

そう言って部屋から出ていくポルナレフに少しぽかんとした後に我に返りタバコに火をつけた。

「……よく言うぜ。あのフランス人」

。o○☆ま、傷付く前に守ればいい話だがな☆○o。
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